(出典:ユニセフ協会 HP)
【2025/02/08 更新】
「ユニセフと日本ユニセフ協会って同じもの?」
「集めた寄付金を何に使ってるの?」
「募金した後、どうすれば寄付金控除を受けられる?」
多くの方が名前を聞いたことのあるユニセフ(国連児童基金)ですが、日本ユニセフ協会との違いを正確に理解している方は意外に少ないかもしれません。
本記事では、ユニセフと日本ユニセフ協会の違いをわかりやすく解説するとともに、日本ユニセフ協会が集めた寄付金の使い道や、支援する際に知っておきたいポイントについてご紹介します。
目次
日本ユニセフ協会の実態は?寄付金の使われ方や活動内容を詳しく解説
国連の下部機関であるユニセフには、それとは別に、各国でユニセフの広報や募金の窓口となるユニセフ協会があります。
この章では、ユニセフと日本ユニセフ協会の違いや、日本ユニセフ協会の活動内容について詳しくお伝えします。
ユニセフとは?
ユニセフの正式名称は「国際連合児童基金」と言い、国連の下部機関のひとつです。
「United Nations International Children’s Emergency Fund」の頭文字から、ユニセフ(UNICEF)と呼ばれています。
ユニセフは、すべての子どもの命と権利を守るため、 最も支援の届きにくい子どもたちを最優先に、約190の国と地域で活動しています。
その活動資金は、国連本体から財政的な支援を受けることなく、すべて個人・企業・団体など民間から預かった募金と、各国政府の任意の拠出金により、成り立っています。
ユニセフは第二次世界大戦で被災した子どもたちへ緊急援助を行うことを目的に、1946年12月11日の第1回国連総会で創設されました。
ユニセフの評判や口コミが気になる方は、こちらの記事もご覧ください。

日本ユニセフ協会とは?
前述の通り、ユニセフの活動は、すべて個人や企業・団体・各国政府からの募金や任意の拠出金によって賄われています。
そうした民間からの募金を推進するために、1950年代よりヨーロッパを中心に、各国でユニセフ協会が設立されました。
現在は世界33の先進国と地域にユニセフ協会が設置されており、日本において民間で唯一ユニセフを代表する公式支援機関が日本ユニセフ協会です。
その前身は、第二次世界大戦後、日本がユニセフから支援を受けていた時代にボランティアとしてユニセフを支えていた人びとが設立した任意団体です。
沿革
- 1950年:任意団体として設立される
- 1955年:財団法人化
- 1977年:ユニセフ協会として認定される
- 2011年:公益財団法人に移行
団体概要
名称 | 公益財団法人日本ユニセフ協会 ![]() ![]() |
住所 | 〒108−8607 東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス |
電話 | 0120-88-1052(平日10時〜17時) |
日本ユニセフ協会によって集められたユニセフ募金の総額は約306億円、そのうち83%が個人の支援者によるものです(2023年度)。
なぜ日本ユニセフ協会が必要なのか?
「日本ユニセフ協会」は、世界の子どもたちにより多くの支援を届けるために必要な存在です。
私たちは日本ユニセフ協会の広報・募金活動のおかげで、世界の子どもたちの現状を知り、支援に参加する機会を得ることができます。
もし日本ユニセフ協会の活動がなければ、このユニセフ募金は生まれず、その分、世界の子どもたちへの支援は遅れていたと言っても過言ではありません。
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寄付金控除の対象団体です
ユニセフ親善大使は?芸能人や有名人による支援
多くの著名人がユニセフや日本ユニセフ協会の活動に共感し、支援活動を行っています。
これらの著名人は、それぞれの役割に応じて活動を展開し、子どもたちを支える大切な存在となっています。
ユニセフ親善大使(国際大使)
ユニセフ本体が任命する親善大使は、国際的な規模でユニセフの活動を広める役割を担っています。例えば、女優であり人道活動家として知られるオードリー・ヘップバーンは、ユニセフの初代親善大使として活躍しました。
また、日本を代表する女優の黒柳徹子さんは、1984年にユニセフ親善大使に就任。無報酬でアフリカやアジアの多くの国を訪れ、支援活動の重要性を世界に向けて発信してきました。
【☆SDGs×黒柳徹子ユニセフ親善大使☆】
— 外務省✕SDGs (@SDGs_MOFA_JAPAN) May 25, 2018
世界をもっとよくしたい🌏。そのために自分に何ができるか。
黒柳徹子さんは #SDGs ゴール2の「飢餓をゼロに」を選びました。あなたは?😏https://t.co/zRV7DKGZD5 pic.twitter.com/gElscAKuLI
(出典:SDGsをテーマに支援を呼びかける黒柳徹子さんーTwitter)
日本ユニセフ協会大使
一方で、日本ユニセフ協会が任命する大使は、国内においてユニセフの活動への理解と協力を呼びかける役割を果たしています。
歌手のアグネス・チャンさんは、子どもの権利を守るため、1998年に日本ユニセフ協会大使に就任。その後、世界18カ国を訪問し、危機に直面する子どもたちの現状を広く発信するなど、精力的に活動を続けました。
2016年には、これらの活動が評価され、ユニセフ・アジア親善大使に任命されました。現在はアジア全域や世界でのアドボカシー活動に力を注いでいます。
(出典:ユニセフ・アジア親善大使のアグネス・チャンさんーYouTube)
また、プロサッカー選手の長谷部誠さんも日本ユニセフ協会大使として、2007年からユニセフのマンスリーサポーターとなり、寄付の呼びかけや公共CMへの出演などを通じて活動を応援しています。


日本ユニセフ協会 HP
ユニセフと著名人のつながり
ユニセフや日本ユニセフ協会の活動は、著名人の影響力を通じて多くの人々に広まり、支援の輪を拡大しています。例えば、防弾少年団(BTS)は韓国ユニセフ協会のグローバル・サポーターとして、世界的なキャンペーンを展開しています。
お名前 | 肩書き |
---|---|
アグネス・チャン | ユニセフ・アジア親善大使 |
黒柳徹子 | ユニセフ親善大使(国際大使) |
オードリー・ヘップバーン | 元ユニセフ親善大使 |
BTS(防弾少年団) | グローバル・サポーター(韓国ユニセフ協会) |
ユニセフ親善大使は全員、無報酬で活動に参加しています。その献身的な姿勢は、多くの人々に感銘を与え、寄付や支援への関心を高める大きな原動力となっています。
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ユニセフは支援先として信頼できる?3つのチェックポイントで寄付ナビが検証
ここまで、日本ユニセフ協会との違いや、著名人による活動について解説してきました。ですが、ユニセフが信頼できる団体なのか、本当に寄付するべきかどうか悩まれる方もいらっしゃるかと思います。
それらを解消するために、3つのポイントに沿って解説します。
一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。
企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。
その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
- 職員の顔が見えるか?
- 活動によって問題を解決しているか?
- 透明性の高い会計報告を行っているか?
それぞれの項目について、寄付ナビ編集部がユニセフを調査してみたので、ぜひ参考にしてみてください。
職員の顔が見えるか?
ユニセフは、団体公式サイトで代表者とスタッフの皆様の顔と名前、さらに詳細なインタビューを掲載しています。世界の子どもたちを守るために、それぞれに想いを持った職員が在籍しているようです。
またマンスリーサポーター向けのニュースレターでも、ユニセフで働く職員やスタッフについて知ることができます。
3ヶ月に一度送られてくるニュースレターでは、各国で活動する日本人職員の報告書が、顔写真付きで送られてきます。
届いたものを実際に読んでみると、その人のこれまでのキャリアや、現地でのスケジュール等がわかりやすくまとめられており、どんな人がどんな想いで活動しているのか、知ることができました。


マンスリーサポーターの筆者に届いたニュースレター
その他にも、現地での生の声を聞ける活動報告会として、定期的にオンライン説明会も開催されています。
2021年12月17日にオンライン開催された「ユニセフ人道危機報告会」に、寄付ナビ編集部も参加させて頂きました。
報告会では、イエメン事務所・子どもの保護チーフの山野 真季葉(やまの まきば)さんから、イエメンの子どもたちが直面している現状を解説していただきました。


オンライン説明会の様子
このようにユニセフでは、ニュースレターやオンライン説明会など、個別スタッフの顔が見える報告の場が、数多く用意されています。
活動によって問題を解決しているか?
ユニセフの活動を、保健・栄養分野を例に挙げてご紹介します。


重度の栄養不良の状態にある子ども、あるいは急激にやせ細った消耗症の子どもは、もはや食欲がなくなってしまっていることも少なくありません。
そうした子どもには、少しずつ、少しずつ、栄養価の高い食事を与える必要があります。
ユニセフはこのような「治療的食餌療法」と呼ばれる方法で、子どもたちの栄養状態を改善しています。
ユニセフは他にも、さまざまな支援に取り組んでいます。2022年の主な活動実績は以下のとおりです。
- 栄養不良:3億5,600万人の5歳未満の子どもたちに、栄養不良の予防支援を行う
- 質の高い教育と雇用:80カ国以上で、1億人以上の若者に世界的パートナーシップ「Generation Unlimited」を通じてスキルと機会を提供
- 予防接種:2022年に、世界で初めてマラリアワクチンの供給を開始
(出典:日本ユニセフ協会HP)
これらのユニセフの活動については、東京の品川にあるユニセフハウスの展示を通じて学ぶこともできます。


経口ポリオワクチンの展示
ユニセフハウスでは「ワクチン」や「経口補水塩」「栄養治療食」など、ユニセフが実際に現地で支援している実物を見ることができます。
実際にユニセフハウスに行ってみて、寄付が子どもたちの役に立つモノに変わり、現場へと届いていることを実感することができました。
ユニセフハウスに関する詳しい情報は、こちらの記事をご参考になさってください。



またユニセフに寄付を始めると、
- メールマガジン(毎月)
- 機関誌『ユニセフ・ニュース』(3ヶ月に1回)
- 年次報告書(年1回)
などを通じて、詳細な活動報告が手元に届くようになります。
他にも、TwitterやFacebook、InstagramやYouTubeチャンネルでも、積極的に情報を発信しています。
透明性の高い会計報告を行っているか?
ユニセフは、団体公式サイトで、詳細な財務報告を掲載しています。
その内容(活動計算書や貸借対照表など)についても、監査法人による監査を受けています。


日本ユニセフ協会の支出内訳(2023年)-日本ユニセフ協会 HP
私たちの寄付によって、たとえば以下のような取り組みを実現することができます。
- 月2,000円:学校に通うためのスクールバッグ63人分、あるいは、子どもたちに読み書き・計算を教える教員の養成費用3人分
- 月3,000円:薬や包帯などが入った救急医薬品キット8セット、あるいは、子どもの栄養状態を改善する高エネルギービスケット3,271袋
- 月5,000円:簡易シェルターになる防水シート27枚、あるいは、心のケアに使用するレクリエーションキット4セット(360人分)
(1年間続けた場合の例)
以上のことから、ユニセフは信頼できる寄付先と言えるでしょう。
マンスリーサポート会員になるにあたり、寄付前の疑問や寄付をはじめた理由など、別記事でもまとめていますので、是非ご覧ください。



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寄付金控除の対象団体です
ユニセフの活動とは?世界の子どものために取り組んでいる活動内容を紹介
現在のユニセフは、主に途上国の子どもたちへの支援に注力しています。現地の人たちによる自治をサポートし、最終的にユニセフの支援を卒業できることを目標にしています。
ユニセフが支援の現場で取り組んでいる活動を、関連記事を紹介しながら解説していきます。
水と衛生
ユニセフは子どもたちのため、安全な飲み水の確保、トイレの設置の促進、手洗いなどの衛生習慣を広める、といった3つの柱で水と衛生の問題の解決に取り組んでいます。



教育
ユニセフの教育支援では、人道危機下にある子どもたちへ、校舎の建設や、鉛筆やノートなどの学用品の提供を行っています。
他にも、教員研修の実施や、教育の大切さを理解してもらうために保護者や住民への啓発に取り組んでいます。
また、女の子、障がいのある子ども、少数民族や難民・避難民の子どもなど弱い立場にある子どもたちに重点を置いて支援しています。



保健
ユニセフは、世界で最も多くのワクチンを子どもたちに提供している組織です。
2023年までに約20億回分のワクチン提供で、子どもたちを病気から守る活動をしています。



栄養
世界の5歳未満児の約22%にあたる、1億4,920万人が慢性的な栄養不良によって引き子される発育阻害の状態にあると言われています。
ユニセフはこのような栄養不良の状態にある子どもたちに、プランピー・ナッツなどの栄養治療食を提供し、緊急度の高い子どもたちに支援を届けています。


栄養治療食「プランピー・ナッツ」



子どもの保護
ユニセフは、暴力・搾取・虐待などあらゆる不条理から子どもたちを守るために、心理的ケアや医療ケアを提供するなどの支援を行っています。
現在、移民・難民の数は、第二次世界大戦以降、最大規模となっていて、紛争下の国や地域で暮らしている子どもの数は、推定約2億4,000万人にも上ると言われています。
ユニセフは、子どもへの暴力を終わらせるために、世界各国で実行力のある法施行・法整備の強化に取り組んでいます。
緊急支援
紛争や武力衝突、災害や感染症の流行など、人道危機の影響を受ける国で暮らしている子どもは、およそ4億2,000万人に上ると言われています。
現在、最も注力する緊急支援のひとつである感染症に苦しむ人々への支援では、学校や地域コミュニティに給水設備を整備し、正しい手洗い習慣を広める活動の他、すべての人びとにワクチンを届けるための「コールドチェーン」と呼ばれる低温物流システムの整備、保健員のトレーニング、 接種に不可欠な医療器具の提供などを行っています。
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寄付金控除の対象団体です
ユニセフに支援するには?支援方法をご紹介
私たちがユニセフに寄付を届ける主な方法をご紹介します。
いずれの場合も、寄付金控除が受けられるので、ぜひあなたに合った方法で始めてみてください。
毎月の寄付
500円以上の任意の金額を、毎月クレジットカード、もしくは口座引き落としで寄付する「ユニセフ・マンスリーサポート」という方法もあります。
継続的に寄付することで、
- 予算の見通しが立てやすくなり、息の長い支援が可能になる
- 募金活動費が削減でき、より多くの支援を現地に届けられる
などの効果があります。
私たち寄付者にとっても、毎月の少額な寄付の方が”活動に参加している一員である”という実感を得やすいです。
マンスリーサポートについて詳しく知りたい方は、以下の団体公式もご覧ください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
その他の寄付:単発の募金と遺産寄付
マンスリーサポートの他に、好きな時に、好きな分を、募金する単発の募金や、遺産寄付などがあります。単発の募金については、以下のように支援メニューによって寄付の使い道が異なるので、注意が必要です。
- ユニセフ募金:ユニセフの活動全般に使われる
- 緊急・復興募金:紛争や自然災害など、緊急支援に使われる
- 分野・地域指定募金:水と衛生など、指定した分野に使われる
ユニセフ募金について、その使い道や募金方法の種類などを解説した記事もありますので、詳しく知りたい方は、是非お読みいただければと思います。



遺産寄付については以下の記事でも詳しく説明しているので、ご覧ください。



寄付金控除は受けられる?支援する前のポイント
寄付を行う前に知っておきたいポイントを3つまとめました。
確定申告で、所得税や一部の住民税の控除対象に
日本ユニセフ協会への寄付は、所得税や一部の個人住民税、相続税や法人税など、各種税金の控除対象です。
たとえば東京都港区にお住いの高橋さんが月3,000円、年36,000円を日本ユニセフ協会に寄付したとすると・・
- 所得税:(36,000 − 2,000)×40%=13,600円
- 住民税:(36,000 − 2,000)×10%=3,400円
合計17,000円の還付が受けられ、実質的に負担する金額は月約1,583円、年19,000円です。
また寄付金控除を受けるためには、必ず確定申告が必要ですので、ご注意ください。
「私の地域は控除を受けられる?」
「寄付の領収書はいつ自宅に届くの?」
という疑問をお持ちの方は、こちらのページもご参考になさってください。



個人として500万円以上を寄付すると表彰される
日本ユニセフ協会は内閣府から認定を受けている「公益財団法人」です。
個人は500万円以上、企業は1,000万円以上を寄付すると、紺綬褒章が授与されます。


褒章制度について
事前に相談すれば、分割して寄付をしても、表彰の対象になります。
また、遺言による寄付の場合は、ご家族に褒章が授与されます。
「名前の残る寄付がしたい」とお考えの方は、問い合わせされてみてはいかがでしょうか。
マンスリーサポートは任意の金額を継続的に支援
「500万円はさすがに難しいけど、少額から支援に参加したい」
という方はユニセフ・マンスリーサポート・プログラムで支援されると良いでしょう。
お気持ちに合った任意の金額を、毎月少しずつ、クレジットカードもしくは銀行口座の引き落としで支援することができます。
毎月の寄付はハードルが高いと思われるかもしれませんが、手続きは簡単。世界の子どもたちのためにできる支援に参加している実感が得られます。
ここまで日本ユニセフ協会の活動内容、募金の使い道、支援する前に押さえたいポイントについて解説して参りました。
世界の子どもたちも、あなたも、幸せになれる寄付ができることを祈っています。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
まとめ
ユニセフ(日本ユニセフ協会)は、途上国をはじめとする世界中の子どもたちの命と権利を守るため、多岐にわたる活動を展開しています。教育、栄養、医療、そして緊急支援まで、さまざまな分野での支援が可能であり、私たちの寄付がこれらの活動を支える重要な力となります。
寄付方法も多岐にわたり、単発の寄付から定期的な支援など、またはグッズ購入を通じて参加することが可能です。自分のスタイルに合った方法で、無理なく子どもたちを支援する第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。