(出典:フローレンス HP)
【2024/11/22 更新】
先進国である日本にも「貧困」が存在することをご存知でしょうか。
厚生労働省が2023年に公表した報告書では、子どもの約9人に1人が貧困状態にあり、ひとり親になるとおよそ半数が生活困窮に陥っているとされています。
一見豊かに見える日本でも、十分な食事を得られていなかったり、所得格差によって教育格差が生じてしまったりと、様々な課題を抱えているのが現状です。
これらの問題に対して、母子家庭やひとり親家庭に食事や生活支援を提供する団体や、子どもたちに学習支援を行う団体などが、貧困家庭を支援するための活動を行っています。
しかし読者の方の中には、支援したいという気持ちはあっても、寄付に踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では以下の項目を通じて、寄付に対する不安や疑問を解消し、どのようにして支援ができるのかを詳しく解説します。
- ひとり親家庭や母子家庭を支援する団体の紹介
- 日本における「相対的貧困」とは?海外との比較
- 貧困家庭を支援する寄付先・募金先の選び方
あなたにぴったりの寄付先がきっと見つかるはずですので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
ひとり親家庭支援の募金先NPO3選
まずは「すぐにおすすめの寄付先を知りたい!」という方のために、寄付ナビ編集部が厳選したおすすめの団体を3つご紹介します。
グッドネーバーズ・ジャパン:貧困に苦しむシングルマザーを、食品の寄付で支える
母子家庭では、多くの方々が所得の低さに悩み、食事すら十分に摂ることができないといった現状があります。
そしてお母さんの美紀さん。
グッドネーバーズ・ジャパン HP
以前は食費節約のために美紀さんだけが食事を抜くこともあり、そんなときに、葵ちゃんからこう聞かれたそうです。
『ママ、どうしてご飯たべないの?』
そこで、低所得のひとり親家庭を対象に食品を配付することで、ひとり親家庭のを食事をサポートする取り組みを行なっているのがグッドネーバーズ・ジャパンです。
この「グッドごはん」という取り組みは2017年9月に始まりました。
現在は大阪や九州にも、同様の活動が広がっています。
活動内容 | 低所得のひとり親家庭に食料を届ける |
活動地域 | 東京都・神奈川県・大阪府・佐賀県周辺など |
支援対象 | 経済的に困窮しているひとり親と子ども |
寄付の使途 | 食品の調達、食品を保存する設備費や輸送費、人件費など |
運営団体 | 認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン |
編集部オススメのポイント!
「子どもにお腹いっぱい食べさせてあげたい」
そんな想いを抱えながら、毎日精一杯働くひとり親家庭をサポートされたい方は、寄付を検討されてみてくださいね。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
フローレンス:ひとり親家庭が“貧困の連鎖”から抜け出すため、病児保育など支援
女性の社会進出も進み、結婚・出産が仕事に及ぼす影響にも社会が寛大になりつつありますが、妊娠した女性や小さなお子様を持つ女性が働きづらい状況も未だにあるのが現実です。
ましてやひとり親ならなおさら。
ひとり親家庭は、低収入であることが多く、子育ても仕事もすべて一人で抱えています(認定NPO法人フローレンス WEBサイトより)。
そして、子育てをしながら働くひとり親が最も困ってしまうのが「子どもの病気」なんです。
大変なのは「子どもの急病時」です。
フローレンス HP
(中略)休みが続くことで収入が減り、最悪の場合はリストラの対象になるなど収入格差が生まれやすく、それが子どもの教育機会・社会的格差につながり、子ども自身の未来にも悪影響が及ぶ……という「世代間での貧困の連鎖」を生んでいきます。
そんなひとり親のために始まったのが「ひとり親支援」。
ひとり親家庭のために低価格で病児保育を提供することで、この貧困の連鎖から抜け出そうとしているのが「認定NPO法人フローレンス」です。
フローレンスは他にも、2004年に法人設立以来、赤ちゃん縁組や障害児保育といった事業を展開。
「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」をミッションとして活動しています。
活動内容 | 病児保育、障害児家庭支援、ひとり親家庭支援、経済困窮家庭支援、にんしん相談、特別養子縁組、こども宅食、政策提言活動など |
活動地域 | 日本各地 |
支援対象 | 子ども、ひとり親家庭、障害児家庭、経済的困窮家庭、赤ちゃん・妊婦など |
寄付の使途 | ひとり親家庭への病児保育提供、食品・日用品配送、孤立する妊婦の相談支援など、フローレンスの活動全般 |
運営団体 | 認定NPO法人フローレンス |
この他にも「赤ちゃん縁組」や「障害児保育」といった、子ども・親子をめぐる社会課題に取り組んでいます。
編集部オススメのポイント!
「母子家庭にまつわる格差をなくしたい」や「懸命に働くひとり親を応援したい」と考えられる方は、支援先として検討してみてよいかもしれません。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
チャンス・フォー・チルドレン:ひとり親世帯など、貧困家庭の子どもに学校外教育を提供
最後に紹介するのは、低所得世帯の子どもを対象に、塾や習い事で使えるスタディクーポンを支給している公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンです。
所得水準や家庭環境などを勘案して、支給する子どもが決定されていますが、結果的にひとり親世帯の利用が多いそうです。
たとえば渋谷区では、利用者の6割近くがひとり親世帯であることが分かっています。
(出典:渋谷スタディクーポン事業 中間評価報告書ダイジェスト版)
3歳の頃に父を亡くしました。
母は生活保護と事務のパートで生計を立て、僕を育ててくれました。
家計に余裕があるはずもなく、幼い頃から貧しい生活でした。(中略)「今、しっかり勉強して大学を卒業し、会社に入れば母を支えられるかもしれない」と思い、CFCのクーポン利用に応募しました。
チャンス・フォー・チルドレン HP
クーポンをもらってからは予備校と自宅で懸命に勉強しました。
おかげで大学に合格することができました。
母子家庭などの困難な状況にある子どもであっても、スタディクーポンがあれば「やりたいことにチャレンジする」ことができます。
学力の向上に資するのもさることながら、子どもの自己肯定感にも良い影響があります。
活動内容 | スタディクーポンの支給、大学生ボランティア等による相談支援 |
活動地域 | 岩手県、宮城県、福島県、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、兵庫県、大阪府、京都府など |
支援対象 | 経済的困難を抱える子ども・被災した子ども |
寄付の使途 | クーポン発行費、大学生ボランティアの相談支援費、スタッフ人件費など |
運営団体 | 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン |
CFCサポート会員に申し込むと、毎月1,000円からの寄付で、こうした活動を応援することができます。
編集部オススメのポイント!
チャンス・フォー・チルドレンへの寄付は寄付金控除の対象です。
確定申告すれば、寄付した金額の約半分ほどが還ってくるのもポイントです。
「家庭環境にかかわらず、子どもがやりたいことを応援したい」
「貧困の連鎖を断ち切れるのは、教育の支援だと思う」
こんな風に感じていただけた方は、ぜひ寄付を検討されてみてはいかがでしょうか。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
ひとり親家庭を取り巻く貧困問題の現状と課題
ひとり親家庭の貧困問題は、日本社会において深刻な課題となっています。
ここで言う「貧困」という言葉について、少し考えてみたいと思います。
貧困という言葉から、どこか遠い国の飢餓で苦しむ子ども、といった想像をする人も多いと思います。日本でスマートフォンを持ち、コンビニで菓子パンや駄菓子などを買っている人が「貧困」であるといわれてもピンとこないかもしれません。
「貧困」には、「絶対的貧困」と「相対的貧困」という二つの考え方があります。
・ 絶対的貧困
世界銀行が定義する「1日を2.15ドル未満で過ごす人」。
一般的な貧困のイメージはこの「絶対的貧困」に該当します。
(引用:World bank)・相対的貧困
「貧困線(等価可処分所得の中央値の半分の額)を下回る等価可処分所得しか得ていない者」。
つまり、世帯の収入から、税金や社会保険料等を引いた「手取り収入」 の中央値の半分以下の生活を送る人。
「絶対的貧困」は、食べ物や水を得ることも難しく生きること自体が困難な状態と言えるでしょう。一方「相対的貧困」は、確かに水を飲むには困らなければ、一応食事もできているけれども、我慢したり困ったりすることが人よりもかなり多く、他の人との暮らしの差を毎日突きつけられる状態とも言えます。
日本における相対的貧困率は 15.4%で、 子ども(17 歳以下)の相対的貧困率は 11.5%です。これは子ども約8~9人に対して1人の割合です。
この相対的貧困率について、先進国の集まりとされているOECD加盟国38か国中、日本は13番目に高いのです。
ひとり親の貧困率はOECD加盟国中、なんとワースト1位です。
さらに、世界規模の課題について国際的な話し合いを行う場であるG7の、参加国7か国のうち、日本のひとり親世帯の就労率は圧倒的に高いのですが、同時に、貧困率も高いのです。
つまり、私たちが住む日本では、既に貧困に喘いでいるひとり親家庭において、働いているにも関わらず貧困である、ということが言えるのです。
ひとり親家庭を取り巻くこうした問題に対して、前章で紹介した団体が様々な分野で支援を届けています。
これらの支援は、国や地方自治体だけでなく、NPOや企業、市民による協力も不可欠です。子どもたちが安心して成長できる環境を整えるためには、社会全体が協力し、継続的な支援を行うことが求められています。
インタビュー:貧困家庭の実態は?年収200万円未満「女手一つ」で子育て
グッドネーバーズ・ジャパンの職員として、ひとり親家庭を支援している細川もなみさんに、困窮する母子家庭の現状について、インタビューさせていただきました。
- お名前:細川 もなみ さん
- グッドネーバーズ・ジャパンに入職した理由:学生時代にボランティア活動に打ち込んだ経験があり、社会貢献に直接つながる仕事がしたいと思ったからです。
- 仕事への想い:支援が必要な子どもたちの現状を皆さまへお伝えしたい、ご支援いただいた方へ「活動の報告」や「支援を受けた方の声」をしっかりとお届けしたいです。
- ご家族について:私自身もひとり親で、中学生の息子と2人暮らしです。
今日は「グッドごはんの支援を受けるひとり親家庭」についてお伺いしたいと思っています。
今はやっぱりコロナ禍で仕事を失ったという方も多いと思うんですが…状況はいかがでしょうか?
私たちグッドネーバーズ・ジャパンでは、グッドごはんの利用者を対象としたアンケート調査を定期的に実施しています。
そのアンケートによると、利用者の47%が公的補助金などを含めても200万円未満の世帯年収で暮らしています。
皆さん少ない収入の中でやりくりしながら子育てをし、ギリギリの暮らしをしている方が本当に多いことがわかります。
補助金含めて年収200万円未満ですか…
どれほど生活が大変なのか、想像できます。
また、アンケート回答者のうち9割が就労しているのに、そのうち約6割はパートや派遣などの非正規雇用でした。
労働時間についても、半数以上が早朝、夜間、土日祝日など平日昼間以外の時間に働いていると回答しています。
なるほど…ひとり親のお母さんは不安定な状況の中で、
子育ても仕事も、ほぼ休みなく頑張っているんですね。
実は、私自身もシングルマザーで、家では中学生の息子と2人で生活しています。
ひとり親になってすぐの頃は、世帯収入が半分以下になり、公的な手当をいただいて暮らしていたので、限られた収入の中で家計をやりくりする大変さはとてもよくわかります。
細川さんにも、同じように大変な時期があったんですね…
細川さんがグッドごはんの活動に参画されていることに、深い意味を感じます。
「グッドごはん」の活動には、ひとり親として子育て真っ最中の私だからわかること、できることがあると感じています。
仕事も家事も子育ても一人で頑張っているお母さんたちに、支援者の皆さまからの温かい想いの詰まった食品を届け、共に寄り添っていけたらいいな、と思っています。
ご自身でのご経験があるからこそ、当事者の状況や気持ちを深く理解できるのですね。
それが「グッドごはん」の活動にいきていることがよく分かりました。
同じシングルマザーだから分かる、スタッフ細川さんの想い
細川さんも同じひとり親として、奮闘される毎日だと思いますが、ひとり親家庭にはどんな支援が必要なのでしょうか?
たとえば、収入がないときに、物理的にお金や食品の支援が必要なのはもちろんあります。
でも、それ以上に、周りに自分や子どもを気遣ってくれる人がいること自体が心の支えになる、ということです。
金銭的・物理的な支援だけではなく、精神的な支えとなるサポートも「ひとり親支援」には重要ということでしょうか。
はい。「グッドごはん」を利用している方とお話ししたり、アンケートに書いてもらったことを読んだりする中で、お金がないこと以上に「精神的な不安」が大きいのかな、と思っています。
- 「具合が悪くても仕事や家事、育児や介護を1人で全部しなければならない。精神的な負担がすごく食事も睡眠もとれない」
- 「自分の余裕のなさや心の拠り所のなさに不安や、子どもに当たってしまう時があることが今一番の悩みです」
といった声もありました。
ひとり親家庭だと、困った時に相談できる大人が家族の中に誰もいないんですよね。
もちろん自分の親や兄弟が身近にいれば相談できる人もいると思うんですが、それができない方も大勢います。
なるほど、そうやって孤立状態に陥ってしまうのですね。
それに、親や兄弟がいても離れて暮らしていたり、心配かけたくなかったり、そこまで大ごとにするような悩みではないかな、と思うと自分一人で何とかしなきゃ、と抱え込んでしまうことがあると思います。
そういう小さなことが積み重なって、知らない内に大きくなっていることがあります。
細川さんのお話を伺っていると、社会全体で子育てができる仕組みづくりが急務と感じます。
誰もが「助けて」と声を上げられる社会にしていきたいですね!
本当にそうですね。
利用者の中には「今は受け取ることしかできていませんが、支援していただくだけでなく何か出来ることがあれば良いなと感じております」とか、「自分もいつか社会貢献して恩返しがしたい」と言ってくださる方も大勢います。
このグッドごはんが「支援される側」とか「する側」の垣根を越えて、支援の輪が広がっていくといいな、と感じています。
本日はありがとうございました!
「ひとり親として子育て真っ最中の私だからわかること、できることがある」という言葉の力強さに、細川さんがグッドごはんにかける想いを感じました。
今後も「ひとり親」の支援のために個人単位でもできることを考え、行動していきたいと思います。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
母子家庭への寄付でよくある質問
実際に寄付を検討する際、疑問や不安に思うこともあると思います。それらをまとめましたので、ご参考にしていただければと思います。
すでに国による支援があるから寄付は不要では?
日本では、児童扶養手当や就学援助など国による支援がありますが、それだけでは不十分な分野が多く存在します。特に、学習支援、メンタルケア、医療費支援などの個別ニーズには対応しきれていません。
NPOやNGOは、国の支援が届きにくい部分を補完し、より細やかなサポートを提供しています。
これらの活動を応援する個人の寄付は、そうした不足を埋め、すべての子どもが必要な支援を受けられるために重要な役割を果たします。
なぜひとり親家庭への支援が必要なの?
日本では、子どもの9人に1人が貧困状態にあり、特にひとり親家庭の相対的貧困率は約半数という状況です。これにより、ひとり親家庭は生活費、教育費、医療費などの負担が大きく、子どもたちが十分な支援を受けられないケースが多くあります。
特に、教育や学習支援、医療費の助成、生活支援といった分野での支援が不可欠です。NPOや政府の支援を通じて、ひとり親家庭の子どもたちが貧困の連鎖から抜け出し、健全な発達と成長を遂げるためのサポートが求められています。
支援先として信頼できる?3つのチェックポイント
ここまで読んでいただき、様々な支援の形や支援団体について知っていただけたかと思います。
しかし、中には「結局どこに支援したらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません
そんな方のために、寄付ナビが考える「支援先として信頼できるかのチェックポイント」をご紹介します。
一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。
企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。
その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
- 職員の顔が見えるか?
- 活動によって問題を解決しているか?
- 透明性の高い会計報告を行っているか?
支援を迷っている団体があれば、是非参考にしてくださいね。
まとめ:ひとり親への支援は様々な形がある
この記事では、日本国内の子どもたちへの支援活動の例として、3つの団体をご紹介しました。
団体名 | 寄付ナビ編集部オススメのポイント |
グッドネーバーズ・ジャパン | ①低所得のひとり親家庭を対象に食品を配付 ②寄付の使途は食品の調達、食品を保存する設備費や輸送費、人件費など |
フローレンス | ①ひとり親家庭が“貧困の連鎖”から抜け出すため、病児保育など支援 ②「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」をミッションとして活動 |
チャンス・フォー・チルドレン | ①低所得世帯の子どもを対象に、塾や習い事で使えるスタディクーポンを支給 ②「家庭環境にかかわらず、子どもがやりたいことを応援したい」という方にオススメ |
寄付金額や方法、各団体の用途も様々ありましたがボランティアを募集している団体も多くあります。
しかし、なかなか直接現場に出向いたりひとり親との交流が少ないのも現状ですよね。
それでも「ひとり親家庭を寄付で応援したい」という方にとって、支援先選びの参考になれると嬉しいです。
子育ては2人でも苦悩や困難が多い時期もたくさんあります。
一人で頑張るシングルマザーやその子どもたちを、あなたも寄付という形で応援してみませんか?