(出典:カタリバHP)
【2024/11/18更新】
今の日本において、若者を取り巻く環境は決して明るいものとは言えません。
貧困、虐待、失業、いじめ、不登校など、課題は山積しており、それらの結果として教育や就業の機会を失う若者が多く存在しています。
さらに、こうした機会の損失は若者の孤立を深め、時には犯罪に走るケースも見られます。
特に悲しいことに、日本の10代、20代における死因の第1位は「自殺」です。
この深刻な状況を改善するため、NPOなどの団体が若者を取り巻く様々な問題に取り組んでおり、私たちも募金や寄付を通じてその活動を支援することができます。
しかし読者の方の中には、支援したいという気持ちはあっても、寄付に踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では以下の項目を通じて、寄付に対する不安や疑問を解消し、どのようにして支援ができるのかを詳しく解説します。
- 日本の若者を支援する団体の紹介
- 「若者の貧困」とは
- 若者の貧困化を防ぐための活動
- 寄付先・募金先の選び方
あなたにぴったりの寄付先がきっと見つかるはずですので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
多様な困難を抱える日本の若者を支援するNPO3選
まずは「すぐにおすすめの寄付先を知りたい!」という方のために、寄付ナビ編集部が厳選したおすすめの団体を3つご紹介します。
カタリバ:教育支援や居場所づくりで、すべての若者が意欲と創造性にあふれる社会を
高校時代、友達とおしゃべりに熱中したり、夢を見つけて部活や勉強に夢中で取り組んだり、毎日をのびのびと過ごした方は多いのではないでしょうか。
しかし、生まれ育った環境によって苦境に陥り、その困難に一人で立ち向かわざるを得ない若者が日本にも多く存在します。
たとえば、貧困を理由に進学を諦めた高校生。
被災し、落ち着いて勉強する環境を失った受験生。
家庭を支えるためにアルバイトに励み、学習時間を削り、学校を休みがちになる学生。
どのような気持ちで毎日を過ごしているのかと思うと、心が苦しくなります。
認定NPO法人カタリバは、「意欲と創造性をすべての10代へ」をミッションに掲げ、小学生から高校生に対する教育支援や居場所づくりを行う団体です。
活動内容 | 安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供や学習支援、探究学習の実践支援など |
活動地域 | オンライン(全国)、岩手県、宮城県、福島県、東京都、島根県に加え、各地域団体を後方支援 |
支援対象 | 主に日本の小学生〜高校生など |
寄付の使途 | 人件費、教材・備品・消耗品費、移動・交通費など |
運営団体 | 認定NPO法人カタリバ |
カタリバが目指すのは、どんな環境にいたとしてもすべての子どもや若者が夢や可能性を広げられる社会。
その実現に向けた活動の資金となるのは、企業や個人から寄せられる寄付です。
カタリバとともに、若者がのびのびと生きられる社会をつくりたい!という方は、毎月の寄付をぜひ始めてください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
チャンス・フォー・チルドレン:スタディクーポンで教育の機会を!貧困家庭の若者が未来を拓く力を育む
大学受験を目指す多くの高校生が塾や予備校に通う近年、学校の授業だけで受験を勝ち抜くのは難しくなりつつあります。
家庭の収入など経済的な事情から、意欲はあっても通塾できない貧困家庭の若者は厳しい戦いを迫られています。
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンは、そんな貧困家庭の若者にスタディクーポンを提供。
クーポンを利用して、塾や予備校、家庭教師など学校外の教育活動を受けることで、若者が自分自身の力で未来を拓くお手伝いをしています。
チャンス・フォー・チルドレンが提供するスタディクーポンは寄付を原資にしており、塾や予備校を始め、英会話やピアノ教室など2,600教室以上の学校外教育活動に利用できます。
チャンス・フォー・チルドレンのHPには、高校3年生のときにクーポンを得て予備校に通い、猛勉強の末に大学進学を果たした利用者の声が掲載されていました。
クーポンは気持ちの面での支えが大きかったです。応援してくれる人がいるから頑張らないとって」
チャンス・フォー・チルドレン HP
(中略)
あれから10年。新卒から、転職支援の会社で働いている。今ではチームの中でも中堅の立場になった。「10年前、CFCを通じて進学を支えてもらった。僕も誰かの人生の岐路を支えたくて、この仕事を選びました」
寄付を原資にしたスタディクーポンで若者の進学を支援し、さらに「応援しているよ」というメッセージを届けることができるのですね。
活動内容 | スタディクーポンの支給、大学生ボランティア等による相談支援 |
活動地域 | 岩手県、宮城県、福島県、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、兵庫県、大阪府、京都府など |
支援対象 | 経済的困難を抱える子ども・被災した子ども |
寄付の使途 | クーポン発行費、大学生ボランティアの相談支援費、スタッフ人件費など |
運営団体 | 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン |
大学への進学は、若者の可能性を広げるだけでなく、その後の就職や給与にも影響します。貧困の連鎖を断ち切るためにも、非常に重要な要素です。
編集部オススメのポイント!
「若者が可能性を拓く一助になりたい!」と思われた方は、月1,000円から始められる「CFCサポート会員」へ入会してはいかがでしょうか?
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
アクセプト・インターナショナル:加害者側であっても「誰一人取り残さない」非行少年の更生を支える
14歳以上20歳未満で罪を犯した男女は非行少年と呼ばれます。
少年事件が年々減少している一方で、少年院を出た非行少年が5年以内に再度少年院または刑務所に入所する割合は22.7%。
およそ5人に1人が5年以内に再犯してしまっていることになります(出典:法務省 犯罪白書2020)。
非行少年たちは犯罪の加害者という過去を持っていますが、彼ら彼女らを単に「加害者」として社会から分断するのではなく、社会復帰を促していくことが次の犯罪の抑制につながります。
非行少年の更生を支える役割の一つが「保護司」という仕組み。
「保護司」は、少年院等を出所した非行少年に生活についてのアドバイスや就労支援、生活環境の調整などを行う民間のボランティアです。
保護司をはじめ、社会福祉士や臨床心理士、弁護士など少年院出所後の若者を支える協力者とともに、非行少年達の暮らしや就労をサポートし、社会復帰を果たせるように伴走しています。
活動内容 | 非行少年の社会復帰支援、在日外国人の生活支援など ※ |
活動地域 | 日本 |
支援対象 | 少年院経験者、保護司 ※ |
寄付の使途 | 社会復帰プログラムの提供など ※ |
運営団体 | NPO法人アクセプト・インターナショナル |
※ 日本での活動についての例
編集部オススメのポイント!
アクセプト・インターナショナルのミッションには「誰一人取り残さない、たとえ加害者とされる人であっても」とあります。
1日50円(月1,500円)からの定額寄付を行う「アンバサダー」になって「誰一人残さない社会」の実現の応援をご検討ください。
日本の若者の多くが”貧困”状態?
日本では少子高齢化とともに、貧困の形態も多様化しています。
ホームレスだけでなく、日雇い宿やネットカフェを利用する人々、友人宅を転々とする人々も増えており、問題は一層深刻になっています。
若者の貧困が起きる理由について、一部を紹介します。
非正規雇用の増加
総務省の発表によると、現代社会の3人に1人が非正規雇用者で、その数は100万人〜270万人となっています。
このように若者の多くが非正規雇用に従事しており、安定した収入を得にくい状況にあります。非正規雇用は低賃金で福利厚生が不十分な場合が多く、貧困につながりやすいです。
教育費の負担
高等教育の進学率が高い一方で、学費や生活費の負担が大きく、奨学金の返済に追われる若者が多いです。
2014年の日本学生支援機構による発表では、大学卒業後、収入が低いことにより返済を3か月以上延延滞している人は17万3000人にものぼっているとのことです。
家庭の経済状況
家庭の経済的困難が、若者の進学や就職に影響を与え、将来の収入に直結することがあります。経済的に厳しい家庭では、進学を諦める、または早くから働く必要があり、貧困の連鎖が生じることがあります。
特にひとり親家庭では深刻な状況となっています。
厚生労働省が2023年に公表した報告書では、子どもの約9人に1人が貧困状態にあり、ひとり親になるとおよそ半数が生活困窮に陥っているとされています。
このように、10代〜30代の若者が貧困に陥ってしまう背景は極めて複雑で、中には生まれ育った家庭環境が原因となり、貧困のスパイラルから抜け出せないケースもあります。
若者の貧困化を防ぐために
改めて、若者が早い段階から貧困から抜け出すための活動や支援を行っている団体について、紹介します。
地域の方々と食卓を囲み、子どもたちに”安心”を届ける「子ども食堂」
子どもの貧困対策に力を入れている東京都足立区から、カタリバが事業を受託する形で、2016年8月にスタートしたのが「アダチベース」です。
アダチベースは、子ども食堂としての役割も含む、居場所支援の拠点です。
アダチベースのコンセプトは、子どもたちが泣いたり笑ったり、そのままの自分を受け入れて安心できる居場所として、心の安全基地を届けること。
2022年度は、アダチベースを通して、239人の子どもたちに安心を届けています。
アダチベースでは、地域の方々と一緒に食事をいただきます。平日は毎晩、長期休暇中は昼夜2食、食事を提供しています。
調理は子どもたちも一緒になって近隣の方々と協働で行い、一緒に食卓も囲むことで、「一緒につくる、一緒に食べる、一緒に片付ける」という体験を通じた安心感や、承認機会をつくっています。
カタリバHP
活動内容 | 安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供や学習支援、探究学習の実践支援など |
活動地域 | オンライン(全国)、岩手県、宮城県、福島県、東京都、島根県に加え、各地域団体を後方支援 |
支援対象 | 主に日本の小学生〜高校生など |
寄付の使途 | 人件費、教材・備品・消耗品費、移動・交通費など |
運営団体 | 認定NPO法人カタリバ |
誰かと一緒に食卓を囲む、私たち大人にとっては、それは当たり前のことかもしれません。
しかし、そんな当たり前の機会を失った子どもたちがいるのです。
そうした子どもたちに「食事支援を通じて安心できる居場所づくりに関わりたい」とお考えの方は是非寄付をご検討ください。
編集部オススメのポイント!
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寄付金控除の対象団体です
学校外でも教育格差を生まないための「スタディクーポン」
子どもの教育格差は、放課後(学校外)で生まれています。
チャンス・フォー・チルドレンは「スタディクーポン」を通して、経済的困難を抱える子どもたちが、学習や文化・スポーツなどの活動に参加できるような支援を行っています。
スタディクーポンは寄付金を原資に成り立っており、集めた寄付金は、学習や文化・スポーツなど様々な体験活動に使用されます。
- 使途は教育に限定:寄付を原資に、学習塾や習い事、体験活動等で利用できるスタディクーポンを提供(年額15~30万円分)。現金給付と異なり、使途を教育プログラムに限定できるため、子どもたちに確実に教育の機会を届けることができる
- 学習や文化・スポーツなど豊富な選択肢:学習・文化・スポーツ・体験活動など、多様な選択肢の中から、子ども自身がやりたいことを選ぶことができる。地域の2,900以上の教室や団体がクーポンの利用先として参画しており、子どもからのリクエストに応じて随時教室等を追加している
- 大学生ボランティアによるサポート:大学生ボランティア「ブラザー・シスター」が定期的な面談を通して学習や進路の相談に応じ、安心してクーポンを利用できるようサポート
また、スタディクーポン事業は、公費を使った自治体の政策としても取り入れられ、全国に広がっています。
チャンス・フォー・チルドレンでは子ども・家庭の実態調査や、国や自治体活動への政策提言も行っており、今後も国内の子どもの教育格差や体験格差を無くすための活動を続けていきます。
スタディクーポンの評判や口コミについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も是非お読みください。
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寄付金控除の対象団体です
支援先として信頼できる?3つのチェックポイント
ここまで読んでいただき、様々な支援の形や支援団体について知っていただけたかと思います。
しかし、中には「結局どこに支援したらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません
そんな方のために、寄付ナビが考える「支援先として信頼できるかのチェックポイント」をご紹介します。
一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。
企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。
その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
- 職員の顔が見えるか?
- 活動によって問題を解決しているか?
- 透明性の高い会計報告を行っているか?
支援を迷っている団体があれば、是非参考にしてくださいね。
まとめ:「日本の若者に寄付したい」という方の参考に
この記事では、日本国内における多様な若者支援を行う募金先を3つ紹介しました。
団体名 | 寄付ナビ編集部オススメのポイント |
カタリバ | ① 10代を対象としたキャリア教育で、子どもの意欲と創造性を引き出し、育む ② 創業者とスタッフの皆様の情熱が共感を呼び、3万人以上の支援者が活動を支えている |
チャンス・フォー・チルドレン | ① 低所得世帯の子どもを対象に、塾や習い事で使えるスタディクーポンを支給 ② 「家庭環境にかかわらず、子どもがやりたいことを応援したい」という方にオススメ |
アクセプト・インターナショナル | ① 海外事業を通じて培ってきた知見とネットワーク ② 社会復帰後の再犯を防ぐための活動を展開 |
今の若者世代は一昔前と比べて社会とのつながりを感じられず、孤立を深めやすかったり、困難に陥ったときに助けを求めにくい状況にあるのかもしれません。
寄付という行為は「あなたはひとりじゃない」と伝える方法でもあります。
この記事をきっかけに、若者を応援する手段として寄付を始めていただければ幸いです。