NPO/NGOが寄付を募るため、広告を出すのは有り?無し?運営費への大きな“誤解”

インターネット上や電車・駅の看板、ダイレクトメールに時にはテレビまで。
非営利団体が、寄付金を募る広告を展開しているのを、ご覧になったことがあるかもしれません。

「寄付金が広告費に使われていたら・・?」と疑問や、時には批判の声が寄せられることもあります。
NPOやNGOが寄付を募るために広告費をかけるのは、「有り」「無し」どちらなのでしょうか?

「あなたの寄付が、もし広告費に使われたら・・?」賛成はわずか21.4%

広告宣伝費などいわゆる「間接費」に寄付を活用することについて、寄付をした方はどのように感じているのでしょう。

寄付白書 2017」(日本ファンドレイジング協会)で公表されている、調査結果を紹介しましょう。

あなたが途上国への医療支援を提供しているNPO/NGOに寄付をすると仮定してお答えください。
あなたは、その事業を遂行するために、あなたの寄付を宣伝広告費や事務所費などにも使うことについてどのようにお感じですか。

アンケートに協力したた906人の回答を集計すると、「使ってほしくない」が36.4%。
「使っても構わない」の21.4%、「どちらとも言えない」の31.6%、「わからない」の10.6%を上回りました。

白書では「広告費や事務所費については、人件費への使用に比べると支持する人は 少なくなるが、それでも21.4%が使っても構わないとしており、一定数が容認する可能性がある。」と捉えられていますが、お金を出す側には、拒否感の方が強いようです。

もし「恵まれない子どものために使ってほしい」と出したお金が、もし派手な広告や華美なパンフレットのために使われていたら、「そんなつもりではなかった!・・」とイヤな感じを受ける人の方が多いでしょう。

なぜ寄付の使い方への“常識”は、「完全に間違っている」のか?

では社会全体の視点から見たとき、広告宣伝費などマーケティング投資のために「寄付を活用してはダメ」という考え方は、本当に役立つのでしょうか?

その考え方は「完全に間違っている」と否定するのは、米国で非営利団体の資金調達を手がけてきたダン・パロッタ氏。
チャリティーに対する考え方は完全に間違っている」と題された講演で、自身がエイズ関連活動に寄付を募ったときの体験を公開しています。

エイズ救援の非営利団体が、突然に「倒産」した事情

「寄付金を、間接経費に使うな」というメディアの批判によって、スポンサーが激減。

乳癌研究のために使える費用として71億円を集めていたのにかかわらず、「84%減に当たる 60億円減って」しまい、最終的には「倒産」したと言います。

私たちが総収益の40%を参加者募集や顧客サービス参加者の思い出づくりに使ったことが責められたのです。
このような成長と 将来のための投資を 表す会計用語がなく あるのは運営コストという悪魔のようなレッテルだけでした 350人の すばらしい職員たちが 全員そろって解雇されました。
運営コストだと レッテルを貼られたからです。

ダン・パロッタ氏が携わった団体「エイズライド」は、500万円の初期投資を受けて 立ち上がったそうです。

「わずか9年間で この資金を1,982倍に増やし 諸経費を除いて 108億円が エイズ関連活動の資金となりました。」という実績からも分かるように、効率的に資金を運用して、社会問題の解決に使えるお金が増えていますね。

将来への“種まき”を怠ると衰退するのは、企業と同じ

このように寄付金を増やしていくためには、もっとたくさんの方に問題を知ってもらい、寄付してくださる方を増やす必要があります。

ところが、はじめから「この課題を解決しなければならない!」「私も身銭を切って、応援する!」と行動を起こしてくださる方は、残念ながら少数派です。

そこで求められるのは、マーケティングへの投資。
企業が商品を売るために「広告を出す」「WEBサイトを作る」などに注力するのと同じです。

たとえ一時的にたくさんの資金を得られたとしても、将来への「種まき」を怠ったらどうなるでしょう?
新しい支援者は徐々に少なくなり、既存の支援者もだんだんと離れていけば、社会問題の解決に使える資金は徐々に減っていきます。

継続的に使える資金を増やすため、支援者を得るためのマーケティング投資は不可欠なのです。

非営利団体への「差別」は、なぜ起こる?

このように冷静に考えれば、非営利団体が支援者を集めるために広告を出すことには、一定の合理性があります。

ところが、もし自身が「寄付したお金が広告に使われる」となると、次のような反応が起こります。

営利事業なら 「販売効果が出せる最後の1ドルまで 広告に使って使って 使いまくれ」と言うのに 慈善活動となると寄付したお金を 広告に使われたくないのです。

私たちの姿勢は 「誰かが広告枠自体を 団体に寄付してくれるなら(中略)寄付金が広告費に流れるのはお断りです。必要な人に 渡してくれ」と思っています。
これはまるで、広告へ投資しても、貧しい人のために衝撃的な程の大金が集まる事なんて ありえない とでも言うようです。

このようなジレンマが、非営利団体が活動を発展させる妨げになっていると、パロッタ氏は語ります。

あなたはどう思う?私自身の体験もシェアします

筆者は、日本にある教育分野のNPO法人で「ファンドレイジング」、寄付などでの資金調達を担当していました。

団体の規模も大きくはなく、ユニセフや赤十字のような知名度はもちろんなかったので、とにかく苦労したのが新しい支援者集め。
私自身は広告代理店に勤めていた経験があったので、WEBサイトの改善やネット広告などを活用して、なんとか寄付収入を増やすことができました。

費用をかけて広告を出すときには、費用対効果に気をつけるのはもちろんですが、上手に活用できれば、かけた費用の何倍もの収入を得られます。
新たにもたらされた寄付収入によって、被災地や貧困に苦しむ子ども達に「勉強する機会」を提供できましたし、それだけでなく嬉しかったのが広告を通じて私たちの活動を知り、仲間になってくださった支援者の方々と出会えたことでした。

私自身は、広告費をかけて寄付者を募るのは、効率的な運用ができれば、活動の規模を広げたい非営利団体にとっては有効な武器になると体感してきましたし、今もその支援をしています。
寄付者の方々の理解に恵まれてたと感じていますが、同時にパロッタ氏が訴えるジレンマに悩まされたこともありました。

あなたは、この記事を読んでどう思いましたか?

ご自身の寄付が「広告など運営費に使われるのはイヤだ」と思うのか。
それとも、活動のために効率的に投資されるのなら、「運営費に回してもいいよ」と答えるのか。

最後に、パロッタ氏のスピーチで印象に残った言葉を紹介して、本稿を締めさせていただきます。

慈善活動を選ぶ時は、今後は運営費の割合を聞くのではなく、夢の規模を聞いて下さい。
アップル・グーグル・アマゾン級の 夢を持っているかを聞いて、夢実現の進捗をどう測り、(中略)何が夢の実現に必要かを 聞いて下さい 。

問題が実際に解決されるのだったら、運営費をなんてどうでもいいですよね? 
みなさんがそのような寛大さを持てるなら、(中略)非営利セクターは、世界が変わることを切に必要としている人のために「世界を変える」という大きな役割を果たせます。

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