義援金と支援金(寄付・募金)の違いは?震災や台風などの緊急支援で、どちらを選べばよい?

被災地の子どもたちのために、
今、行動を起こしていただけませんか?

2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方とそのご家族、関係の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

被災地支援のための寄付について、信頼できる寄付先・支援先、寄付の使い道など、以下の記事でまとめております。是非ご覧ください。

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地震や台風など大規模な自然災害が起こったときに、たくさんの方が参加するのが、「募金」や「義援金」などでの応援。
そんなときによくご質問いただくのが、「義援金を送ると、どのように使われるのか?」「寄付と義援金、どちらを選んだ方が良いのか?」です。
それぞれの違いやメリット・デメリット、どちらを選んだ方がよいのか?をタイプ別に解説します。

義援金と支援金(寄付・募金)、2種類に分かれます

 
緊急時の金銭による支援ですが、正式な定義としては、「義援金」と「支援金」(=寄付・募金など)の大きく2つに分かれます。
 

支援金と義援金の違い(日本財団WEBサイトより)

義援金は、被災者の方々へ贈られるお金

義援金とは、「被災者の方々へ、お悔やみや応援の気持ちを込めて贈るお金」(日本財団WEBサイトより)のことです。
 
義援金の届け先としてすぐに思い浮かぶのは、被災した自治体。
東日本大震災の後には、岩手県や宮城県、またはそれぞれの市町村が義援金を受け付けていました。
 
もう1つのルートが、共同募金会や日本赤十字社など。
「配分委員会」などの公的なプロセスを経て、被災した自治体を通じて、被災者に届けられます。
 
新聞社やテレビ局、募金サイトやチャリティ団体などが、義援金を募っている光景も災害後にはよく見られますね。
その場合はいったん集まった義援金が、共同募金会や日本赤十字などに届けられています。

寄付や募金など「支援金」は、現地で支援をする活動に届く

 
続いて支援金ですが、「あなたが応援した団体、関心がある分野の団体を自分で選んで寄付し、被災地の支援に役立ててもらうお金」(日本財団WEBサイトより)を指します。
 
大きな災害が起こると、ユニセフや国境なき医師団をはじめとした国際NGOが、現地に乗り出して支援活動を展開することがあります。
日本のNGOではピースウィンズ・ジャパンによるレスキュー活動が有名ですし、東日本大震災では大小含めさまざまなNPO法人や公益法人が現地で支援活動を展開してきました。
 
そういった民間団体が「物資を届ける」「スタッフを派遣する」「避難所を設置する」といった活動に必要な資金を募るのが、支援金。
一般的には、「寄付」や「募金」と呼ばれます。
 
上記のようなNPO・NGOが直接に自団体のWEBサイト上で受け付けるほか、「JapanGiving」や「Yahoo!ネット募金」といった、寄付/クラウドファンディングサイトで募られる場合もあります。
「日本財団」や「●●●●」など中間支援団体に集まったお金が、現地で活動する団体に後で交付されるケースもあります。

どちらの方が、有効に使ってくれる?3つのポイントで比較

 
被災者に届く「義援金」と、被災地での活動に使われる「支援金」。
似たように見えて、お金の届き先は違いますね。
 
ひとたび災害が起こったとき、どちらにお金を贈ればより役立ててもらえるのでしょうか?
それぞれのメリットとデメリットを比較しました。
 

ポイント1:被災地の現場ですぐに役立つか?

 
まず義援金ですが、被災者に配分されるまでには、しばらく時間がかかります。
 
義援金は公的なお金のため、特定の地域や人たちにではなく、被災者に平等に行き渡ることが求められます。
そのため、事故被害の調査や都道府県での「配分委員会」、市町村での受け取り手続きなど、定められたプロセスを踏む必要があるからです。
 
東日本大震災では、2011年12月までに3,000億円以上の義援金が届けられました。
 
義援金とは対象的に、現地で活動する団体に支援金が届くと、すぐに活動に使用できます。
寄付や募金が集まれば、「お金がないから、十分な量の物資を購入できない」「活動資金の目処が立たないので、スタッフを引き上げざるをえない」といった事態を防げるはずです。
 
したがって、スピードという面では「支援金」に軍配が上がるでしょう。

ポイント2:お金を効果的に使用してくれるか?

 
続いて効率性や効果(インパクト)という点では、ケースバイケースでしょう。
 
義援金のメリットは、被災した方々に直接にお金が届くこと。
「家が倒壊した」「怪我で働けなくなった」「仕事を失った」など被害にあった方々が、生活を立て直すためにダイレクトに使えるので、被災者にとっては頼りになるでしょう。
 
被災者が自身のために使い方を決められるというのは、逆の意味では「使い道が分からない」ということでもあります。
東日本大震災後には、「見舞金を使って、パチンコに興じている被災者も」といった報道が物議を醸しました。
 
 
支援金の良いのは、資金の使途が見えやすいところです。
災害直後には「避難生活に必要な物資を届ける」「医者や看護婦などを派遣して治療にあたる」といったように、その時々で求められる支援に資金がダイレクトに使われます。
 
しばらく時間が経って「復興」へと地域を再建していくフェーズでも、「子どもたちの教育」や「お年寄りの福祉」といった活動に特化して、支援活動を行なっているNPOやNGOが多々あります。
ご自身が「必要と思う」「活動の趣旨に共感する」「信用できる」団体を選んで寄付できるのが良いところです。
 
「寄付したお金をきちんと役立ててもらえるか?」は、その団体の事業の効率性や組織管理の堅実性によります。

ポイント3:税制優遇は受けられるか?

 
税制優遇については、義援金や支援金ともに受けられますが、条件が若干異なります。
 
義援金については、税務上は「特定寄附金」として、基本的に税制優遇の対象となります。
所得税の税額控除または所得控除のいずれかの対象となるほか、住民税の一部が軽減されます。
 
さらに東日本大震災にあたっては、震災特例が講じられるなど、税制優遇の制度が充実しています。
 
 
支援金については、認定NPO法人や公益財団法人など一定の要件を満たした団体に寄付した場合は、同じく寄附金控除の対象となります。
 
逆に言えば、通常のNPO法人や任意団体などの活動に寄附しても、対象にはなりません。
寄付する前に、「税制優遇を受けられるか?」をチェックするのをお勧めします。

あなたの価値観で、選んでみては?

 
メリットやデメリットを見てきたとおり、義援金と支援金(寄付・募金)のどちらが良いか?はケースバイケースです。
最終的には、「お金を出す人の価値観や信条によって、決めるとよいのでは?」と私は考えています。

政府による公平な決定に重きは置く方は、「義援金」を

 
これまで述べたとおり、義援金の良いところは、国や自治体など公的機関がしっかりと間に入って、被災者に平等に分配すること。
「正確性」や「公平性」を重んじる方、その決定を「政府や自治体に任せるのが安心」という方には、なじみやすいでしょう。

スピードや民間の活力を信じる方は、「支援金」(寄付・募金)を

 
一方、NGOやNPOのスピードや機動力を活かして、現場での裁量やニーズ調査にもとづいて、最も効果的と各団体が信じる活動に使ってもらえるのが支援金の良いところ。
民間の活力(ある意味「起業家精神」や「イノベーション」)を信じる方や、「現場に答えがある」と価値観を抱く方は、支援金(寄付・募金)を選ぶとよいでしょう。

おまけ:個人的には、支援金がお勧め

 
私は、これまで東日本大震災や熊本地震、台湾東部地震などに際して送金してきましたが、いずれも「支援金」を選んできました。
かつてNPOで働いていたということもあり、志や想いをそなえた団体や個人が、創意工夫によって効果的な被災地支援を行なってきた事例をたくさん知っているからです。
 
また、こちらの記事でも書いたピースウィンズ・ジャパンのように、大規模な設備と訓練されたスタッフをそなえて、効率的な緊急支援活動を展開するNGOも出てきています。
次に地震や台風など災害が起こった時には、あなたの価値観やメリット・デメリットを合わせて、最も役に立つお金の出し方を選んでみてください。

被災地の子どもたちのために、
今、行動を起こしていただけませんか?

「被災地に支援を届けたい」「どういった団体が、どんな活動をしているのかわからない」「寄付をしたいが、どこが信頼できるのかわからない」
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