赤い羽根共同募金とは?5分でわかる活動の意味と、集まった寄付金の使い道

募金の代名詞とも呼べるくらい有名な、「赤い羽根共同募金」。
年末になると、有名人などが「赤い羽根」をつけている姿をテレビで見かけた方も多くいらっしゃると思います。
「赤い羽根共同募金とは?」から歴史や活動の仕組み、寄付の使い道や税制優遇などについて解説します。

「赤い羽根共同募金」とは?72年以上の歴史を紐解くと・・

「赤い羽根」や「共同募金」と呼ばれる募金の正式名称は、「赤い羽根共同募金」。
1947年に始まり、72年以上の歴史を持ちます。

戦後復興の「国民助け合い」をきっかけにスタート

第2次世界大戦後の復興を支えるため、「国民助け合い運動」の一環として、「第1回共同募金運動」が全国で展開されたのがきっかけでした。
当時集まった6億円(現在では約1,200〜1,500億円に相当)の資金は、被災した福祉施設のために活用されることに。
募金運動は翌年以降も続き、集まったお金主に地域福祉の推進のために使われてきました。
(参考:社会福祉法人中央共同募金会「平成30年度年次報告書」より)

都道府県ごとの「共同募金会」を、「中央共同募金会」が取りまとめ

共同募金運動を担うのは、47都道府県に設置された「共同募金会」です。
(例:宮城県共同募金会、東京都共同募金会など)
共同募金運動は、都道府県を単位にして行われています。
各都道府県内で共同募金としてお寄せいただいたご寄付は、同じ都道府県内で、子どもたち、高齢者、障がい者などを支援するさまざまな福祉活動や、災害時支援に役立てられます。
(出典:共同募金運動とは
中央共同募金会が、都道府県ごとの共同募金会の活動の「連合会」として、連絡調整や取りまとめなどを担っているようです。

年間176億円もの寄付が集まる使い道は?

赤い羽根共同募金に集まった寄付は、年間に約176億円(平成30年度実績)。
1990年代末をピークに年間の募金金額は減少しているものの、72年間の募金総額は1兆円を超えたそうです
このように全国から巨額の浄財が集まる共同募金ですが、募金の主な使い道は、高齢者や子どもなど「地域福祉活動」への助成。
具体的に、どんな活動を支援して、何に使われているのでしょうか?

市民団体やNPO法人などに資金を「助成」

中央募金会や各都道府県の共同募金会が募金を使って、直接に物資を購入したり活動を展開したりするのではないようです。
市民団体やNPO法人など、地域のために福祉活動をしている団体に「助成」をすることで、募金は活用されています。
赤い羽根共同募金で集まった募金の約7割は、募金をいただいた地域で使われます。
残りの約3割は、皆さまの住んでいる市区町村を越えた広域的な課題を解決するための活動に、都道府県の範囲で使われています。
(出典:共同募金運動とは
平成30年度には「共同募金助成」として、約151億円近くが交付されたそうです。

「障害者スポーツ」や「高齢者の配食サービス」など、支援活動はさまざま

このような市民に地域福祉活動を対象に、全国 5万144件の助成がされたとのことです。
「障害者」や「高齢者」、「子ども」など対象はそれぞれ。
年次報告書に載っていた、具体的な活動の事例をピックアップしました。
  • 産後うつ、孤立などを防ぐ子育て支援(群馬県 キッズバレイ)
  • 子ども食堂支援(福島県 あだたら青い空)
  • 盲ろう者のための生活訓練事業(千葉県 NPO法人千葉盲ろう者友の会)
  • DV被害女性支援者の養成講座を開催(秋田県 びーらぶ秋田)
  • 子どもたちと高齢者に交流の場を提供(宮崎県 NPO法人手仕事舎そうあい)
また、「全国的な波及効果のある先駆的 ・ モデル的な取り組み」を対象とした、中央共同募金会が直接助成する「赤い羽根福祉基金」が創設されて今年で3年目を迎えたそうです。
都道府県単位の地域活動にとどまらずに、助成がされています。

大規模な災害時には、義援金・準備金や「ボラサポ」による支援も

これらの通常の取り組みに加えて、「7月豪雨災害」や「大阪府北部地震」などの大規模な自然災害に際しても、支援活動も実施しているとのことです。
  • 被災された方への見舞金となる「災害義援金」の募集・配分
  • 災害ボランティア活動 等を支援するための「災害等準備金」の積み立て・助成
被災地等で活動する ボランティアグループや NPO のための支援金として、「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」(通称「ボラサポ」)による助成も、被災地支援を行う多くの団体に活用されてきました。

募金の方法は?インターネットや職場・学校・知人経由、街頭など、さまざま

赤い羽根に募金したい方は、どうすればよいでしょうか?
さまざまな方法で寄付は受け付けされているようです。

職場や学校、知人経由で募金

職場や学校などが、共同募金運動に参加している場合もあります。
「募金ボランティア」と呼ばれる個人の方が、知人など各家庭を回って募金を募っている場合もあるそうです。

街頭募金に参加

募金箱を抱えて、街頭で寄付を募っている方に、寄付する方法です。
現金を代表者に預けたり、募金箱にお金を入れたりれば、まとめて寄付してもらえるので、手続きが簡単ですね。

「NHK歳末たすけあい募金」に寄付

毎年12月にNHKが展開する「たすけあい募金」に寄付します。
テレビで流れる銀行口座に振り込みします。

インターネットなどで直接に寄付

クレジットカードやネットバンク、コンビニ振替などを通じて、寄付できる仕組みが用意されています。
詳しくは、中央共同募金会のWEBサイトをご確認ください。

税制優遇や募集期間、金額の目安など

最後に、募金を検討している方がよく気になる質問や疑問にお答えします。

税制優遇は受けられる?

個人の場合、いわゆる「寄附金控除」、所得税の「所得控除」または「税額控除」が受けられます。
さらに、お住いの都道府県の共同募金会に寄付した場合は、住民税の税額控除の対象になります。
法人についても、財務省の「指定寄附金」に当てはまるため、寄付金の全額を損金に算入することが認められています。
寄附領収書をもらうのを忘れずに、確定申告時に提出するようにしましょう。

募集している期間は?

10月1日~ 3月31日の6か月間、募金運動を実施しているそうです。
(「NHK歳末たすけあい」は12月に実施されていること)
従来10月1日~12月31日の 3 か月間行ってきた募金運動の期間を拡大し、平成28年度からは、すべての都道府県において10月1日~ 3月31日の6か月間の募金運動を実施しています。
ただし、WEBサイトからは通年で募金を受け付けているように見えます。

いくら募金すればよい?

目安の金額について、赤い羽根募金のWEBサイトでは特に明示していませんでした。
自治会などで募金を集める場合に、「目安」や「目標額」などが記されている場合も、特に気にしなくて良いそうです。
「あなたの町をよくする」という赤い羽根共同募金の理念に共感した方。
さらに、この記事でもご説明した使い道や活動の仕組みに納得されたりした方が、ご自身の意思で募金の可否を決めるのに、この記事が役立てば嬉しく思っております。

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