かものはしプロジェクト村田早耶香さんの著書から、寄付者の私が学んだ創業の想い

「かものはしプロジェクトの共同創業者、村田早耶香さんってどんな人なの?」
「団体を創業した当初の想いやエピソードを知りたい!」

こんにちは、寄付ナビの鈴木大悟です。

かものはしプロジェクトは、「子どもが売られない世界をつくる」そんな想いで人身売買の問題に取り組む、日本発祥の認定NPO法人です。

私は2018年から現在に至るまで、かものはしプロジェクトのサポーター会員として毎月の寄付を続けています。

今回は、冒頭でご紹介したような思いをお持ちの方へ向けて、村田さんの著書『いくつもの壁にぶつかりながら』(PHP研究所)を読んで、私が学んだことをお話ししたいと思います。

共同創業者の村田早耶香さん

  • 1981年、東京都生まれ。
  • 2001年、子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議に、日本の若者代表として参加
  • 2004年、フェリス女学院大学国際交流学部卒業

活動の歴史

  • 大学在学中に「子どもが売られる問題」と出会い、当時状況のひどかったカンボジアで活動をスタート
  • 2012年、人身売買の被害者数が世界最大と言われているインドに活動を展開
  • 2018年、カンボジアでの問題がほとんどないと言える状態にまで改善され、カンボジア事業を終了
  • 2020年、子どもを取り巻く不条理(暴力や虐待など)をなくすため、日本の子どもの問題にも取り組む

受賞歴

  • 2006年、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2006 リーダーシップ部門」史上最年少受賞
  • 2006年、日本青年会議所「人間力大賞」受賞
  • 2007年、TOYP(ジョン・F・ケネディやジャッキー・チェンも受賞している、世界で最も突出した若者たちに贈られる賞)を受賞
  • 2011年、ジョンソン・エンド・ジョンソンによるヘルシー・ソサエティ賞を受賞し、皇太子殿下に謁見

なぜ「子どもが売られる問題」に取り組み始めたのか?

「ただ生まれた場所が違うだけで、私と同じ女の子が苦しんでいる」

村田さんが児童買春の問題に取り組むきっかけとなった出来事があります。
あるひとりの少女との出会いです。

大学の授業で聞いたのが、十五歳で売春宿に売られたミーチャというタイの女の子の話です。

亡くなったのは二十一歳。
当時の私とそれほど変わらない年齢でした。

日本で暮らす自分とミーチャの置かれた環境の違いを感じて、やるせない気分になりました。
自分は、親に年間何十万円という学費を出してもらい、大学で教育を受けさせてもらっている。
今日も眠いな、なんて思いながら授業に出て、一限の授業にときどき遅れたりもして……。

しかし、ミーチャは十五歳で売春宿に売られ、二十一歳でエイズによって人生を閉じました。

同じ時代に生まれ、全く同時期に生きていたというのに、ミーチャと私はなぜこんなに違うんだろう?と、その違いを考えました。

それは、私が特に優れた人間だったからではなく、彼女が怠惰な人間だったわけでもない。

ただ「生まれた国が違うだけなんだ」と思ったのです。

『いくつもの壁にぶつかりながら』P.64

居ても立っても居られなくなった村田さんは、大学の夏休みにカンボジアへ渡航。
児童買春の被害に遭った子どもを保護する施設を訪ねたそうです。

その施設で村田さんが目の当たりにしたのは、5〜9歳といった、年齢が一桁の子どもたち。
「こんな小さな子どもまで売られているのか……」と、大変ショックを受けたそうです。

「私のことを忘れないでね、また必ず会おうね」と、泣きながら別れを告げられた、その子どもが売られた金額は約100ドル、日本円にして1万円だったそうです。

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農村部の最貧困層の女性を雇用する工房「コミュニティファクトリー」を設立

「こんなひどいことは、絶対になくさなくてはいけない…」
「子どもが未来を奪われて苦しんでいる社会を、なんとか変えたい」

そんな強い思いを抱いて帰国した村田さん。
しかし、待ち受けていたのは困難の連続でした。

両親とも国際協力や社会貢献の重要性は理解していました。
しかし、娘がカンボジアに行って、もし危ない目にでもあったらやりきれない、「どうしてもやるというのなら、家を出て行きなさい」と言われました。

もとはといえば父親の影響で始めたのに、父親も大反対。
父方の祖父母にも「人のためになる仕事は、他の人がやっていたら頑張ってと言うかもしれないけれど、苦労するのが、孫であるあなた自身なのだから賛成できない」と言われました。
母方の祖父母は、私が電話するとガチャンと切ってしまうくらいに怒っていました。

カンボジアは彼らにとって想像すらできない未知の国で、未だに銃弾が飛び交っているという危険極まりないイメージしかないのです。
親族全員に大反対されてしまいました。

『いくつもの壁にぶつかりながら』P.103

それでも反対を押し切って、カンボジアに飛び込み、活動をスタート。
一歩一歩、地道に取り組むものの、暗中模索の日々が続きました。

そして試行錯誤の末に、ようやく辿り着いたのが、「雑貨や鞄をつくる工房(コミュニティファクトリー)」の経営です。

かものはしプロジェクトHP

チャンパイという十八歳の少女は、兄弟が七人もおり、他の兄弟を支えなければならない状況でした。
彼女がファクトリーで働くようになって、下の弟二人が学校に通えるようになりました。
家族を支えることができるようになった喜びを彼女はかみ締めているのだそうです。

ウンダーという十七歳の少女は、まだ幼かったころにお父さんをマラリアで亡くしていました。
そのため、母と兄との三人暮らし。
ウンダーとお母さん、お兄さんはタイに出稼ぎに出て、建設現場の日雇い労働者として働いていました。
今はウンダーとお母さんはカンボジアの村に帰ることができ、ウンダーの収入によって家計が安定してきたと話してくれました。

コミュニティファクトリーを建てた村の村長も、私たちの前ではそれほどの感情をあらわにすることはなかったのですが、NHKのインタビューでは「これまでどこの企業の工場も来てくれなかったけれど、かものはしプロジェクトが来てくれ、村に雇用を生んでくれたことに本当に感謝している」と涙ながらに話してくれたのです。

このようにファクトリーができたおかげで貧しい人たちの働く場所ができ、世帯収入が増えることで、子どもが危険な出稼ぎに出ることを防いでいます。

『いくつもの壁にぶつかりながら』P.211〜212

工房の経営と同時に、カンボジア政府や他の国際NGOと協力して、警察に研修を提供しました。
人身売買の取り締まりを強化し、子どもを買う人をきちんと逮捕する仕組みづくりに注力しました。

そして、活動開始から16年。
かものはしプロジェクトの取り組みと、さまざまな関係者の協力によって、カンボジアでの児童買春の問題は、ほとんどなくなったと言える状態にまで、状況が改善されたのです。

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インドでも「子どもが売られない世界」を実現したい

かものはしプロジェクトは現在、カンボジアからは離れ、インドと日本で活動しています。
今回ご紹介した村田さんの書籍が出版された、その後の取り組みもぜひご紹介させてください。

インドは、人身売買の被害者数が世界最大と言われています。
インドでの問題解決が進めば、世界の被害者数を大きく減らすことに繋がります。

特に東部の西ベンガル州の周辺に貧しい村があり、西部の大都市ムンバイまで約1,600Kmのルートを通じて、たくさんの女性や子どもが売り飛ばされているそうです。

かものはしプロジェクトHP

私たちの寄付は、被害者女性の尊厳を取り戻すための裁判にかかる費用、サバイバーのリーダーシップ育成にかかる費用などに使われているそうです。

※ かものはしプロジェクトでは人身売買の被害者のことを”大変な境遇を生き延びた人”という敬意を込めて「サバイバー」と呼んでいます。

インドでの活動が十分な効果を挙げるためには、毎年1億円の資金が必要とのこと。

「だまされて売られてしまう女性や子どものために、今できることを始めたい」
「村田さんをはじめとする、頑張っている職員の方々を応援したい」

こんな風に感じていただけたなら、ぜひかものはしプロジェクトのWebサイトをご覧になってみてください。

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寄付金控除の対象団体です

最後に:あなたも「かものはしプロジェクト」を応援しませんか?

これから寄付を検討されている方へのメッセージが、かものはしプロジェクトのWebサイトに掲載されていたので、ご紹介させてください。

「問題解決のためにぜひお力を貸してください」

私が「子どもが売られる問題」と出会ったのは、19歳の時でした。
東南アジアには、売春宿に売られひどい虐待を受けている子ども達がいると知り、居ても立ってもいられなくなり現場に行きました。

それから20年以上が経ちました。
たくさんの方のご協力のおかげで、カンボジアは問題解決に向かいました。

今度はインドです。
多くの方がご協力くだされば、子どもを傷つけるひどい問題も解決できると信じています。
ぜひ力をお貸しください!

かものはしプロジェクトHP

かものはしプロジェクトのサポーター会員は、以下から申し込めるようです。

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