(出典:チャンス・フォー・チルドレン HP)
日本では近年、不登校の子どもの割合が増加傾向にあるのはご存知でしょうか。
令和4年に文部科学省から発表された調査では、小・中学校における不登校児童生徒数は299,048人(前年度244,940人)であり、前年度から54,108人(22.1%)増加し、過去最多となりました。
「人間関係」「経済的理由」など、学校に行けなくなってしまった理由はそれぞれですが、子どもたちの受け皿となる居場所はまだまだ少ないのが現状です。
そうした子どもたちを支援するために、NPOなどの団体が活動しており、私たちは寄付や募金によってそれらを応援することもできます。
しかし読者の方の中には、支援したいという気持ちはあっても、寄付に踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では以下の項目を通じて、寄付に対する不安や疑問を解消し、どのようにして支援ができるのかを詳しく解説します。
- 不登校支援の活動を行う団体の紹介
- 日本における不登校の現状と原因
- 私たちができること
- 寄付先・募金先の選び方
あなたにぴったりの寄付先がきっと見つかるはずですので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
不登校支援の活動を行う団体3選
まずは「すぐにおすすめの寄付先を知りたい!」という方のために、寄付ナビ編集部が厳選したおすすめの団体を3つご紹介します。
カタリバ:不登校の子どもに、学習支援と安心できる居場所を
カタリバは、さまざまな状況にある子どもたちに、居場所や学習環境を提供する認定NPO法人です。
不登校になった子どもたちの背景はさまざまです。
本人としても「学びたい」「頑張りたい」のに、何らかの理由で「もう無理……」と心が折れてしまう、そんな子どもたちが数多く存在します。
きっかけや継続している理由は様々ですが、多くの子どもたちは、長い月日をかけて辛い思いをし続けた結果、「学校に行かない」ではなく「学校に行けない」状態になっています。
カタリバHP
カタリバでは、廃校となった校舎を利用した「おんせんキャンパス」や東京都足立区の拠点で、不登校の生徒を支援しています。
学校、保護者、教育委員会などと連携しながら、
- 学力支援
- 生活習慣支援
- キャリア指導
- 体験活動
など、子どもたちに「勉強を教える」だけではなく、「さまざまな活動を通じて支える・見守る」ことで、子どもたちが安心して成長できる環境づくりを行っています。
またカタリバは不登校支援以外にも、被災地における教育支援や、子どもの探究心を育てる出張授業など、多様な切り口で子どもたちの学びをサポートしています。
活動内容 | 安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供や学習支援、探究学習の実践支援など |
活動地域 | オンライン(全国)、岩手県、宮城県、福島県、東京都、島根県に加え、各地域団体を後方支援 |
支援対象 | 主に日本の小学生〜高校生など |
寄付の使途 | 人件費、教材・備品・消耗品費、移動・交通費など |
運営団体 | 認定NPO法人カタリバ |
保護者の方に行ったアンケート結果からは、多くの親御さんが安心と自信を子どもたちが取り戻したと感じていること、また親御さん自身の気持ちも前向きになっていることが分かりました。
カタリバ HP
編集部オススメのポイント!
不登校による問題として、学校の勉強についていけなくなることが挙げられがちです。
しかし何よりも根強く重い問題なのは、子どもたち自身が「自分はダメなんだ」と後ろ向きになり、自信を失ってしまうことです。
カタリバでは、子どもたちが安心して学ぶだけでなく、「自分はここにいてもいいんだ」と思えるような活動を続けています。
「学校の勉強と同じくらい、自己肯定感も大事」と感じる方は、ぜひ支援を検討してみてください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
Learning for All :公民館や学童など地域と協力して「子どもの貧困」を解決する
貧困によって大きな格差が生じる教育の機会。
貧困状態に直面するひとり親家庭では、必要な教育を受けることができないだけでなく、家庭環境により最低限の生活習慣や社会性を身に付けられない子どもたちも多くいると言われています。
東京都に暮らす、小学3年生のみずきちゃん。
父親はほとんど家に帰ってきません。
母親は軽度な知的障害をかかえており、みずきちゃんの成長とともに、養育する力が不足するようになってしまいました。基本的な生活習慣を身につけることが難しい環境にいるみずきちゃんは、当初1週間同じ服を着て過ごしており、入浴習慣もありませんでした。
Learning for All HP
下着や靴下はひどくよごれ、髪の毛もクシが通らない状態です。
虫歯は3本あり、学校から歯医者に行くよう通知を受けていますが、まだ歯医者に連れて行ってもらうことができていません。
子どもたちが教育を受ける機会を享受できないと、次の世代の子どもたちにも同じような貧困・教育格差が連鎖してしまいます。
そんな子どもたちの教育格差を食い止め、学力向上のために支援活動を行うのがLearning for All 。
Learning for All では主に2つの活動を行っており、その一つが困難を抱える子どもたちに対する学習支援事業です。
自治体と連携して公民館や学校に子どもたちが学習できる拠点を設置し、十分にトレーニングを受けた大学生教師が、子どもたちに伴走しながら学習を支援しています。
また、もう一つの柱となるのは居場所支援事業です。
学童保育のような仕組みで放課後に子どもたちを受け入れ、学習の支援だけではなく、基本的な生活習慣、人との接し方などを含めた包括的な支援を提供しています。
活動内容 | 「学習支援拠点」と「居場所支援拠点」の運営 |
活動地域 | 東京都、埼玉県など |
支援対象 | 小学生〜中学生(一部、高校生も) |
寄付の使途 | 人件費、教材印刷費・交通費・備品・消耗品費など |
運営団体 | 認定NPO法人Learning for All |
Learning for All では、毎月1,000円〜継続的に活動を支えるマンスリーサポーターを募集しています。
マンスリーサポーターになると、活動報告やイベントを通じて内容を深く知ることができるだけでなく、実際の支援の現場や大学生ボランティアへの研修を見学することも可能だそうです。
編集部オススメのポイント!
子どもたちが十分な教育を受け、明るい未来のために歩んでいけるよう、力になりたいという方はぜひ寄付を検討してみてください。
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寄付金控除の対象団体です
チャンス・フォー・チルドレン:教育格差の解消を目指し、困難を抱える子どもに”スタディクーポン”を
チャンス・フォー・チルドレンは、教育支援に特化した「スタディクーポン」を発行し、さまざまな境遇にある子どもたちの支援を行っている公益社団法人です。
2011年に発生した東日本大震災。
たとえ学校機能が復旧したとしても、家庭や子どもたちの受けたダメージは、まだ癒えていません。
震災の影響は、精神的にも経済的にも、現地に大きく爪痕を残しています。
CFCが活動拠点を置く宮城県は、特に震災以降不登校の児童生徒が増え、2012年度に中学生における不登校出現率が全国最多となり、その後も全国1、2位の高さになっています。
チャンス・フォー・チルドレンHP
(中略)
震災が直接影響を与えているか否かは分析が必要ですが、少なくとも震災による経済的ダメージが不登校出現率の増加に繋がっていると考えられます。
チャンス・フォー・チルドレンでは、経済的な困難を抱える子どもたちに対して、学習塾や習い事、体験活動等で利用できるスタディクーポンを提供しています。
- 塾などの教科学習
- スイミング教室などスポーツ
- 音楽教室などの文化活動
- キャンプなどの体験活動
- 習字やそろばんなどの習い事
など、幅広い教育活動の中から子ども自身が自分の学びたいものを選択できます。
また、チャンス・フォー・チルドレンでは「ブラザー・シスター制度」を導入しており、大学生ボランティアが月に1度、電話や面談を通して継続的に子どもたちを見守ります。
活動内容 | スタディクーポンの支給、大学生ボランティア等による相談支援 |
活動地域 | 岩手県、宮城県、福島県、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、兵庫県、大阪府、京都府など |
支援対象 | 経済的困難を抱える子ども・被災した子ども |
寄付の使途 | クーポン発行費、大学生ボランティアの相談支援費、スタッフ人件費など |
運営団体 | 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン |
”この男の子は小学生の頃から不登校でしたが、この春から高校への進学を決めました。
チャンス・フォー・チルドレンHP
(中略)担当のブラザー・シスター(大学生ボランティア)は、約4年間、彼と毎月電話面談を行ってきました。
(中略)
ブラザー・シスターとの面談が、彼にどれほど影響したのかは分かりません。
しかし、不登校で普段人との関わりが少なかった彼にとっては、親しい兄のような、よき相談相手であり、クラスの友人のような話し相手であり、日々の成長に寄り添う存在であったといえるのではないかと思います。
編集部オススメのポイント!
子どもたちの背景も、将来の夢もさまざまです。
子どもたちの希望を尊重し、それを多様な形で応援できるのはスタディクーポンならではでしょう。
「子どもたちの夢を応援したい!」と思う人は、月1,000円からの支援をぜひ始めてみましょう。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
不登校の子どもの人数は?
まずは「不登校」という言葉の定義から解説していきます。
不登校ってどういう状態?
「不登校」ときいて、どう感じるでしょうか。
”甘えているのではないか。学校くらい行かないと。”と思う方もいらっしゃるかもしれません。ご自身のお子さんが学校に通えていない場合、”他の子は普通に通っているのに、なんでうちの子は行かないの”と思ってしまうかもしれません。
今回は不登校とはどういう状態か、その原因は何か、不登校になったときにはどうすれば良いか、そして不登校の子どもたちを支援するにはどんな方法があるかをまとめました。
現在、不登校は文部科学省により以下のように定義されています。
何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの
文部科学省
病気などの理由以外で年間30日以上欠席した場合、不登校となるようです。
不登校の子どもってどれくらいいるの?
令和4年度の、小中学校の不登校の子どもの人数は約29万9千人で、過去最多です。
不登校児童生徒数
学年別にみると、学年があがるごとに不登校の子どもの数は増えています。特に、中学2年生、3年生になると増える傾向があるようです。
学年別不登校児童生徒数(令和4年度)
この不登校の調査は、学校が年間30日以上欠席した生徒の人数を報告したデータがもとになっています。そのため、”不登校傾向”にある子ども※1はカウントされていません。不登校傾向にある子どもは、不登校の子どもの3倍以上いるとも言われています。
※1不登校傾向の例:30日には満たなかったけれど20日以上欠席している人/毎日保健室に通っている人/給食の時間までは学校に行くけれど午後は帰宅する人/学校に行ってはいるけれどできれば学校には行きたくないと感じている人など
不登校の原因とは?
ではなぜ、子どもたちが不登校の状態になっているのでしょうか。
学校への調査
学校への調査では、不登校の原因を大きく「学校に係る要因」「家庭に係る要因」「本人に係る要因」の3つに分類しています。この調査によると、”子ども本人が無気力”であり”不安を抱えている状態”であることが、不登校の原因として一番多い、というような結果に見えてしまいます。
不登校の要因
子どもへの調査
令和2年度に行われた「不登校児童生徒の実態調査」では、子どもたちへの調査が行われており、より不登校の実態が見えてきます。子どもたちが「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」は多岐にわたっています。
最初に行きづらいと感じたきっかけ(中学校)
不登校は一つの原因やきっかけがもととなって起きるものではないようです。
また、大規模な災害等のあとには、不登校の数が増えるというデータもあり、”不登校は社会の不安・ストレスのバロメーターであり、社会不安が増えると不登校が増える。だから社会全体が変わっていく必要がある。”と捉える意見もあります。(参考:おおたとしまさ『不登校でも学べる』集英社新書) たとえば令和2年以降不登校の子どもが増えていますが、これはコロナウイルスの流行による社会の変化の影響と読み取れます。
時代背景や、環境との兼ね合い、個人のもつ個性など、様々なことが重なって起きることであり、原因の追及は解決につながらないことが多い、と考える有識者も多いです。
不登校の原因についてさらに詳しく知りたい方は、是非こちらの記事もご覧ください。
すべての子どもたちの学びと居場所を守るためにできること
では、今私たちにできることは、どのようなことでしょうか。
身近な子どもの不登校で悩んでいる場合、まずは相談
学校に行けないことは、子ども自身ももちろん悩みますし、近くで支えている人も深く悩むものです。1人で悩み続けず、子どものことを一緒に考えてくれる仲間を増やす気持ちで、まずは相談してみてください。
社会全体で子どもの学びと居場所を支える
不登校の状態にある子どものうち61.8%は、学校内外の機関等で相談等を受けているとの調査があります。裏を返すと、約38%の子どもは、どこにも繋がることができていません。
行政が公教育をより良い形に整えていくことも必要ですが、目下困っている子どもたちをサポートするには、意思決定も早く柔軟な民間のサービスも、大きな役割を果たしています。
カタリバ:困窮している子どもの居場所や、学習機会の場を提供する
カタリバは困窮する子どもたちをはじめとした、自己肯定感が低く、将来への希望が持てない小学生から高校生への支援として、学習支援や居場所づくり、体験プログラムの運営などを行っています。学校とも家庭とも違う、自分を受け入れてくれる場所があることが子どもたちの大きな支えになります。
月1,000円の寄付を1年間続けると、生徒2人に1か月間、授業を届けることができます。学生が貧困を脱するだけでなく、生き生きと毎日を送るための手助けとして、カタリバの活動を寄付で応援してみませんか。
編集部オススメのポイント!
子ども達が夢をあきらめないですむように、学習サポートや心のケアを行うのが、認定NPO法人カタリバです。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
支援先として信頼できる?3つのチェックポイント
ここまで読んでいただき、様々な支援の形や支援団体について知っていただけたかと思います。
しかし、中には「結局どこに支援したらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません
そんな方のために、寄付ナビが考える「支援先として信頼できるかのチェックポイント」をご紹介します。
一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。
企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。
その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
- 職員の顔が見えるか?
- 活動によって問題を解決しているか?
- 透明性の高い会計報告を行っているか?
支援を迷っている団体があれば、是非参考にしてくださいね。
まとめ:「不登校支援に寄付したいしたい」という方の参考に
今回は、学校へ通うことに困難を抱える子どもたちに、学習機会や心のケアで支援を行う3団体を紹介しました。
団体名 | 編集部オススメのポイント |
カタリバ | ① 10代を対象としたキャリア教育で、子どもの意欲と創造性を引き出し、育む ② 創業者とスタッフの皆様の情熱が共感を呼び、3万人以上の支援者が活動を支えている |
Learning for All | ① 一人の子どもが自立するまで、地域ぐるみでサポート ② 子どもたちを取り巻く社会構造を変えるための活動 |
チャンス・フォー・チルドレン | ① 低所得世帯の子どもを対象に、塾や習い事で使えるスタディクーポンを支給 ②「家庭環境にかかわらず、子どもがやりたいことを応援したい」という方にオススメ |
今回の記事を読み「困難な状況から不登録になってしまった子どものために何かしたい」とお考えの方にとって、少しでも参考になれば幸いです。