乳児院に寄付を届けるには?貧困に苦しむ日本の子ども支援先3選

(出典:全国乳児福祉協議会HP

【2025/06/08 更新】

乳児院とは、生後まもない乳児や家庭での養育が難しい子どもを預かり、保育と退所後支援を行う福祉施設です。

全国に複数施設がある一方で、運営費や専門職員の確保が追いつかず、子どもたちの生活を守るために資金面での支援が常に求められています。

寄付は施設の安定運営と質の高いケアに直結しますが「どこに、どのように支援すればいいの?」と迷う方も多いでしょう。

そんな方のために、本記事では以下の項目を解説していきます。

  1. 乳児院を支えるおすすめ団体
  2. 乳児院の役割と課題
  3. 寄付金の具体的な使途事例
  4. 自分に合った寄付先の選び方

ぜひ参考にして、最適な支援を見つけてください。

生まれてきたばかりの子どもの命を守るおすすめ寄付先3選

フローレンス:赤ちゃん縁組で、虐待死から命を救う

フローレンスHP

子どもを虐待から守るためには何か事件が起きてからでは遅いものです。
虐待に至るまでに、それぞれの家庭では様々な理由で親子関係が悪化してしまっています。
最悪の結果を招く前に子どもたちを守る方法がありました。

それは「子どもが生まれる前から親のケアをする」というものです。

子どもの虐待死の背景には「予期せぬ妊娠」があります。
貧困、性犯罪の被害など様々な事情を背負い、相談できずに孤立した女性が、自宅や公園のトイレで出産を迎えてしまう。
そんな信じがたい悲劇が、今この日本で起きています。

フローレンス HP

残念ながら自分で我が子を育てることの出来ない親がいます。
そんな方たちが不安や悩みを一人で抱え込み、最終的には虐待につながってしまう。

そうならないために「赤ちゃん縁組」に取り組んでいるのが認定NPO法人フローレンスです。

フローレンスでは赤ちゃん・生みの親・育ての親、すべての人が幸せになる社会を目指しています。

生みの親に向けた「にんしん・養子縁組相談」や養子を迎えたい方に向けた「特別養子縁組」を通し、全ての子どもたちを虐待から守る活動を行っています。

活動内容 特別養子縁組、妊娠・特別養子縁組相談、養親研修
活動地域 日本各地
支援対象 赤ちゃん・妊婦、障害児家庭、ひとり親家庭など
寄付の使途 生みの親の産前の生活支援費、育ての親への研修費、生みの親の相談時の出張費など
運営団体 認定NPO法人フローレンス

※ 「赤ちゃん縁組」事業についての例

フローレンスへの寄付で、赤ちゃんの虐待死をなくす支援を始めた3つの理由
編集部オススメのポイント!
日々大きくなっていくお腹と、孤独という闇の中で、不安に押しつぶされそうになっている女性がいます。フローレンスの赤ちゃん縁組は「命」を救う取り組みです。縁組が1組成立するごとに、確実に1人の命を救うことにつながります。
フローレンスが取り組んでいるのは、赤ちゃんの虐待死問題だけではありません。ひとり親家庭が低価格で利用できる「病児保育」や、経管栄養やたんの吸引など、医療的なケアが必要な子どものための「障害児保育・支援」など、さまざまな事業を展開しています。

「子どもを持つ全ての親を応援したい」や「愛情ある家庭で育てられる子どもを増やしたい」と考えられる方は、支援先として検討してみてよいかもしれません。

> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です

全国乳児福祉協議会:お住まいの地域の乳児院に問い合わせる

全国乳児福祉協議会HP

全国47都道府県の乳児院が登録されている、全国乳児福祉協議会。
家庭で赤ちゃんを育てられない時に赤ちゃんを一時的に預かり、養育する役割を担っているほか、保護者や里親の支援、地域の子育て支援にも携わっています。

赤ちゃんが生まれてくる時、必ずしも十分に準備され整った環境で生まれてくるわけではありません。
また、望まれて生まれてきた場合であっても、家庭環境が突然変化してしまう場合もあります。

そのような際に赤ちゃんを家庭から預かり、たくさんの大人が見守る適切な環境で養育するのが乳児院。
看護師や保育士、医師や栄養士など、様々なプロフェッショナルの職員が専門性を活かして働いています。

活動内容 赤ちゃんの保護と養育、保護者や里親の支援など
活動地域 日本国内の乳児院
支援対象 就学前までの乳児、保護者、里親など
寄付の使途 乳児院の運営
運営団体 全国乳児福祉協議会

子どもの預かりの際に世帯の収入状況に応じて段階的に費用の負担が発生するようですが、基本的に運営は公費で賄われています。
また、ボランティアを受け入れている乳児院もあるようです。

乳児院では、学生や社会人、里親など幅広くボランティアを受け入れています。

子どもたちも長く続けてくださっているボランティアを心待ちにしています。

ボランティアの種類としては、子どもたちの遊び相手、つくろいもの、掃除、草取りなど乳児院によって支えていただきたいところが違う場合があります

全国乳児福祉協議会HP

全国乳児福祉協議会のWebサイトでは、各地域の乳児院を簡単に検索することができます。
ボランティアをしたいという場合や、運営費の寄付、物品の寄贈などを行いたい場合は、近くの乳児院に直接連絡して、必要としている支援について確認すると良いでしょう。

子供の未来応援基金子供支援団体をサポート、服でも募金可

子供の未来応援基金HP

子供の未来応援基金は、2015年に創設された官民連携のプロジェクト。
企業や個人から広く寄付金を募り、子どもの貧困対策を行うNPOを資金援助する独立行政法人です。

子どもたちへの支援は、規模の大小に関わらず、その地域に根ざした草の根的な活動を行なっていく必要があります。
日本中に数多く存在するそのような団体を、子供の未来応援基金では支援対象としています。

学習支援から食事支援、居場所支援など、各団体が行なっている活動は多岐に渡ります。
厳選された団体が行っている具体的な支援例をピックアップしてみました。

  • 【北海道:Kacotam(カコタム)】小学1年生~高校3年生に個別形式で学習支援
  •  【東京都: 豊島子どもWAKUWAKUネットワーク】宿泊機能をもつ子供の居場所『WAKUWAKUホーム』を運営。栄養バランスのよい手作りの夕食を提供
  • 【広島県:どりぃむスイッチ】児童養護施設等の退所者等が暮らせるシェアハウスの運営や、里親・特別養子縁組に関する支援

資金の分配は2015年から2020年の間に4度行われており、最近では97団体へ分配されました。
上記の他にどのような団体が支援されているかは、「子供の未来応援国民運動パンフレット」から確認できます。

活動内容 子どもの貧困対策を行うNPOへの資金援助
活動地域 日本国内
支援対象 子どもの貧困対策を行うNPO
寄付の使途 NPOへ全額分配
運営団体 独立行政法人子供の未来応援基金

子供の未来応援基金への寄付の仕方は、銀行振込やクレジットカードでの直接の寄付はもちろん、他にもいろいろな方法があります。
ポイントサービスで溜まったポイントを使った寄付も可能です。

さらに、「こどものみらい古本募金」で不要な本やCDを、「こども服みらいファンド」では不要な子ども服を送ることで、買取査定額がそのまま寄付になります。
家に眠っている物品が子供達への支援に繋がるのは嬉しいところですよね。
大掃除ついでに、寄付できそうなものを探してみてはいかがでしょうか。

児童養護施設・孤児院/乳児院とは?

現在日本には、家庭だけで暮らすことが難しい子どもは約4万人いるといわれています。

孤児院という言葉は、法律の改正により、使われなくなりました。様々な理由で保護者による養育が受けられない子どもたちのうち、原則1歳未満の子どもは乳児院、1歳以上18歳未満の子どもは、児童養護施設で生活をします。

対象年齢施設数子どもの数
児童養護施設原則 1歳~18歳610箇所約23,000人
乳児院原則 1歳未満145箇所約3,800人
子ども家庭庁2023年調査より

乳児院や児童養護施設に入所するかどうかは、児童相談所が判断します。

NPO法人児童福祉の架け橋HP

施設に入所する理由

子どもたちが保護者と暮らすことができない理由は様々です。

  • 母親・父親による身体的虐待やネグレクト
  • 母親の精神疾患
  • 経済的な問題
  • 児童自身の問題  など

1歳未満の子どもが乳児院に入る理由として一番多いものは「母親の精神疾患」になります。(子ども家庭庁 令和4年度「児童養護施設児童等調査の概要」による)産後うつ等が理由となって一時的に預けられている子どもがいることも想像できます。

どのようなサポートが行われるの?

乳児院においては、家庭での引き取りや、里親家庭、児童養護施設等にうつることができるようにしていくことが求められます。そのため、医師や看護師、心理士などによる専門的なサポートが行われます。

児童養護施設においては、家庭に代わる生活の場となることが目指されています。そのため、児童は6人までで暮らすグループホームなど、小規模化が推奨されています。虐待等が理由で精神科に通院している子どもも多く、心理的なサポートも必要となります。

施設を運営する費用はどこから出ているの?

施設の運営資金は基本的には国と都道府県等による「措置費」です。しかし、制度を超える対応については、施設の持ち出しとなるため、手厚い支援を行おうとすればするほど、経営は苦しくなります。そのため、措置費に加えて、民間からの寄付金を募って運営している施設も多いです。

乳児院に寄付するには?

乳児院に寄付する方法は主に2つあります。

乳児院に直接寄付をする

ご自身がサポートしたい施設があれば、直接の支援が可能です。HPからお金で寄付を行うことのほか、食品や生活用品など、物品の寄付を募っている施設もあります。

ただ、寄付であればなんでも贈って良いというわけではありません。食品であれば「賞味期限が 1 ヶ月以上あるもの」、生活用品であれば「未開封であること」、洋服であれば「新品でタグが付いている状態」など、施設ごとに寄付品についてのお願い事項が決まっていることがほとんどです。確認をしてから贈るようにしましょう。

HPに物品の寄付について記載がない場合には、電話等で問い合わせをしてみると良いでしょう。

乳児院をサポートする団体を通じて寄付をする

特定の施設を支援したいというわけではない場合、「社会福祉法人青少年福祉センター」など、乳児院を支援する団体を通じて寄付をする方法もあります。寄付してほしい物品などを一覧にして公開している団体もありますので、確認してみるとよいでしょう。

施設を支援するのではなく、施設で暮らす子どもたちを直接支援している団体もあります。

フローレンスHP

先に紹介したフローレンスは、「赤ちゃん縁組(特別養子縁組)」「無料産院」「病児・障害児支援」「政策提言」など、妊娠・出産から育児まで一貫して支える事業を展開しています。特に、予期せぬ妊娠に悩む妊婦への相談や生活支援、育ての親に対する研修・サポートなど、多層的な支援が特徴です。

フローレンスへの寄付は、予期せぬ妊娠に悩む女性への相談支援や、特別養子縁組を希望する養親への研修、経済的に困難な妊婦のための無料産院の運営、病児・障害児の訪問保育事業、さらには政策提言や広報活動など、妊婦・赤ちゃん・親子を包括的に支える幅広い取り組みに活用されています。寄付金の約9割がこうした支援活動に充てられており、使途の透明性も高く、安心して託すことができます。

「赤ちゃんが安全な環境で育つ社会を実現したい」「制度に頼れない親子を支えたい」そう感じる方は、是非フローレンスの寄付をご検討ください。

> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です

支援先として信頼できる?3つのチェックポイント

続いて、寄付先を選ぶ際に「寄付してよかった」と感じられる3つのポイントを解説します。

企業の良し悪しを判断する材料として、一般的に「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。

NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。

企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。

その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。

さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
以下に、それぞれについて解説します。

職員の顔が見えるか?

NPOの活動には、代表をはじめ、理事や職員、インターンやボランティアなど、多様なスタッフが関わっています。

団体の公式サイトで職員の顔を出していることは、活動に自信がある証拠です。

「自分のお金を誰に託すのか?」を知ることで、より安心して寄付を続けることができます。

その上で、職員数やボランティアの人数など、関わっている人の数も確認できると、なお良いと思います。

  • 理事や職員などスタッフの顔が見えるか
  • どれくらいの人が関わっているか。人数が多ければいいわけではありません。

あなたと似たような想いを持って活動しているスタッフがいる団体なら、それはあなたの価値観とマッチする団体かもしれません。

活動によって問題を解決しているか?

同じ社会問題に取り組んだとしても、解決するアプローチは団体によって、実にさまざまです。

例えば「子どもの貧困」と一口に言っても、

  • 学習支援を通じて、子どもの学力向上に資する
  • 食品配付を通じて、健康や栄養状態を改善する
  • 相談窓口を通じて、虐待や暴力などを予防する

というように、団体によって活動の領域は異なります。

そもそもNPOが取り組んでいる問題は、すぐに解決には至らず、長い時間がかかることが多いです。

寄付先として検討している団体の支援アプローチは本質的に問題を解決し得るのか、またそのアプローチに共感するかどうか、などを見ると良いでしょう。

  • 寄付先の支援アプローチは問題を解決、もしくは改善しているか?
  • しっかりと実績や成果を上げているか。

そうした活動の進捗を定期的に報告するプログラムが整っている団体であれば、自らのお金がどのように活用されたかの理解が進み、寄付をするモチベーションが増します。

透明性の高い会計報告を行っているか?

ほとんどのNPOは、会計報告を公式サイトで公開しています。
逆に会計報告を公開していない団体は、資金を不正に利用しているのではないかと、寄付者から疑問を持たれても仕方がないでしょう。

団体の公式サイトを確認すると「会計報告」「年次報告」といった形で、会計や財務に関する情報を公開していることが多いので、チェックしてみましょう。

支出の内訳を、例えば事業費80%・管理費20%としている団体であれば、「1,000円寄付したら、おおよそ800円が直接的な活動に、200円が活動を継続していくために必要な費用に変わるんだ」と目安をつけることもできます。

  • 透明性の高い会計報告を行っているか?
  • 納得できるお金の使い方をしているか。

さらに、監査法人や公認会計士による監査を受けていることを確認できれば、より信用度は高まると思います。

まとめ:「乳児院に寄付を届けたい」という方の参考に

以上、日本国内において、様々な事情で環境に恵まれず苦しんでいる子どもを応援できる支援先を3つ紹介しました。

団体名寄付ナビ編集部オススメのポイント
フローレンス① 幼児を虐待から守るための方策として、特別養子縁組を推進
② 社会変革集団として、国の制度を変えることにも力を入れており、2018年には児童虐待防止法の改正案を提言
全国乳児福祉協議会① 看護師や保育士、医師や栄養士など、専門性の高い人材が働いている
② ボランティアや運営費の寄付、物品の寄贈などが可能
子供の未来応援基金① 企業や個人から広く寄付金を募り、子どもの貧困対策を行うNPOを資金援助する
② 不要な本やCD、不要な子ども服を送ることで、買取査定額がそのまま寄付になる

「国内の恵まれない子どもたちのために何かアクションしたい」と考えている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

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