「この問題は本当に問題です」
セーブ・ザ・チルドレン が出している、ACジャパンの公共広告を、電車内や動画で見かけた方は多いのではないでしょうか?
この記事ではCMの問題と答えを解説するとともに、そこから見えてくる広告の真意を読み解きます。
合わせて、セーブ・ザ・チルドレン の活動や評判、寄付をはじめとした支援方法など、広告を見た方にとって気になる疑問を調べました。
※この記事では2018年当時放映されたCMについてご紹介しています。
セーブ・ザ・チルドレンへの寄付を検討される際の判断材料として、ご参考にしていただけたら幸いです。
目次
CMの「問題」と「答え」を、チェック
セーブ・ザ・チルドレンのCM「この問題は本当に問題です」の問題が難しすぎると話題になっています。
問題を改めて定義した上で答えを解説しました。
問題
まずは改めてCMをご覧ください。
例題としての「サラさんの計算問題」と、本題としての「本当の問題」の、2つの問題が出されているようです。
サラさんは、起きている時間の半分で家の手伝いを、残りの時間の3分の2で妹の世話をします。
6時間寝たとき、勉強は何時間できますか?
学校へは、歩いて往復3時間かかるものとします。(中略)この問題は本当に問題です。
(出典:セーブ・ザ・チルドレン支援CM2018)
答え
サラさんの計算問題
まずは、「サラさんの問題」の答えから。
サラさんの1日の時間を計算してみます。
1日 | 24時間 |
---|---|
睡眠時間 | – 6時間 |
家の手伝い (起きている時間の半分) | – 9時間 |
妹の世話 (残りの時間の3分の2) | – 6時間 |
残りの時間 | = 3時間 |
残りの時間が3時間なのに、学校には往復3時間かかるので、学校に通って勉強する時間は事実上ない、というのが答えです。
「学校に行く」ことは3時間使ってギリギリできますが、その時点で1日の時間が終了。
「勉強する時間」がないどころか、「学校から家に帰る」3時間でさえないため、学校に通うことができないからです。
本当の問題
発展途上国で困難を抱えている子どもたちが学校に通って勉強するには、様々な障壁があることを、サラさんの問いの難解さから伝えているように思えます。
「この問題は本当に問題です」が伝えるところの、「本当の問題」とは何でしょうか?
CMは続けて、「世界では、子どもの6人に1人が学校に通えていません」と伝えています。
「世界の子どもの6人に1人」が意味する具体的な数字を、別の角度から拾ってみました。
- 相当の年齢で小学校に通っていない子ども、世界で5,700万人
- 基本の読み書き計算ができない子供2,500万人、うち学校に通う子供は1.300万人
(出典:UNESCO Educational Global Report 2013/2014 – ユネスコ)
これが深い意味でのCMの答えで、対応すべき「本当の問題」ではないかと思われます。
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途上国の「本当の問題」とセーブ・ザ・チルドレンの支援活動
このような途上国が抱えている問題に対して、セーブ・ザ・チルドレンはどのようなアプローチを行なっているのでしょうか?
具体的な対策をピックアップしてみました。
対策1:モンゴルの教育推進事業
問題
2018年3月から「誰一人取り残さないインクルーシブ教育推進事業」を始めたモンゴルの小学校通学者率は98%。
しかし、貧困を含む経済的困窮、障害、病気、家庭内暴力、児童労働、言語の壁で通学が困難になるケースがあるようです。
複雑な課題を抱える子どもたちの受け皿、モンゴル政府運営の「生涯学習センター」を含めた学校では、多様なニーズの子どもたちの受け入れ体制が万全ではないとのことです。
支援の内容
- 【時期】2018年3月から
- 【実施地域】首都のウランバートル市、中央に位置するウブルハンガイ県、国の西端に位置するホブド県
- 【学校】公立小学校8校と生涯学習センター8学級
- 【内容】
- 個別支援を必要とする子どもを指導できるようになるため、公立小学校の教師の指導法研修などを実施
- 生涯学習センターから小学校・中学校に復学する支援・未通学児童の就学支援
- 保護者や地域住民を対象に、「インクルーシブ教育」についての認知向上を目指す啓発活動
- 政府へ政策提言などを行うため、教育・政府関係者を含む委員会を設置
【モンゴル・ウランバートル市:伸びしろだらけの子どもたち】市内3ケ所の生涯学習センターでソーシャル・サーカス事業を行っています。子どもたちはサーカス技術の練習等を通じて運動能力の強化や自尊心、協調性等を学んでいます。詳しくはこちら https://t.co/o6padinuqq pic.twitter.com/U5rgj5RC8A
— セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン (@scjapan) 2017年5月6日
対策2:イエメンの教育事業
問題
イエメンでは、紛争が激しさを増してから4年。
安全を求めて避難した先でも、さまざまな理由から教育を受けることが難しいようです。
約200万人の子ども(男子4人に1人、女子3人に1人)が通学不可。
470万人の子どもが教育支援を必要としているとのことです。
支援の内容
- 【時期】2017年から
- 【実施地域】イエメンのアムラン県とサヌア県
- 【対象】避難民および地域住民の子どもたちを対象
- 【内容】学習支援センターを運営して代替教育を提供し、公立学校への編入を支援
2年間学校に行けませんでしたが、セーブ・ザ・チルドレンの学習支援センターを知って通いだします。
並ならぬ努力の結果、優秀な成績で学習支援センターを修了し、公立学校に復学編入。
「紛争で傷付いているのにお金がないので病院に行けない…そんな子どもたちを手当するために医者になりたい」、とのことです。
#イエメン では、約200万人の子どもー男子の4人に1人、女子の3人に1人が学校に通えていません
アムラン県で避難生活を送るナビルさんもその一人でした#セーブ・ザ・チルドレン が運営する学習支援センターに通い、努力の結果、優秀な成績で修了したナビルさんの夢は–> https://t.co/JY4qHWuogq pic.twitter.com/zryd67Klho
— セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン (@scjapan) 2019年4月17日
対策3:インドネシアの交通安全事業
問題
インドネシアの都市部では、人口の増加に対して公共交通サービス、歩道橋などの交通インフラ設備、人々に交通安全に関する知識全てが不十分。
そのため、交通事故にあう子どもたちも多くいるそうです。
支援の内容
- 【時期・実施地域】
- 2014年4月から2018年3月 西ジャワ州バンドン市の小中学校30校
- 2018年10月から 北ジャカルタ市・東ジャカルタ市の小学校10校・中学校10校
- 【内容】
- 子どもたちや保護者などが、通学路で危ない場所などを認識したり、安全対策を施したりする講座などを実施
- 交通安全に関する教科書の出版
- 子どもたちによる交通安全ポスター・新聞の作成、交通安全の啓蒙活動、など
皆が囲んでいるのは、道路地図が描かれたシート。インドネシアで開いた、保護者向けの交通安全講座のワンシーンです。「子どもが事故を起こしやすいのはどんな場所?」「この交差点には標識が必要では?」急速に都市化が進む地域で、地域ぐるみでの交通安全の取り組みが進んでいます。 pic.twitter.com/Eu8h7Oiavy
— セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン (@scjapan) 2017年9月25日
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私にできることは?寄付の方法と、よくある疑問を調べました
広告をきっかけに、途上国の問題やセーブ・ザ・チルドレンの活動を知った方にとって気になるのは、「私にできることは?」。
セーブ・ザ・チルドレン が特に呼びかけているのが、お金の「寄付」ですが、寄付にあたって気になることやよくある疑問を調べてみました。
「SCサポート」と呼ばれる毎月の寄付は、毎月1,500円、3,000円、10,000円単位でクレジットカードか口座振替での寄付が可能。
解約も自由で、1ヶ月前にメール・電話で知らせる仕組みです。
(緊急・人道支援、保険・栄養、教育、子どもの保護、防災など)
-
- 5,000円が、栄養不良の子ども6人の1週間分の栄養治療食に
- 10,000円が、下痢で苦しむ子どもたち5,000人分の経口補水液に
SCサポートのお申し込みはこちらが窓口のようです。
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