学習支援や勉強を教える活動に、寄付したい!国内の教育格差に挑むNPOと支援方法を紹介

カタリバは全国で子どもの教育支援活動を行う団体です

(出典:カタリバ

【2024/11/22 更新】

英語やプログラミングなど新しい教育が導入されていく一方で、日本国内では基礎学力の定着や子どもの教育格差など、さまざまな課題を抱えているのをご存知でしょうか?
その原因のひとつが「家庭の貧困問題」です。

日本では約9人に1人の子どもが貧困状態にあると言われています。日本財団による調査でも、貧困家庭の子どもは一般的な家庭と比べて学習環境が悪く、能力も低くなる傾向にあると発表されています。

このような子どもたちを支援するために、NPOなどの団体が活動を行い、私たちは寄付という形でその活動を応援することができます。

しかし読者の方の中には、支援したいという気持ちはあっても、寄付に踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では以下の項目を通じて、寄付に対する不安や疑問を解消し、どのようにして支援ができるのかを詳しく解説します。

  1. 教育格差の課題に取り組む団体の紹介
  2. 子どもの貧困問題の現状と課題
  3. 学習支援への寄付の方法
  4. 寄付先・募金先の選び方

あなたにぴったりの寄付先がきっと見つかるはずですので、ぜひ最後までご一読ください。

教育格差の課題に取り組むNPO3選

まずは「すぐにおすすめの寄付先を知りたい!」という方のために、寄付ナビ編集部が厳選したおすすめの団体を3つご紹介します。

「塾や習い事に通えない」子どもたちに、スタディ・クーポンを届ける(チャンス・フォー・チルドレン)

チャンス・フォー・チルドレンHP

子どもの貧困問題は、海外だけの問題ではありません。
日本でも約9人に1人が貧困状態にあり、そのような家庭では子どもの教育にかけられる費用が少なくなってしまうのが現状です。

厚生労働省が2022年にまとめた報告書によると、日本の子ども(17歳以下)の相対的貧困率は11.5%でした。
これは、日本の子どもの約9人に1人が貧困状態にあることを示しています。
2014年のOECDのまとめでも、日本の子どもの貧困率は、先進国34ヶ国中10番目に高い数字でした。

チャンス・フォー・チルドレン HP

そこで、「塾や習い事などの学校外の教育格差をなくしたい」と考え、教育支援に特化した「スタディクーポン」を発行しようと考えたのが公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンです。

このクーポンにより、子どもたちの環境や学習状況に合わせ、子どもたちが勉強したいことを勉強するために寄付金を使うことができるようになりました。

同団体では、主に経済的な理由により十分な教育を受けることができない子どもや若者、その家族に対する支援活動を通じて、貧困の世代間連鎖を断ち切ることを目的としています。

活動内容 スタディクーポンの支給、大学生ボランティア等による相談支援
活動地域 岩手県、宮城県、福島県、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、兵庫県、大阪府、京都府など
支援対象 経済的困難を抱える子ども・被災した子ども
寄付の使途 クーポン発行費、大学生ボランティアの相談支援費、スタッフ人件費など
運営団体 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

団体の活動の特色である「クーポンを発行して届ける」というのは、他のNPOと比較しても新しい形ですよね。
寄付金ではなくクーポンを支給することで、教育以外の目的に使用されることがなく、確実に勉強機会を提供することができるように工夫されています。

チャンス・フォー・チルドレンへの寄付で、日本の「相対的貧困」の子どもたちへ支援を始めた理由
編集部オススメのポイント!
寄付金がスタディクーポンとして配布されるため、使い道が非常にクリアです。また、管理費を15%未満に抑え、寄付金の85%以上を子どもへの直接的な支援費(うち65%以上がスタディクーポン費用)に使用しているなど、会計も明確です。
全国7つの自治体(千葉市、千葉県南房総市、渋谷区、国立市、大阪市、佐賀県上峰町、那覇市)がクーポン型の学校外教育費助成事業を開始するなど、このモデルが自治体にも広がっています。

寄付の方法には、「CFCサポート会員」(毎月1,000円からの継続的なサポート)やその都度の寄付があります。

「経済的支援が必要な子どもたちの未来のために、学習の機会を届けたい」と考えられている方は、寄付を検討してみると良いかもしれません。

> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です

カタリバ:貧困や震災などに立ち向かう!子ども達が通う放課後学校

カタリバ HP

また、貧困や震災などの理由で「学習場所の不足による教育格差」も生まれました。

「学校に通えないかもしれない」「勉強できる場所がない」
実は、そんな不安を抱えながら勉強をしている子どもたちが日本にも大勢います。
子どもたちは、家庭の経済状況の不安や震災などの影響で進路に悩むこともありました。

「母子家庭のため、進学をあきらめた・・」
「アルバイトに追われ、高校を中退してしまう」
「親のDVや病気などに苦しみ、学校にさえ毎日通えない」

カタリバ HP

このような不安を抱える子どもたちに学習場所を提供し、勉強や心のケアを行うのが認定NPO法人カタリバです。

同団体が始めたコラボ・スクール(子どもたち向けの放課後教室)は、東日本大震災の被害があった東北の2地域からスタートしました。
宮城県女川町では「女川向学館」を、岩手県大槌町では「大槌臨学舎」を運営しています。

活動内容 安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供や学習支援、探究学習の実践支援など
活動地域 オンライン(全国)、岩手県、宮城県、福島県、東京都、島根県に加え、各地域団体を後方支援
支援対象 主に日本の小学生〜高校生など
寄付の使途 人件費、教材・備品・消耗品費、移動・交通費など
運営団体 認定NPO法人カタリバ

カタリバは学習支援の教育NPOの中でも、子どもの居場所づくりを行っている点や、若いボランティアが運営に携わっているという特徴がありますね。
そのなかでも、特に意識されているのが「ナナメの関係」づくり。

  • 先生・親といった「タテの関係」
  • 友達同士の「ヨコの関係」

これらだけでなく、自分より一歩先をゆく「ナナメの関係」の先輩たちは、子どもたちにとって貴重な存在です。
この関係づくりにより、スクールに通う子どもたちは安心して本音を話し、視野を広く持つことが可能になるそうですよ。

寄付の方法は、月1,000円から応援するサポーター会員があります。


カタリバに寄付する「サポーター会員」を10年以上続けての感想と、申込前のチェックポイント
編集部オススメのポイント!
設立から20年以上、一貫して、10代の子どもを支援しています。その中で培った知見をベースに、子どもたちの機会格差を埋めるチャレンジに取り組んでいます。
女子大生2人でスタートしたカタリバの活動も、現在は100名を超える職員の皆様と、3万人以上の支援者によって支えられています。その原点は”子どもの格差をなくしたい”という純粋な想いです。

「貧困や震災を乗り越える子どもたちの夢を応援したい」
という方は、サイトをご覧になってみてはいかがでしょうか。

> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です

Learning for All :公民館や学童など地域と協力して「子どもの貧困」を解決する

Learning for All HP

貧困によって大きな格差が生じる教育の機会。
貧困状態に直面するひとり親家庭では、必要な教育を受けることができないだけでなく、家庭環境により最低限の生活習慣や社会性を身に付けられない子どもたちも多くいると言われています。

東京都に暮らす、小学3年生のみずきちゃん。
父親はほとんど家に帰ってきません。
母親は軽度な知的障害をかかえており、みずきちゃんの成長とともに、養育する力が不足するようになってしまいました。

基本的な生活習慣を身につけることが難しい環境にいるみずきちゃんは、当初1週間同じ服を着て過ごしており、入浴習慣もありませんでした。
下着や靴下はひどくよごれ、髪の毛もクシが通らない状態です。
虫歯は3本あり、学校から歯医者に行くよう通知を受けていますが、まだ歯医者に連れて行ってもらうことができていません。

Learning for All HP

子どもたちが教育を受ける機会を享受できないと、次の世代の子どもたちにも同じような貧困・教育格差が連鎖してしまいます。
そんな子どもたちの教育格差を食い止め、学力向上のために支援活動を行うのがLearning for All 。

Learning for All では主に2つの活動を行っており、その一つが困難を抱える子どもたちに対する学習支援事業です。
自治体と連携して公民館や学校に子どもたちが学習できる拠点を設置し、十分にトレーニングを受けた大学生教師が、子どもたちに伴走しながら学習を支援しています。

また、もう一つの柱となるのは居場所支援事業です。
学童保育のような仕組みで放課後に子どもたちを受け入れ、学習の支援だけではなく、基本的な生活習慣、人との接し方などを含めた包括的な支援を提供しています。

活動内容 「学習支援拠点」と「居場所支援拠点」の運営
活動地域 東京都、埼玉県など
支援対象 小学生〜中学生(一部、高校生も)
寄付の使途 人件費、教材印刷費・交通費・備品・消耗品費など
運営団体 認定NPO法人Learning for All

Learning for All では、毎月1,000円〜継続的に活動を支えるマンスリーサポーターを募集しています。
マンスリーサポーターになると、活動報告やイベントを通じて内容を深く知ることができるだけでなく、実際の支援の現場や大学生ボランティアへの研修を見学することも可能だそうです。

Learning for All への寄付で「子どもの貧困」をなくす支援を始めた3つの理由
編集部オススメのポイント!
「地域協働型子ども包括支援」の実践によって、支援の必要な子どもを見のがさず、学習支援や食事支援、居場所支援など、ニーズに沿ったサポートを6〜18 歳まで切れ目なく行っています。
目の前の子どもにどこまでも寄り添いながら、問題の根本を解決するために、現場での支援活動や、 全国の子ども支援団体とのネットワークづくりを通して、課題の普及啓発・人材育成・政策提言に取り組んでいます。

子どもたちが十分な教育を受け、明るい未来のために歩んでいけるよう、力になりたいという方はぜひ寄付を検討してみてください。

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子どもの貧困問題の現状と課題

日本国内における子どもの貧困は深刻な社会問題となっています。


経済的困難が子どもたちの教育や健康、生活全般に大きな影響を及ぼし、子どもたちの未来を閉ざしてしまう危険性があります。

この問題を解決するためには、社会全体が一丸となって取り組む必要があります。以下では、現在何が問題となっているのか、そしてそれらを解決するために必要な支援について詳しく見ていきます。

今何が問題となっているのか

日本では、子どもの9人に1人が貧困状態にあると言われています。

この貧困は、家庭の収入が少ないことだけでなく、親の失業、家庭内暴力、孤独感など様々な要因が絡み合って生じています。

経済的な困難は、子どもたちの教育機会の制約、栄養不良、健康問題、社会的孤立を引き起こし、彼らの未来に暗い影を落としています。特に、ひとり親家庭は経済的負担が大きく、支援が十分に行き届いていない現状があります。

それらを解決するために様々な側面からの支援が必要

子どもの貧困問題を解決するためには、多角的な支援が求められます。

以下に一例を挙げます。

  • 教育支援:学習塾や学校外での学びの機会を提供
  • 食事支援:学校給食や地域のフードバンクの活用
  • 心理的支援:カウンセリングやメンタルヘルスのサポートなど

これらの支援は、国や地方自治体だけでなく、NPOや企業、市民による協力も不可欠です。子どもたちが安心して成長できる環境を整えるためには、社会全体が協力し、継続的な支援を行うことが求められています。

日本の「子どもの貧困」や「ひとり親」が抱える問題や支援方法については、こちらの記事でも詳細に解説していますので、是非ご覧ください。

日本の「子どもの貧困」とは?貧困率が高い「ひとり親家庭」の実態や、支援方法を詳しくご紹介!

学習支援に寄付をするには?

ここまで、日本社会が抱える子どもの貧困問題について解説してきました。

改めて、私たちが寄付によって応援することができる、団体による活動や支援内容について紹介します。

学校外でも教育格差を生まないための「スタディクーポン」

チャンス・フォー・チルドレンHP

子どもの教育格差は、放課後(学校外)で生まれています。

チャンス・フォー・チルドレンは「スタディクーポン」を通して、経済的困難を抱える子どもたちが、学習や文化・スポーツなどの活動に参加できるような支援を行っています。

スタディクーポンは寄付金を原資に成り立っており、集めた寄付金は、学習や文化・スポーツなど様々な体験活動に使用されます。

以下にスタディクーポンのポイントをまとめます。
  1. 使途は教育に限定:寄付を原資に、学習塾や習い事、体験活動等で利用できるスタディクーポンを提供(年額15~30万円分)。現金給付と異なり、使途を教育プログラムに限定できるため、子どもたちに確実に教育の機会を届けることができる
  2. 学習や文化・スポーツなど豊富な選択肢:学習・文化・スポーツ・体験活動など、多様な選択肢の中から、子ども自身がやりたいことを選ぶことができる。地域の2,900以上の教室や団体がクーポンの利用先として参画しており、子どもからのリクエストに応じて随時教室等を追加している
  3. 大学生ボランティアによるサポート:大学生ボランティア「ブラザー・シスター」が定期的な面談を通して学習や進路の相談に応じ、安心してクーポンを利用できるようサポート

また、スタディクーポン事業は、公費を使った自治体の政策としても取り入れられ、全国に広がっています。

チャンス・フォー・チルドレンでは子ども・家庭の実態調査や、国や自治体活動への政策提言も行っており、今後も国内の子どもの教育格差や体験格差を無くすための活動を続けていきます。

スタディクーポンの評判や口コミについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も是非お読みください。

スタディクーポンの評判や口コミは?寄付先として、信頼できるかをチェック

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学ぶ場所が奪われてしまった子どもたちのための放課後学習支援「コラボ・スクール」

カタリバHP

2011年7月に、震災の被害が特に大きかった宮城県女川町と、岩手県大槌町で運営を開始。
その後は福島県双葉郡広野町、さらには2016年4月に発生した熊本地震の被災地、熊本県益城町でもコラボスクールを開校し、小中学生・高校生など約300名を受け入れています。

コラボスクールが子どもたちに対して行うのは、大きく3つのサポートです。

  • 勉強部屋を奪われた子どもたちに、学びの場を
  • 居場所を失った子どもたちの、心のケアも
  • 子どもたちを、「復興の担い手」として育てていく

学習指導を行うとともに、友達と安心して交流できる居場所を提供し、その様子を日々、職員やボランティアが見守っています。

3つの中でも特に注力するのが子どもたちを「復興の担い手」として育てていくこと。
復興のために何かしたい、と想いを抱き始めた子どもたちがチャレンジできるようなプロジェクト型学習や、より広い視野で未来を思い描くためのキャリア学習なども積極的に行っています。

10年後の日本にイノベーションを起こすリーダーを、東北の地から輩出することを目指しているそうです。

可能性に溢れる10代の子どもたち、さらには被災地のコラボスクールを支援する方法として、カタリバには様々な方法が用意されていますが、特に募集しているのは月1,000円から、継続的に活動を応援できるサポーター会員です。

会員になると、活動報告書やメールマガジンが届き、定期的に現地の活動の様子を知ることができます。
実際にサポーター会員として寄付を始めた体験談も、よかったらお読みください。

カタリバの「サポーター会員」として私が日本の子どもを支援する3つの理由

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支援先として信頼できる?3つのチェックポイント

ここまで読んでいただき、様々な支援の形や支援団体について知っていただけたかと思います。
しかし、中には「結局どこに支援したらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません

そんな方のために、寄付ナビが考える「支援先として信頼できるかのチェックポイント」をご紹介します。

一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。

企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。

その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。

  1. 職員の顔が見えるか?
  2. 活動によって問題を解決しているか?
  3. 透明性の高い会計報告を行っているか?

支援を迷っている団体があれば、是非参考にしてくださいね。

まとめ:「学習支援をする団体に寄付をしたい」という方の参考に

今回は、学習支援や勉強を教える活動を行なっている団体を3つ紹介しました。

団体名 寄付ナビ編集部オススメのポイント
チャンス・フォー・チルドレン ①低所得世帯の子どもを対象に、塾や習い事で使えるスタディクーポンを支給
②「家庭環境にかかわらず、子どもがやりたいことを応援したい」という方にオススメ
カタリバ ① 10代を対象としたキャリア教育で、子どもの意欲と創造性を引き出し、育む
② 創業者とスタッフの皆様の情熱が共感を呼び、3万人以上の支援者が活動を支えている
Learning for All ① 一人の子どもが自立するまで、地域ぐるみでサポート
② 子どもたちを取り巻く社会構造を変えるための活動

今回の記事が、貧困などによる教育格差の課題に取り組む団体への寄付をお考えの方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

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