(出典:グリーンピース HP)
温室効果ガスの影響で悪化し続ける地球温暖化。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量は増加しており、その量は地球全体の森林などの生態系が吸収できる量の倍以上になっています。
このまま悪化すると、絶滅の危機に晒される野生動物が増加したり、台風や干ばつなどの異常気象が増加、それにより動物や私たち人間の生活にも大きな被害がもたらされるといいます。
このような気候変動や地球温暖化の進行を防ぐために、NPOなどの団体が活動を行い、私たちは寄付という形でその活動を応援することができます。
しかし読者の方の中には、支援したいという気持ちはあっても、寄付に踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では以下の項目を通じて、寄付に対する不安や疑問を解消し、どのようにして支援ができるのかを詳しく解説します。
- 地球温暖化や気候変動防止に取り組む団体の紹介
- 地球温暖化の原因と影響
- 地球温暖化のために行われている取り組み
- 私たちができること
- 寄付先・募金先の選び方
あなたにぴったりの寄付先がきっと見つかるはずですので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
地球温暖化や気候変動防止に取り組む団体3選
まずは「すぐにおすすめの寄付先を知りたい!」という方のために、寄付ナビ編集部が厳選したおすすめの団体を3つご紹介します。
政策提言を軸に世界各国で環境保護活動を展開(WWF)
パンダのマークで有名なWWF。
WWFは、World Wide Fund for Natureの頭文字をとったもので、日本での名称は公益財団法人世界自然保護基金といいます。
1961年に設立され、現在100カ国以上で環境保護活動を行う世界最大規模の国際NGOです。
野生動物の保護、森林や海の保護などいくつか活動の軸がある中で、地球温暖化を防ぐ活動も積極的に行っています。
WWFの特徴は、特に国際社会への政策提言や協定遵守の働きかけに力を入れている点です。
WWFは現在、温室効果ガスの排出を削減し、地球の平均気温の上昇を、産業革命以前のレベルに比べ「2度未満」に抑えることを目標にした活動を行なっています。
WWF HP
世界各国にネットワークを持つ「WWF気候・エネルギー・プラクティス」では、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出量を大幅に削減する国際的な協定を、各国政府と産業界、金融セクター、そして一般市民から引き出すことができるよう、世界各地で活動を展開しています。
例えば、国際社会全体で温暖化対策を進めていくために非常に重要な条約とされるパリ協定。
WWFは各国がパリ協定の約束を着実に達成するように、国際社会に働きかけを行っています。
具体的にはパリ協定実施に関わる細かな取り決めの実現に向け国連交渉に働きかけたり、各国での取組みについても、更なる強化に向けた政策提言を展開するなどの活動を行っています。
活動内容 | 絶滅の危機にある野生動物の保護などを通じて、生物の多様性を守る |
活動地域 | 世界約100カ国以上 |
支援対象 | パンダやトラ、ペンギンなどの野生動物及び自然環境 |
寄付の使途 | 密猟を防ぐパトロールなど、生態系を保護するために必要な活動全般 |
運営団体 | 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン |
WWFでは、毎月継続的に活動を応援できるサポーター会員を募集しています。
会員になると年に4回、野生動物や環境問題に関する情報を盛り込んだ会報誌が送られてきます。
可愛らしい写真と情報がたっぷりと詰め込まれていて、読むだけで学びになりそうです。
編集部オススメのポイント!
WWFが持つ国際ネットワークを生かして、世界に働きかける活動を応援したい、という方はぜひ支援を検討してみてはいかがでしょうか。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
企業や自治体への働きかけで社会の変革を(グリーンピース)
世界55ヶ国で環境保護活動を行うNGO、グリーンピース。
環境保護と平和を実現するための社会システムの変革をめざし、科学的知見に基づいて、様々な立場の人と協力して活動することを大切に活動しています。
グリーンピースでは、気候変動、プラスチック問題、原発、食と農業、ファッション、森林問題の大きく6つのテーマを軸に活動しており、気候変動を食い止める活動の一貫として地球温暖化防止のための活動を行っています。
他の団体と比較してグリーンピースが注力している点は、企業や自治体への働きかけです。
グリーンピース・ジャパンは、石炭火力発電をゼロにし、自然エネルギー100%の社会を実現するために、石炭火力発電関連会社に多額の融資を行う日本のメガバンク3社(みずほ、SMBC、MUFG)に向けて、自然エネルギーに融資対象をシフトしていくよう働きかけを行っています。
グリーンピース HP
また2020年9月からは、自治体から脱炭素社会をつくる草の根の活動を開始。
同じ自治体に住んでいる方同士を繋ぎ、自分の住んでいる自治体の地球温暖化対策を調べたり、自分の自治体が「ゼロカーボンシティ宣言」をするように働きかけることを支える活動などを行っています。
企業や自治体への働きかけに加えて地球温暖化の影響の調査も積極的に実施し、啓発活動も行っている点も特徴的です。
活動内容 | 地球環境や生態系の保護、自然エネルギーの推進など |
活動地域 | 北極やアマゾンなど、世界55以上の国と地域 |
支援対象 | 危機に瀕している野生動物をはじめとする、地球上の生命 |
寄付の使途 | 環境調査・分析、自然保護を求める提言などの活動費全般 |
運営団体 | 一般社団法人グリーンピース・ジャパン |
グリーンピースにはサポーター会員の仕組みが設けられており月1,000円〜の寄付で活動を応援することができます。
ホームページにはいくらで何ができるのか、という寄付の使徒も明確に記載されていました。
毎月1,000円のご寄付で
グリーンピース HP
気候危機から命を守るための調査や働きかけを支援することができます。
編集部オススメのポイント!
自分の身近な企業や自治体、そして個人に働きかける活動を応援したい、という方はぜひ寄付を検討してみてはいかがでしょうか?
途上国との不公平に目を向け、先進国に働きかける(FoE Japan)
FoE Japanは、地球規模での環境問題に取り組む国際環境NGOです。
世界75ヵ国以上の組織と5,000の地域団体がつながる世界最大の草の根環境団体のネットワーク、Friends of the Earth Internationalの加盟団体でもあり、⽇本では1980年から活動を行っています。
地球温暖化の防止活動でFoE Japanが特徴的なのは、気候正義(climate justice)という考え方を中心に、日本で普及啓発活動を行っていること。
気候正義という言葉を初めて耳にする方も多いかと思いますが、FoE Japanのホームページでは以下のように説明されています。
気候変動の原因である温室効果ガスの大部分は、歴史的に一握りの裕福な国々が排出してきましたが、より深刻な影響は、農業や漁業など、温室効果ガスをほとんど排出しない生活を営んでいる途上国の貧困層が受けています。
FoE Japan HP
彼らの多くは、気候変動に適応する能力、資金、技術も十分に得られていません。
先進国が自国での温室効果ガスを大幅に削減し、途上国への適切な気候変動対策支援によって気候変動への責任を果たし、途上国の人々との不公平を正して以降という考え方が「気候正義」です。
つまり、これまで先進国の発展が原因で起こされてきた気候変動の責任を先進国自身が積極的に果たし、現在大きな被害を被っている途上国との不公平さを正していこうという考え方です。
FoE Japanはこの考え方を広め、一人一人が行動を起こすきっかけを作るため、日本で書籍の発行やパンフレットの作成、イベントの実施などを積極的に行っています。
活動内容 | 気候変動を食い止めるための普及啓発活動・政策提言 |
活動地域 | 世界75ヶ国以上 |
支援対象 | 南極大陸をはじめとする気候変動の危機に晒されている国・土地 |
寄付の使途 | イベント等普及啓発活動の実施・政策提言など |
運営団体 | 認定NPO法人FoE Japan |
FoE Japanは月々500円から継続的に活動を応援するマンスリーサポーターを募集しています。
さらには寄付だけではなく環境にまつわる様々なイベントやツアーの実施、ボランティアやインターンの募集も積極的に行っているそうです。
先進国と途上国の不公平を是正したい、寄付だけではなく様々な形で自ら活動に関わりたい、そんな想いをお持ちの方は、寄付を検討してみてください。
地球温暖化とは?原因と影響
地球温暖化とは、地球の気温が少しずつ上がっていくことです。これは、空気中の「温室効果ガス」が増えすぎて、太陽からの熱を地球に閉じ込めてしまうために起こります。
温室効果ガスの代表は二酸化炭素で、車や工場などで燃料を燃やすことで増えてしまいます。すでに地球温暖化が進んでおり、異常気象や海面上昇などが起こり、自然や生活に影響を与えています。
世界の平均気温は、工業化前と比較して、2100年までに最大5.7℃上昇するといわれています。すでに、この30年間で、世界の海面は約10センチ上昇したようです(米海洋大気局 – NOAA)。
1℃の気温上昇で、日本の猛暑日発生回数は1.8倍増えます。また、豪雨の頻度も増えます。熱帯夜は2倍に増えます。熱中症など人間への影響も容易に想像できます。農作物への影響も顕著で、例えば気温が2度上昇すると、米の収穫量が10%程度減少することも予測されています。
また、海面の上昇による浸水被害も増えると予測されています。海面が1メートル上昇することで、東京や大阪といった大都市の浸水被害が増える可能性があり、例えば東京湾岸地域では約90万人が海面上昇による浸水リスクを抱えると予測されています。
地球温暖化のために行われている取り組み
地球温暖化に対して、国際的には多くの国が協力して取り組んでいます。
パリ協定(Paris Agreement)
2015年に196か国の国々が参加して結ばれた地球温暖化を防ぐための国際的な取り決めです。
世界の気温の上昇を2度未満、できれば1.5度以内に抑えることを目標とし、各国は、温室効果ガス(CO2など)の排出量を減らすために自分たちの目標を設定し、その進捗を報告します。日本もこの協定に参加しており、CO2削減の努力を続けています。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)
IPCCは、気候変動についての科学的な情報を提供する国際機関です。
世界中の科学者が集まって、気候変動がどのように進んでいるのか、どんな影響があるのかを調査し、その結果を各国の政府に報告します。IPCCの報告は、国が温暖化対策を決める際の重要な参考資料になっています。
グリーン気候基金(Green Climate Fund)
グリーン気候基金は、地球温暖化に対する取り組みを経済的に支援するための国際的な基金です。
この基金は、特に温暖化の影響を受けやすい発展途上国に対して、温暖化を防ぐための技術や設備を提供するために使われています。たとえば、再生可能エネルギーの導入や、洪水や干ばつに強い農業の支援が行われています。
COP(気候変動枠組条約締約国会議)
COPは、パリ協定などの国際的な気候変動の取り決めについて話し合う毎年開かれる会議です。
世界中の国々が集まり、温暖化に対する対策や新しい目標について話し合います。たとえば、再生可能エネルギーの推進や、炭素排出量を減らすための国際ルールが話し合われます。
UNFCCC(国連気候変動枠組条約)
UNFCCCは、地球温暖化を抑えるための国連の取り組みのひとつです。
ここでは、各国が温室効果ガスを減らすための方法を話し合い、地球温暖化を防ぐために国際的な協力を進めています。この枠組みの中で、先進国は発展途上国が温暖化対策を進めるための技術や資金を提供しています。
これらの取り組みを通じて、世界中の国々が協力して地球温暖化を食い止めようとしています。
では、日本政府は具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。
日本政府は地球温暖化対策推進法を改正し、2050年までに「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質排出量をゼロにする」ことを目指す、カーボンニュートラル実現を基本理念として設定しました。
再生可能エネルギーの普及や省エネルギー技術の開発など様々な取り組みを行うことにより2021年度時点では、2013年度と比較して、二酸化炭素排出量が20.3%減少したそうです(環境省)。
地球温暖化のために私たちができること
では、私たちが地球温暖化対策のためにできることは何でしょうか。
- エアコンの温度を1度調整する、冷暖房の設定温度を夏は1度高く、冬は1度低くする:エアコンの電力消費を約10%削減できます。これにより、1家庭で年間約70kgのCO2削減が可能
- 車での移動を1km減らす:1kmの車の移動で排出されるCO2は約0.2kgです。例えば、通勤や通学で毎日車を使っている場合、週に1日公共交通機関を利用すると、年間で約200kgのCO2削減ができる
- 1kgの食品ロスを減らす:食品が廃棄される際に排出されるCO2は約3.4kgです。1家庭で年間10kgの食品ロスを減らすと、約34kgのCO2削減ができる
- ビニール袋1枚を使わない:ビニール袋1枚の生産と廃棄で排出されるCO2は約0.03kgです。毎日1枚のビニール袋を使わないようにすると、年間で約11kgのCO2削減が可能
- シャワーを1分短くする:年間で約11kgのCO2削減が可能
このように、日常の小さな対策の積み重ねで、年間数百キログラムのCO2削減が可能です。
2050年までにカーボンニュートラルを達成するためには、年間数億トン規模の二酸化炭素排出量の削減が求められます。これを、日本人ひとりあたりに割り当てると、2030年までに年間約4トンの二酸化炭素削減が必要という計算になります。
そのため、日常の工夫の積み重ねに加えて、地球温暖化対策を行っている団体を寄付によって支援することで、二酸化炭素排出量の削減を加速させる必要があります。
WWFへの寄付を例として、団体への寄付の種類を紹介します。
毎月の寄付:環境保全を継続的に支援する「WWF会員」
WWFジャパンを支援するには、毎月少額を寄付する「WWF会員」がおすすめです。
「WWFジャパン」への毎月の寄付を始めると、年4回のペースで会報『地球のこと』が届きます。
実際に届いた『地球のこと』
WWFジャパンでは、一般会員、ユース会員の皆さまに年4回の会報誌をお送りしています。
WWFジャパンHP
国内外で取り組んでいるWWFの活動や、環境関連の情報、絶滅のおそれのある野生動物などについての記事を掲載しています。
大人から子供まで、環境問題について知識のある人もない人も楽しみながら、今地球で起きていることを知っていただける内容になっております。
団体HPはもちろん、InstagramなどのSNSでも活動の状況を報告。
支援を続けるための情報が足りない、といったことはなさそうです。
また寄付金は、野生生物の保護活動や、密猟を防ぐパトロールなど、地球の豊かな自然を守るために使われます。
WWFは個人の方からの寄付が半分以上を占めています。
WWFジャパンHP
多くの方からのご支援が集まることで、WWFは大きな力を持って活動を推進することができています。
たとえば月1,000円の寄付を1年間続けると、南米のチリで海の大切さを伝え、地域の人たちにもその保全に参加してもらう普及活動を1回実施することができます。
WWFが持つ国際ネットワークを生かして、世界に働きかける活動を応援したい、という方はぜひ支援を検討してみてはいかがでしょうか。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
その他の寄付:都度の寄付や遺産・遺贈など
WWFジャパンは毎月の寄付以外にも、寄付者の気持ちにあった支援方法が用意されています。
都度寄付は、500円以上の自由な金額を寄付することができます。活動全般への寄付のほか、特定の活動への寄付、特別な機会に際しての寄付があります。
既に説明した個人でできること以外にも、自分の興味や関心がある団体を調べて、寄付で応援することも環境保護につながります。
支援先として信頼できる?3つのチェックポイント
ここまで読んでいただき、様々な支援の形や支援団体について知っていただけたかと思います。
しかし、中には「結局どこに支援したらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません
そんな方のために、寄付ナビが考える「支援先として信頼できるかのチェックポイント」をご紹介します。
一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。
企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。
その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
- 職員の顔が見えるか?
- 活動によって問題を解決しているか?
- 透明性の高い会計報告を行っているか?
支援を迷っている団体があれば、是非参考にしてくださいね。
まとめ:「地球温暖化を止める活動に寄付したい」という方の参考に
以上、地球温暖化を食い止める活動を行う団体を3つご紹介しました。
団体名 | 寄付ナビ編集部オススメのポイント |
WWFジャパン | ① 絶滅の危機にある野生動物の保護などを通じて、生物の多様性を守る ② 世界中にネットワークをもち、さまざまな国の専門スタッフが国境を超えて力を合わせ、行動を起こすことができる |
グリーンピース・ジャパン | ① 北極やアマゾンなど世界55以上の国と地域で、野生動物をはじめとする、地球上の生命を守る活動 ② 政府や企業からの援助を受けず、市民の力だけに支えられて、独立して環境保護に取り組んでいる |
FoE Japan | ① 世界75ヵ国以上の組織と5,000の地域団体がつながる世界最大の草の根環境団体ネットワーク ② 気候変動や森林破壊、大規模開発による環境・人権問題、脱原発・脱石炭など、幅広く政策提言活動を行う |
私たち人間、そして全ての動物たちが安全に生活できる環境を守るため、少しでも行動してみたいと思う方が一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。