アクセプト・インターナショナルの永井陽右さん、どんな人?寄付者の私が著書から学んだ想い

「アクセプト・インターナショナルの代表理事、永井陽右さんってどんな人なの?」
「経歴や事業にかける想い、お人柄を知りたい!」

こんにちは、寄付ナビの鈴木大悟です。

NPO法人アクセプト・インターナショナルは、紛争地域で刑務所などに収容された元テロリストと釈放直後の若者たちを対象に、社会復帰プログラムを提供しています。

私自身、アクセプト・インターナショナルへの毎月の寄付「アクセプト・アンバサダー」を通して、活動を応援しています。

そんなアクセプト・インターナショナルの代表理事を務める、永井陽右さんはどのような人物で、どのような想いを持った起業家なのでしょうか?

本日は、このような疑問を持っている方へ向けて、著書『僕らはソマリアギャングと夢を語る』(英治出版)を読んで、私が学んだことをお話ししたいと思います。

永井 陽右(ながい ようすけ)

アクセプト・インターナショナルHPより引用

  • 1991年、神奈川県海老名市生まれ。
  • 2015年、早稲田大学教育学部卒業。
  • 大学在学中にアクセプト・インターナショナルの前身となる「日本ソマリア青年機構」を設立。
  • 世界で最も危険な場所と言われるソマリア(東アフリカ)で、テロリストの更生支援活動を開始。
  • 2017年、日本ソマリア青年機構を「NPO法人アクセプト・インターナショナル」として法人化し、代表理事に就任。
  • 現在は、ソマリア以外にもイエメン・ケニア・インドネシアなど世界各国で、テロリストの脱過激化と社会復帰支援に取り組む。

アクセプト・インターナショナルの原点は?世界最悪の紛争地ソマリアとの出会い

アクセプト・インターナショナルの活動は、永井陽右さんが学生時代にケニアのナイロビにあるイスリー地区(隣国ソマリアからの難民たちが住むエリア)を訪れたことに端を発します。

イスリー地区を通り過ぎる際に、案内役をしてくれていたドライバーが声を荒げて、永井さんに言いました。

「ソマリアはテロリストの国家で、そこから流れ出る難民たちがイスリー地区に来て住みついているんだよ。事実イスリーはソマリアの過激派組織の拠点となっていて、武器や麻薬が取引されている。そしてあいつらはケニア人を殺すんだ」

僕らはソマリアギャングと夢を語る P.22

無事に日本に帰国した後も、イスリー地区で目にした光景が頭から離れず、ソマリアについて調べ始めた永井さん。

ソマリアは1991年に勃発した内戦により国土が分断され、事実上の無政府状態が続いていました。
国外へ流れ出た難民の数は推定100万人以上と極めて多く、多くの援助機関が難民への支援を訴えている状況だったそうです。

アクセプト・インターナショナルHP

永井さんは国連のホームページに書かれていた、ある文章に衝撃を受けます。

「ソマリアは現在、『世界最悪の人道危機の状態』から『想像もできない比類なき人類の悲劇』へと変貌している」

僕はようやく事態の深刻さをはっきりと理解した。

(中略)こうして僕は、探していた世界ーー最も耐え難い「痛み」がある場所ーーを見つけた。

僕らはソマリアギャングと夢を語る P.26

「世界最悪の紛争地ソマリアから、テロのない世界をつくる」

アクセプト・インターナショナルの挑戦は、そんな1人の日本人大学生の熱狂から始まりました。

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『僕らはソマリアギャングと夢を語る』を読んで、私が共感した3つのポイント

この記事を書いている私が、永井陽右さんの著書を読んで学んだことや感じたことを共有させてください。

①「本当に意味のある国際協力とは?」創業当時の葛藤

ソマリアの平和のために行動を始めた永井さんは、大学生の仲間たちと共に、アクセプト・インターナショナルの前身となる団体「日本ソマリア青年機構」を立ち上げました。

活動を始めた当初は、サッカーボールなどのスポーツ用品を現地に届けたり、ソマリアの奨学生を日本へ招致したりといったことに取り組んでいたそうです。

しかし、本当に、これが私たちのやりたいことなのだろうかと、永井さんは葛藤します。

日々目に飛び込んで来るソマリアでの飢餓、自爆テロ、難民のニュース。
目の前でボコボコにされている人を眺めながら、そうではない人々にサッカーボールを手渡してヘラヘラしている自分がどうも気に食わない。

サッカーすらできない、するまえに死んでしまう人々の存在を僕はどう捉えれば良いのだろう。

ソマリアから目を背けるな、治安が悪いというのは何もしない理由にはならない、そう考えて走り続けてきたけれど、いまの行動に自分は納得しているのか。

僕らはソマリアギャングと夢を語る P.86

悩む永井さんの背中を押したのは、国境なき医師団に携わってきた方が書いた、ある本の一節でした。

「『本当に意味のある国際協力』とは、自分がやりたいことをやって『自己満足にひたる』のでも、自分に専門性があることをやるのでもなく、『それ』が必要なことであれば、自分がどんなにやりたくないことでも実行し、専門性が必要ならそれを身につけていこうと努力してゆく、『姿勢』を言うのである」

僕らはソマリアギャングと夢を語る P.37

永井さんは今でもこの言葉を、迷いそうになる度に思い出しているそうです。

「本当に必要な取り組みとは何か?」と自らに問いかけ続け、自分たちにできることを探してやり遂げようとする、そんな永井さんの姿勢に感銘を受けました。

②排除するのではなく受け入れる、平和的なアプローチ

ソマリアの若者たちの多くは、紛争・干ばつ・飢餓などの絶望的な環境の中で生まれ育ち、生活の糧となるようなスキルが身につかないまま大人になってしまい、就ける職がありません。

テロ組織はそうした若者の困難に付け入り「組織に加入すれば希望がある」と勧誘します。
そこから抜け出そうとしても、組織からの報復を恐れ、抜け出すことは非常に困難です。

アクセプト・インターナショナルHP

同年代のギャングを仲間として受け入れ、一緒に社会を変えていきたいと考えた永井さんは、治安改善とテロ予防を目的としたプロジェクトを企画します。
その原形は、5〜6日間で行う以下のようなワークショップだったそうです。

  1. 10名ほどのユースギャングを集める。
  2. イスリー地区の問題点をともに解決する仲間として彼らを迎え入れる。
  3. イスリー地区の問題点をともに議論する。
  4. そこからギャング問題をピックアップして問題に対する当事者意識を高め、主体的な行動を促していく。

アクセプト・インターナショナルはテロリストやギャングだからと排除するのではなく、彼らとの対話を重視しています。

争いをなくすために、また新たな争いが起きることを望まない、そんなアクセプト・インターナショナルの平和的なアプローチに共感しました。

このようにテロリストを駆逐するのではなく、受け入れる(アクセプトする)ことは、現在のアクセプト・インターナショナルの思想へと結びついています。

③テロリストの自発的な行動変容へと繋げる環境づくり

プログラムを重ねるごとに、アクセプト・インターナショナルは若者たちに「人生はやり直すことができる」と伝え、テロリスト以外の生き方を提案していったそうです。

すると、1人、また1人と、別の人生を歩み始める若者が増えていきました。
イスリー地区で育ち、アクセプト・インターナショナルのプログラムを受けて、ニュージーランドの大学に進学したアブディラシードさんの声をお読みください。

「君たちは僕の目を開き、希望を与えてくれた。ダラダラしていた僕に刺激を与え、僕が行動するように変えてくれたのは、紛れもなく君たちだ。たくさんの機会を与えてくれて、本当に感謝しているよ!」

(中略)「大学の学部は土木工学部にしたんだ。僕の夢は内戦でボロボロになっている母国を助けて再建することだからね!」

僕らはソマリアギャングと夢を語る P.217

現在アクセプト・インターナショナルはテロ組織からの投降兵・逮捕者約300名を受け入れて、彼らが経済的・社会的に自立できるように、技術研修・就労支援・カウンセリングを実施しています。

アクセプト・インターナショナルHP

紛争問題やテロ問題に苦しむ多くのソマリアの若者たちの「変わりたい」という強い思いを、アクセプト・インターナショナルの活動が後押ししています。

ソマリアギャングと夢を語り、テロリストではない未来をつくる永井さんは、まさにソマリアと日本の架け橋だと感じました。

例えば月1,500円の寄付で、テロ組織の投降兵2名に、社会復帰支援プログラムを提供することができます。

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アクセプト・インターナショナルの最新の取り組みは?日本国内の非行少年への支援

アクセプト・インターナショナルは2020年から、日本国内の非行少年への支援もされています。

非行少年は家庭内暴力や貧困、精神疾患といった困難に苦しんだ末に、犯罪に至ってしまうケースが多いです。

非行少年は少年院を出院した後も、就労や就学などに様々なハンデを負っています。
彼らが社会に復帰し、その再犯を防ぐことが、新たな被害者を減らすことに繋がります。

アクセプト・インターナショナルHP

アクセプト・インターナショナルは例えば、本人との面談を通して個別の更生支援計画を作り、その実現をサポートするなどの取り組みを行っています。

日本国内でも、若者たちに希望の火を灯し続ける。

永井さんがこれまでソマリアなど海外の若者たちと取り組まれてきたことが、今度は日本の若者へと連綿と繋がっているように感じます。

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Forbes Japan『世界を変える30歳未満の30人』に選出されるなど、多数の選出・受賞歴

永井陽右さんは、2018年8月にForbes誌が選ぶ「30 UNDER 30 JAPAN 2018」(世界を変える30歳未満の30人)に選出されています。

(出典:Forbes Japan – Twitter)

選出歴

  • 2014年:世界最大の青年国際会議One Young Worldに日本代表団員として出席
  • 2016年:日経ビジネス「次代を創る100人」に選出
  • 2018年:Forbes Japan「30 UNDER 30 JAPAN 2018」に選出

受賞歴

  • 2014年:「第28回人間力大賞(青年版国民栄誉賞)」にて人間力大賞、外務大臣奨励賞を受賞、「大学生 OF THE YEAR 2014」にて総合グランプリを受賞
  • 2015年:2014年度早稲田大学小野梓記念賞(特別賞)、早稲田校友会稲魂賞受賞
  • 2020年:公益財団法人社会貢献支援財団による第55回社会貢献者表彰(日本財団賞)を受賞、バーレーン国王・国連開発計画(UNDP)主催「King Hamad Youth Empowerment Award to Achieve the SDGs」にて平和賞を受賞

活動開始から10年以上、一貫して紛争やテロの問題に取り組んできた実績が、社会的に評価されています。

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追記:テロリストの若者が武器を置くことができる環境を創りたい

最後に、永井陽右さんより、これから寄付を検討されている方へ向けたメッセージが、アクセプト・インターナショナルのホームページに掲載されていたので、ご紹介させてください。

今、改めて、「自分に何ができるのだろうか?自分は何をしなければならないだろうか?」と考えます。
世界を見渡すと、テロは増加傾向にあり、ソマリア以外にも目を覆いたくなる紛争があることがわかります。

考えることは2011年の時と同じ。
今ならもっと、やれることがある。
やるべきことがある。
僕らは無力でも微力でもない。

人生を賭して、テロと紛争の解決に挑戦しようと思います。
どうか、皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。

アクセプト・インターナショナルHP

永井さんの熱狂は、まだ始まったばかりです。

これからも、私はアンバサダーとして、永井陽右さんとアクセプト・インターナショナルを応援したいと思います。

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