(出典:チャンス・フォー・チルドレン HP)
【2025/05/01 更新】
日本には、貧困のために周りから学習が遅れてしまったり、課外活動など様々な機会を奪われてしまう学生がいることをご存知でしょうか?
一方で、
「高校や大学時代に経験したことが今の自分を作ってくれている」
「自分も学生時代は学費のやりくりに苦労した」
という思いから、経済的ハンディキャップを抱える学生を支援したい、という方も多いかもしれません。
この記事では、
- 学生の学びと成長を支援する団体の紹介
- 貧困学生の背景
- 貧困学生に対するNPOの取り組み
について解説します。
「寄付をしたいけれど、どこにすればいいかわからない」「本当に支援が届くのか不安」という方も、この記事を読めば、自分に合った支援方法が見つかるはずです。あなたの寄付が、困難な状況にある学生へ届くよう、ぜひ参考にしてみてください。
目次
貧困状態にある学生をサポートする団体4選
まずは「すぐにおすすめの寄付先を知りたい!」という方のために、寄付ナビ編集部が厳選したおすすめの団体を4つご紹介します。
生まれた環境の格差で未来をあきらめない。居場所づくりや学習支援で10代を応援。(カタリバ)

生活が困窮している家庭では、食事や自宅学習環境にも影響が出てしまいます。その結果、勉強に集中できず成績が落ちたり、進学を諦めたりしてしまうケースも。
このような状況をその子ども自身の力で改善することは難しく、ひとりで悩みを抱え込んでしまうようになります。
そして、周りと比べて「どうせ自分なんて」と自信をなくしてしまう小学生や中学生、高校生もいるのです。
カタリバは困窮する子どもたちをはじめとした、自己肯定感が低く、将来への希望が持てない小学生から高校生への支援を展開しています。
具体的には、放課後学校において下記のような活動を行っています。
- 学習支援
自習室としての場所と、ICTを使った少人数の学習クラスを運営しています。利用する生徒の疑問や不明点を受け止め、スタッフ間で一人ひとりの状況を共有しながら、理解と学習習慣を定着させていきます。 - 居場所づくり
スタッフとのコミュニケーションや居心地のよい空間設計により、子どもたちにとって「いても良い場所」「安心できる場所」になるような場作りをしています。 - 体験プログラム・イベント実施
地域や他団体・企業と協働し、ものづくり、スポーツ、花火大会、クリスマスパーティーなどのイベントを企画しています。様々な体験を得られ、季節の思い出や文化体験を得られる機会を提供します。 - 食事提供
平日は毎晩、長期休暇中は昼と夜の2回、食事を提供します。調理は近隣の方とともに子どもたち自身も関わります。食を満たすだけでなく、一緒につくって、食べるという経験を通じて子どもたちの安心感や承認機会が生まれます。
※ 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、現在は感染予防対策を徹底した上で支援を行っています。
活動内容 | 安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供や学習支援、探究学習の実践支援など |
活動地域 | オンライン(全国)、岩手県、宮城県、福島県、東京都、島根県に加え、各地域団体を後方支援 |
支援対象 | 主に日本の小学生〜高校生など |
寄付の使途 | 人件費、教材・備品・消耗品費、移動・交通費など |
運営団体 | 認定NPO法人カタリバ![]() |
学習場所としての機能とともに、学校とも家庭とも違う、自分を受け入れてくれる場所があること。
それにより、子どもたちが自己肯定感や、学習意欲を向上させる様子が見られるようです。
アンケート結果を見ても、自己肯定感や学習意欲・学びに向かう力にポジティブな変化が見られました。これからも子どもたち1人ひとりの歩みに合わせた、半歩前向きになるサポートをしていきたいと考えています。
カタリバ HP

編集部オススメのポイント!
カタリバの活動は、寄付によって支えられています。
たとえば月1,000円の寄付を1年間続けると、生徒2人が授業を受けられるそう。
学生が貧困を脱するだけでなく、生き生きと毎日を送るための手助けとして、カタリバの活動を寄付で応援してみませんか?
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
大学生の学びと生活をサポート。奨学金で教育の機会均等を実現。(日本学生支援機構)


大学生になると、高校までと比べて急に入学金や授業料が上がり、高額なお金を準備しなくてはなりません。
また、進学先によっては実家から通えずに一人暮らしをする生活費が必要な場合も。
家計の事情で進学を諦めたり、学費を自分でまかなうためにアルバイトを詰め込み、学業との両立に疲弊したりしてしまう貧困学生が存在します。
そんな学生たちの進学や大学生活を、奨学金という形でサポートしているのが日本学生機構です。
奨学金貸与事業を展開している団体としては、日本では有名な団体のため、大学時代に借りていたという方も多いかもしれません。
2004年の設立以降、貸与型奨学金で大学の入学金や授業料、生活費を支援してきましたが、2020年からは待望の給付型奨学金が創設。
成績に関係なく、世帯収入の基準を満たす学生に返還の義務がない奨学金が給付されるようになりました。
経済的理由で大学・専門学校への進学をあきらめないよう、2020年4月から新制度がスタートしています。
日本学生支援機構 HP
世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができます。
活動内容 | 奨学金事業、留学生支援事業、学生生活支援事業(学校担当者向け) |
活動地域 | 日本 |
支援対象 | 経済的な理由で修学が困難な学生、海外留学を希望する学生、日本への留学を希望する海外の学生など |
寄付の使途 | 学生への奨学金、留学支援、被災した学生への支援金など |
運営団体 | 独立行政法人日本学生支援機構 |
日本学生支援機構への支援は「特定公益増進法人」への寄付として認められ、税制優遇を受けられます。
口座振込またはクレジットカードで寄付ができるほか、遺贈での寄付も受け付けているようです。
大学での勉強は、その後の進路や学生自身の可能性を大きく開きます。
未来を担う学生が、経済的理由から勉学を諦めてしまうことがないように支援したい!という方は寄付を検討してみてください。
寄付金をもとにスタディ・クーポンを提供。貧困家庭の子どもに学校外教育の機会を(CFC)


2017年の調査によると、日本の子どもの9人に1人が相対的貧困の状態にあるそう。また、家庭の経済格差が、子どもの教育格差を生む可能性が危惧されています。
「義務教育まではほぼ無償なのにどうして格差ができるの?」と思う方がいるかもしれません。
しかしある調査によると、家庭の教育への支出のうち、約6〜7割が学校外教育への出費だとわかっています。
習い事などに通い、学校外で教育を受けている子どもがいる一方で、家計に余裕がないために塾や習い事に通う機会を得られない子どもがいるのです。
この学校外でうまれる教育機会の格差を解消するため、チャンス・フォー・チルドレンでは小学生から高校生を対象に「スタディ・クーポン」を配布しています。
現金ではなくクーポンという形で支援するのには、お金が教育以外の用途に使われてしまうことを防ぐ目的があります。
支援の対象となるのは、貧困家庭の小学生から高校生。
クーポンを使って、下記のような幅広い教育活動を受けられます。
1.教科学習(塾、予備校、家庭教師、通信教育など)
チャンス・フォー・チルドレン HP
2.スポーツ(サッカー教室、スイミング、スポーツ教室など)
3.文化活動(ピアノ教室、音楽教室、絵画教室など)
4.体験活動(キャンプ、野外活動、社会体験など)
5.習い事(習字、そろばん、パソコン教室、外国語教室など)
これまでに5,000名以上の子どもたちにクーポンを提供し、子どもの教育や進学を応援してきました。
ホームページには支援を受けた子どもからの声も紹介されています。
私は、今回のご支援を通じて、人と人とが助け合うことの素晴らしさを改めて実感しました。
チャンス・フォー・チルドレンHP
この経験を生かして、子どもたちに助け合うことの素晴らしさ、学ぶことの楽しさを伝えられるような教師になりたいと思います。



編集部オススメのポイント!
スタディ・クーポンの原資となるのは、人々からの寄付です。
チャンス・フォー・チルドレンは、より多くの子どもたちにスタディ・クーポンを提供するため、月々1.000円からの寄付で活動を支える「CFCサポート会員」を募集しています。
子どもたちが貧困を抜け出すきっかけになるかもしれないスタディ・クーポンを広げるために、毎月の寄付を始めてみてはいかがでしょうか?
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
困難を抱えている小学生の生活全般をサポート(Learning for All)


日本でも「貧困世帯の子ども」は少なくありません。
そのような家庭では、学校外での教育にかけられる費用が少なく、さまざまな経験や学習の機会が制限されています。
その結果、その子どもの家庭が再び貧困世帯になる可能性が高くなるという悪循環に陥ってしまうという現状があります。
「今の日本で、本当に貧困が広がっているの?」そんな疑問を耳にします。
Leaning for All
私たちの活動を知っていただくには、まず、問題を知っていただく必要があります。
日本の子どもたちは、あなたが思う以上に経済的な困窮に直面しており、
それが原因で社会から疎外されてしまっています。
そこで、安心できる居場所の中で子ども一人ひとりに寄り添った活動をしているのがLearing for All です。
子どもが安心して過ごせる環境づくりとして始まった「子どもの家」。
学童保育のような仕組みの中で、落ち着いてみんなとの生活を楽しむ環境を提供しながら、子どもたちの自立する力を養っています。
活動内容 | 「学習支援拠点」と「居場所支援拠点」の運営 |
活動地域 | 東京都、埼玉県など |
支援対象 | 小学生〜中学生(一部、高校生も) |
寄付の使途 | 人件費、教材印刷費・交通費・備品・消耗品費など |
運営団体 | 認定NPO法人Learning for All![]() ![]() |
同団体が目指しているのは「すべての子どもたちが夢や幸せに向かって自由に、そしてしなやかに、自分の人生を切り拓くことができる社会」です。



編集部オススメのポイント!
「教育格差・厳しい生活に苦しむ子どもたちをサポートしたい」
「子どもの貧困を本質的に解決したい」
そう感じられる方は、支援先として検討してみてはいかがでしょうか。
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寄付金控除の対象団体です
貧困学生の背景
さまざまな要因が重なった結果、進学を諦めざるを得ない、進学できても厳しい生活を送っている、といった学生も少なくありません。
ここでは、その背景について、一部をご紹介します。
家庭の経済状況
家庭の経済的困難が、若者の進学や就職に影響を与え、将来の収入に直結することがあります。経済的に厳しい家庭では、進学を諦める、または早くから働く必要があり、貧困の連鎖が生じることがあります。
特にひとり親家庭では深刻な状況となっています。
厚生労働省が2023年に公表した報告書では、子どもの約9人に1人が貧困状態にあり、ひとり親になるとおよそ半数が生活困窮に陥っているとされています。
教育費の負担
高等教育の進学率が高い一方で、学費や生活費の負担が大きく、奨学金の返済に追われる若者が多いです。
2014年の日本学生支援機構による発表では、大学卒業後、収入が低いことにより返済を3か月以上延延滞している人は17万3000人にものぼっているとのことです。
社会制度・支援の不十分さ
こうした背景を受けて、返済の必要がない「給付型奨学金」制度の整備が進められてきました。2020年度からは国の新制度として、住民税非課税世帯などを対象にした給付型奨学金と授業料減免制度が本格的にスタートしています。
しかしながら、こうした支援が十分に行き届いているとは言いがたく、制度の対象となる世帯は限られており、支給額も進学に必要な費用すべてをまかなえるわけではありません。
そのため、制度の枠から漏れた学生や、給付型奨学金を受けながらも生活費を補うためにアルバイトを掛け持ちせざるを得ない学生も多く存在します。
貧困学生に対するNPOの取り組み
改めて、貧困学生に対する支援や活動を行っている団体について、ご紹介します。
学校外でも教育格差を生まないための「スタディクーポン」


子どもの教育格差は、放課後(学校外)で生まれています。
チャンス・フォー・チルドレンは「スタディクーポン」を通して、経済的困難を抱える子どもたちが、学習や文化・スポーツなどの活動に参加できるような支援を行っています。
スタディクーポンは寄付金を原資に成り立っており、集めた寄付金は、学習や文化・スポーツなど様々な体験活動に使用されます。


以下にスタディクーポンのポイントをまとめます。
- 使途は教育に限定:寄付を原資に、学習塾や習い事、体験活動等で利用できるスタディクーポンを提供(年額15~30万円分)。現金給付と異なり、使途を教育プログラムに限定できるため、子どもたちに確実に教育の機会を届けることができる
- 学習や文化・スポーツなど豊富な選択肢:学習・文化・スポーツ・体験活動など、多様な選択肢の中から、子ども自身がやりたいことを選ぶことができる。地域の2,900以上の教室や団体がクーポンの利用先として参画しており、子どもからのリクエストに応じて随時教室等を追加している
- 大学生ボランティアによるサポート:大学生ボランティア「ブラザー・シスター」が定期的な面談を通して学習や進路の相談に応じ、安心してクーポンを利用できるようサポート
また、スタディクーポン事業は、公費を使った自治体の政策としても取り入れられ、全国に広がっています。
チャンス・フォー・チルドレンでは子ども・家庭の実態調査や、国や自治体活動への政策提言も行っており、今後も国内の子どもの教育格差や体験格差を無くすための活動を続けていきます。
スタディクーポンの評判や口コミについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も是非お読みください。



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寄付金控除の対象団体です
学習機会を失った高校生に、教育サポートや居場所支援、心のケアを
認定NPO法人カタリバは、2000年から活動をスタートさせた歴史をもつ団体で、困難な状況にある子どもたちへの支援を行っています。
本来であれば、学習機会は高校生たちに広く開かれているべきものです。
ですが、状況によっては、夢にまい進できる環境を得られない場合もあります。
たとえば、生活困窮世帯の高校生は、生活費を稼ぐためにアルバイトをしなければならず、学習時間を確保できなかったり、学校を休みがちになってしまったりします。
また、何らかの事情で不登校になってしまうケースも少なくありません。
このような状況にある高校生は進路の選択肢も狭まり、将来つく職業にも影響してしまいかねません。
カタリバでは、困窮世帯の子どもをはじめとした小学生〜高校生向けに、居場所支援や学習サポートなど、メンタルケアや教育支援事業を行っています。


カタリバの居場所には、学習する場所というだけでなく、子どもたちにとって「学校や家庭以外でも自分自身を受け入れてくれる場所」という役割があります。
その結果、子どもたちの自己肯定感や学習意欲が向上した様子も見られるようです。
そして、カタリバで学んだ子どもたちは自信を取り戻し、未来に進み始めています。
皆様からの支援のおかげで、やりたいことに挑戦する楽しさを知ることができました。私も、周りからは見えない問題で苦しんでいる人をサポートしたいと思うようになり、今は教育の道を志しています。
カタリバHP
活動内容 | 安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供や学習支援、探究学習の実践支援など |
活動地域 | オンライン(全国)、岩手県、宮城県、福島県、東京都、島根県に加え、各地域団体を後方支援 |
支援対象 | 主に日本の小学生〜高校生など |
寄付の使途 | 人件費、教材・備品・消耗品費、移動・交通費など |
運営団体 | 認定NPO法人カタリバ![]() ![]() |
カタリバの活動は寄付によって支えられています。
月1,000円の寄付を1年間続けると、生徒1人に1ヶ月間の授業を届けられるそうです。



高校生が夢をあきらめず頑張り続けるための支援を、ぜひ検討してみてください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
支援先として信頼できる?3つのチェックポイント
ここまで読んでいただき、様々な支援の形や支援団体について知っていただけたかと思います。
しかし、中には「結局どこに支援したらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません
そんな方のために、寄付ナビが考える「支援先として信頼できるかのチェックポイント」をご紹介します。
一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。
企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。
その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
- 職員の顔が見えるか?
- 活動によって問題を解決しているか?
- 透明性の高い会計報告を行っているか?
支援を迷っている団体があれば、是非参考にしてくださいね。
まとめ:「貧困学生を寄付で支援したい」という方の参考に
この記事では、貧困で苦しい思いをしている小学生〜大学生を支援する4団体を紹介しました。
団体名 | 寄付ナビ編集部オススメのポイント |
カタリバ | ① 10代を対象としたキャリア教育で、子どもの意欲と創造性を引き出し、育む ② 創業者とスタッフの皆様の情熱が共感を呼び、2万人以上の支援者が活動を支えている |
日本学生支援機構 | ① 未来を担う学生への支援をより一層充実させるために寄付を募集している ② 当機構への寄付は「特定公益増進法人」への寄付として認められ、税制優遇を受けられる |
チャンス・フォー・チルドレン | ①低所得世帯の子どもを対象に、塾や習い事で使えるスタディクーポンを支給 ②「家庭環境にかかわらず、子どもがやりたいことを応援したい」という方にオススメ |
Learning for All | ①一人の子どもが自立するまで、地域ぐるみでサポート ②子どもたちを取り巻く社会構造を変えるための活動 |
貧困対策は国として行わなければならないという意見もありますが、将来を担う学生のために、今自分ができることから始めてみるのはいかがでしょうか。
この記事が寄付を検討するきっかけや、寄付先選びの参考になれば嬉しいです。