みなさんはマンホールチルドレンという言葉を聞いたことがありますか?
マンホールチルドレンとは、主にモンゴルのストリートチルドレンを指す言葉です。
経済危機下にあるモンゴルでは、貧困ゆえに家族から捨てられた子どもや、家を失った家庭の子どもが、マイナス30度の極寒をしのぐためにマンホールで暮らしていました。
本記事では、今もなお続くこの問題に立ち向かい支援する団体を紹介します。
目次
子どもへの支援とともに、社会と環境そのものへアプローチ(Meet the Smiles)
Meet the Smilesは、マンホールチルドレンの自立支援や、モンゴルの社会改善・環境改善のため活動するNPO法人です。
マンホールチルドレンは、突然モンゴルに現れたわけではありません。
そこにはモンゴル国内の経済事情や、環境問題が大きく関わっているのです。
近年モンゴルでは経済の悪化などにより多くの人たちが貧困に陥っています。
Meet the Smiles HP
草原は干ばつやゾド(雪害)による自然の破壊が進行しています。
多くの牧民が遊牧業を営めなくなり草原を離れ都市に流入して行きます。
しかし、都市部にも充分な仕事がありません。
経済の悪化、環境問題の悪化も、すぐに改善できるものではありません。
マンホールチルドレンへの支援も同様、その場しのぎではなく長期的な視点での活動が求められます。
Meet the Smilesでは、子どもサポート事業と同時に、モンゴルの社会改善と自然環境再生を目指した環境事業を行っています。
今までに行っている・または現在計画している環境事業は以下の通りのようです。
- フェアトレードでモンゴルの方々手作りの雑貨の販売
- 健康改善のためにビニールハウスで野菜作りを
- 日本の自転車を現地のエコな乗り物として活用
- エコバッグキャンペーン
活動内容 | マンホールチルドレンへの支援やモンゴルの社会・環境改善活動 |
活動地域 | モンゴル |
支援対象 | マンホールチルドレンや孤児院にいる子どもたち |
寄付の使途 | 子どもたちとの交流費用、基金設立、施設運営費用など |
運営団体 | NPO法人Meet the Smiles地球の笑顔と出会う会 |
少しずつ始めた環境保全活動がいつか身を結び、未来にはまた遊牧民が多く生活するモンゴルとなるかもしれません。
モンゴルの方々や子どもたち、そして環境、文化のために何かできることをしたい!という方は、ぜひ活動を調べてみてくださいね。
母子のためのグループホームで、子どもたちに安心と安全を(モンゴルキッズの家)
モンゴルキッズの家(マンホール・チルドレンを支える会)は、マンホールチルドレンやその親たちを支援する任意団体です。
零下30度まで気温が下がるモンゴルで、家のない子どもたちはマンホールの温水パイプの上で暖をとって寒さをしのぎます。
しかし、子どももいずれ大人になります。
モンゴルキッズの家を立ち上げた方は、ドキュメント番組でその様子を知ったそうです。
まだ10才そこそこの3人の子どもがマンホールの中で助け合って生きている姿が映し出されていました。
モンゴルキッズの家HP
(中略)
同じ3人の子ども達の10年後、(中略)3人は、それぞれが人生の厳しさに直面していました。
1人はアルコール依存で暴力沙汰を起こして定職に就けず、1人はアルコール依存と自死念慮があり、そしてもう1人は身分証明も教育もないので、ゴミ集めの仕事で家族8人を何とか養っていました。
この10年間、誰も彼らのために何もしてあげられなかったことが、彼らがアルコール依存、自殺志向、厳しい労働という人生を余儀なくしているのだと感じました。
そのような子どもたちを救うため、マンホール・チルドレンを支える会は設立されました。
マンホール・チルドレンを支える会は、キリスト教の教えに基づき、母子のためのグループホーム「モンゴルキッズの家」の設立と運営の支援や、子ども達の回復・養育に関わるスタッフの育成活動などを行っています。
活動内容 | グループホームの設立や運営支援、子どもたちのケアなど |
活動地域 | モンゴル |
支援対象 | 危機に直面している子どもたち |
寄付の使途 | ホームの運営資金や活動費 |
運営団体 | マンホール・チルドレンを支える会 |
初めて来た時よりも子ども達はとても明るくなり、体重も少しずつ増えてきています。
モンゴルキッズの家HP
互いに喧嘩したり、ひどい言葉をかけたり、物を盗んだりといった悪い行いは少しずつ減り、仲良く過ごせるようになってきており、ある子どもは家に帰りたくないと言うなど、変化も見られるようになりました。
子どもたちの未来を明るくするには、「自分は尊重されている」「安心していいんだ」と思える環境が必要です。
子どもたちが安心できる環境づくりのため、ぜひ支援を検討してみてください。
ジェンダー平等の教育支援で、シングルマザーや子どもを救う(アジアチャイルドサポート)
アジアチャイルドサポートは、モンゴルのほかカンボジア、ミャンマー、タイ、スリランカ、日本で子どもへの教育支援事業を続ける、認定NPO法人です。
アジアチャイルドサポートが支援活動をし始めた1999年当時、3,000名近くいたマンホールチルドレン。
現在はさらに、マンホールファミリー、マンホールアダルトへの問題と変化してきているといいます。
マンホールや建物の地下にもぐり暮らすのは、夫を失ったシングルマザー。
子どもを抱え、暴力と寒さに震えながら生活しています。
夫を失い生活に困窮した母親達がアパートの地下にもぐり暮らしていました。
アジアチャイルドサポートHP
ビルの電気、水道などの廃刊をメンテナンスする土がむき出しになった穴倉で生きていました。
(中略)
母親たちは毎日、暴力に怯えています。
酔っ払いが入ってきて殴りかかってくる、時には性暴力にもあっています。
子供たちの顔は虫に刺されたような跡が無数に残っていました。
この母親たちが必死になって子供を育て、生きている姿は、余りにも悲惨です。
アジアチャイルドサポートは、マンホールチルドレンを保護するための施設の建設や、シングルマザー支援、NGOジェンダーセンターの支援を行っています。
NGOジェンダーセンターでは、2006年以降は下記のような取り組みを行っています。
- 女性支援
- こども(0才~18才)及び成人も保護教育支援
- 援助機関のネットワーク作りと支援
- 地方NGOの育成
- 住民参加の促進
活動内容 | 子どもへの教育支援、井戸の建設 |
活動地域 | モンゴル、カンボジア、ミャンマー、タイ、スリランカ、日本 |
支援対象 | 困難な状況にある子どもやその家庭 |
寄付の使途 | 各国への支援事業の活動費 |
運営団体 | 認定NPO法人アジアチャイルドサポート |
今回の視察で非常に嬉しかったのは、調理師の資格をとったお母さん達が貧困家庭の人々や子どもたちに無料で食事を提供するだけでなく、栄養に関する知識を皆に広めていたことや、こうやって地域の人々に守り育てられた貧困家庭の子どもたちが少し成長し、食堂に手伝いに来るようになり、一般の食堂としても運営が上手くいくようになっていたことです。
アジアチャイルドサポートHP内「伝伝虫通信バックナンバー 通巻26号」より
シングルマザーやマンホールで暮らす子どもたちに、安心して暮らせる自立した生活を届けたい……!と思う方は、ぜひ団体の活動を調べてみてはいかがでしょうか?