(出典:WWFジャパンHP)
【2025/07/21 更新】
動物園でおなじみのパンダやトラも、世界的には「絶滅危惧種」に指定されていることをご存じでしょうか?
こうした動物がいなくなると、生態系のバランスが崩れ、私たちの暮らしにも影響が出てくる可能性があります。
「何かしたい。でも、何をすればいいのかわからない」 そんなふうに感じている方もいるかもしれません。
この記事では以下の項目を通じて、寄付の意義や方法、信頼できる団体についてわかりやすく解説します。
- 絶滅危惧種や野生動物の保護に力を入れる団体紹介
- 絶滅危惧種が増えている背景と原因
- 野生生物を守ることが私たちにとって大切な理由
- 身近な動物にも迫る絶滅のリスク
- よくある質問
あなたの思いや関心に合った支援のかたちが、きっと見つかるはずです。ぜひ最後までご一読ください。
目次
絶滅危惧種や野生動物の保護に力を入れる団体3選
まずは「すぐにおすすめの寄付先を知りたい!」という方のために、寄付ナビ編集部が厳選したおすすめの団体を3つご紹介します。
WWF:絶滅危惧種や野生動物の命とすみかを守る、国際環境NGO

WWF(世界自然保護基金)は、1961年の設立以来、「生物多様性の保全」を使命に掲げ、世界190カ国以上で自然環境と野生生物の保護に取り組んでいます。
近年では、地球温暖化が野生動物たちの命や生息地を脅かす深刻な脅威となっています。
たとえばスマトラ島では、森林火災によってオランウータンの生息地が急速に失われています。北極では氷が溶け、ホッキョクグマがエサをとれずに命を落とす事例も。こうした変化は、生態系全体に影響を及ぼしています。
WWFはこうした問題に対して、温暖化の原因となる二酸化炭素などの排出削減に取り組むと同時に、野生動物たちの暮らす森や海の保全・再生を進めています。
具体的な活動は以下の通りです:
- 森林保全と再生(REDD+):熱帯林や北方林を守り、野生動物のすみかを再生する取り組み。森を守ることは、絶滅危惧種の保護にも直結します。
- 政府・企業への政策提言:脱炭素社会の実現を目指し、行政や企業と連携して環境負荷の少ない社会づくりを推進。気候変動から生態系を守る制度づくりにも関わっています。
- 再生可能エネルギーの推進:化石燃料に依存しない社会への転換を促し、自然エネルギーの導入を支援。間接的に野生動物の生息環境の保全にもつながります。
- 市民への啓発活動:「未来47景」などのキャンペーンを通じて、日々の暮らしの中で自然と共生する行動を広く伝えています。
活動内容 | 絶滅の危機にある野生動物の保護などを通じて、生物の多様性を守る |
活動地域 | 世界約100カ国以上 |
支援対象 | パンダやトラ、ペンギンなどの野生動物及び自然環境 |
寄付の使途 | 密猟を防ぐパトロールなど、生態系を保護するために必要な活動全般 |
運営団体 | 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン![]() |
たとえばWWFへ月1,000円の寄付を1年間続けると、チリで海洋保全普及活動を実施できます。
1週間250円と考えれば、多くの人にとっては難しくない金額でしょう。

編集部オススメのポイント!
「気候変動から自然や野生動物を守りたい」「未来の世代に豊かな地球を残したい」そんな想いをお持ちの方は、ぜひWWFジャパンの活動へのご支援をご検討ください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
グリーンピース:環境問題の根本的な解決をめざす、独立系国際NGO


グリーンピースは、政治や企業からの資金援助を受けずに活動する国際環境NGOです。気候変動、森林破壊、海洋汚染など、地球規模の環境問題に対し、調査・提言・市民とのアクションを通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。
とくに近年では、野生動物や絶滅危惧種の生存を脅かす要因の根本にアプローチする活動を強化。以下のような取り組みを通じて、自然と生きものの共生を支えています。
たとえば、以下のような活動をしています。
- ペンギンやクジラを守るため、南極の海を保護区に:商業漁業などによって脅かされている南極海の自然を守るため、国際的な「海洋保護区」の設立を呼びかけています。
- オランウータンの森を壊す企業を調査・監視:インドネシアなどの熱帯林では、大量伐採によって動物のすみかが失われています。グリーンピースはこうした実態を調べ、企業や政府に改善を求めています。
- ホッキョクグマなどを守るため、温暖化対策を推進:石炭火力や化石燃料に依存する社会から、再生可能エネルギーへの転換を呼びかけ、地球温暖化の原因にアプローチしています。
グリーンピースへの寄付は、野生動物や自然を守るための調査・キャンペーン・情報発信などに使われます。寄付は月1,000円から始められ、継続的に支援する「グリーンピース・サポーター」として活動を後押しできます。
活動内容 | 地球環境や生態系の保護、自然エネルギーの推進など |
活動地域 | 北極やアマゾンなど、世界55以上の国と地域 |
支援対象 | 危機に瀕している野生動物をはじめとする、地球上の生命 |
寄付の使途 | 環境調査・分析、自然保護を求める提言などの活動費全般 |
運営団体 | 一般社団法人グリーンピース・ジャパン |



編集部オススメのポイント!
「気候変動から自然や動物たちを守りたい」「未来の地球に、美しい南極の姿を残したい」そう願う方は、ぜひグリーンピースへの寄付をご検討ください。
日本自然保護協会:ツシマヤマネコやヤンバルクイナを守る、日本の自然保護団体


日本自然保護協会HP
日本自然保護協会(NACS-J)は、日本各地の希少な生きものや自然を守るために活動する団体です。1951年の設立以来、科学的な調査と地域との協力を大切にしながら、絶滅の危機にある野生動物の保全に取り組んでいます。
たとえば、ツシマヤマネコ(長崎県)やヤンバルクイナ(沖縄県)といった絶滅危惧種を対象に、生息地の現地調査や、保護のための行政への働きかけを行っています。
また、「モニタリングサイト1000」という全国規模の調査では、森林や湿地などの自然環境を定期的に記録。こうしたデータは、貴重な自然を守るための基礎資料として活用されています。
さらに、地域の人々と協力しながら、自然と共に生きる暮らしのあり方を考える取り組みも展開。開発計画の見直しや、子どもたちへの環境教育なども行っています。
寄付は、野生動物の調査・保全、環境政策への提言、教育活動などに活用されます。
「日本の自然や動物を守りたい」「目の前の開発で自然が壊されていくのが気になる」そんな気持ちを持っている方にぴったりの寄付先です。
絶滅危惧種を追い込む、私たちの経済活動の影響
近年、地球上の野生動物がかつてないスピードで姿を消しています。
国際自然保護連合(IUCN)が発表した2021年のレッドリストによると、絶滅の危機にある種は4万84種。1996年から現行の評価基準が導入されて以降、初めて4万種を超えました。
特に注目すべきは、この20年ほどの間で絶滅危惧種の数が約4倍に増加していること。2000年時点では約1万1000種でしたが、現在ではその4倍近くに。この急増の背景にある最大の要因は、私たち人間の経済活動と言われています。


出典:絶滅危機種(CR、EN、VU選定種の合計)の推移(IUCN REDLISTを基にWWF作成)
土地開発・乱獲・外来種…すべてが野生動物の脅威に
IUCNは、絶滅のリスクが高い種(CR=近絶滅種、EN=絶滅危惧種、VU=危急種)をまとめて「絶滅危機種(Threatened Species)」と定義しています。WWFによれば、これらの種が増加している背景には、次のような人為的要因があるとされています。
- 土地改変。生息環境の破壊。
- 生物資源としての利用。乱獲・密猟など、消費を目的とした捕獲や伐採
- ダム・道路・宅地開発などの自然システムのかく乱
- 人の居住・商業利用を目的とした開発
- 外来種の侵入や感染症の拡大。外来生物や新たな病原体など
私たちが便利さや効率を求めて進めてきた開発は、野生動物たちの暮らしを急速に変え、追い詰めてきました。
たとえば、スーパーに並ぶ食料の背景には森林伐採や海洋資源の枯渇があり、新たな住宅地や商業施設の裏には、かつて動物たちが暮らしていた森や湿地が失われているかもしれません。
なぜ自然保護が必要なの?私たちの“命のネットワーク”を守るため
「絶滅危惧種を守ることは、生命の歴史と、私たちの暮らしを守ること」。
この言葉は環境省が発信しているメッセージの一つです。自然保護は、単に「かわいそうな動物を助ける」だけでなく、私たち人間の暮らしや未来にも直結した、大切な取り組みです。
命の歴史の結晶である“種”を絶やさないため
WWFによると、地球上には3,000万種、あるいはそれ以上の種数の生物が生息していると考えられており、その一つひとつは長い進化の歴史を経て生まれてきた「命の結晶」です。
日本だけを見ても、哺乳類の4割、爬虫類の6割、両生類の8割が日本固有の種であり、私たちの足元にある自然には世界的にも貴重な命が数多く存在しています。
生物の種は、生命の長い歴史の結晶であり、それ自体がかけがえのない価値を持っています
環境省
1種の絶滅が、生態系全体のバランスを壊してしまう
「ミツバチが絶滅すれば、人類は4年後に滅びる」そんなアインシュタインの言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
ミツバチは、植物の受粉を担い、生態系の循環を支える重要な存在です。しかし、国際連合食糧農業機関(FAO)によれば、ハチやチョウの約40%が絶滅の危機にあるとされています。
地球の自然は、無数の生き物たちが支え合うことで成り立っています。たった1つの種が絶滅することで、それを食べていた動物が生きられなくなったり、植物の繁殖が滞ったりと、生態系全体のバランスが崩れてしまう可能性があるのです。
私たちの暮らしも、生物の恵みに支えられている
自然は、人間にとっての「食」「薬」「住まい」など、数え切れないほどの恩恵をもたらしています。お米やパンの原料は、もともと野生の植物から生まれました。
医療の世界でも、多くの薬は、動植物由来の成分から開発されています。未来の特効薬も、自然界にまだ眠っているかもしれません。このように、自然がなければ、私たちの生活そのものが成り立たないと言えます。
動物園で見かけるあの動物も?“身近な生きもの”が絶滅の危機に
動物園でおなじみのパンダやトラ、コアラ。
実はこうした人気の動物たちも、世界的には絶滅の危機にある「絶滅危惧種」に分類されています。
たとえば、スマトラトラはインドネシア・スマトラ島に生息していますが、森林破壊や密猟によって数を減らし、現在では世界で数百頭しか確認されていないとされています。
また、ジャイアントパンダも一時は「絶滅危惧種」に指定され、近年では保護区の整備などによって個体数はやや回復していますが、竹林の減少や生息地の分断など、依然として課題は山積みです。
こうした動物たちを守るために、WWFは、世界100か国以上で野生動物と自然環境の保全活動を行っています。


たとえば、スマトラトラの生息地となる森林を守るために、違法伐採の監視や地域住民との保全活動を実施したり、パンダのすむ竹林を再生させるために保護区の整備や調査活動を進めています。
WWFへの寄付は、こうした現地での保護活動のほかにも、温暖化対策・政策提言・環境教育など、野生動物が安心して暮らせる環境づくりに活用されています。
「動物園で見たあの動物を、未来の子どもたちにも見せたい」「地球の自然を守るために、今できることを始めたい」
そう感じた方は、WWFへの寄付をぜひ検討してみてください。


> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
支援先として信頼できる?3つのチェックポイント
ここまで読んでいただき、様々な支援の形や支援団体について知っていただけたかと思います。
しかし、中には「結局どこに支援したらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません
そんな方のために、寄付ナビが考える「支援先として信頼できるかのチェックポイント」をご紹介します。
一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。
企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。
その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
以下に、それぞれについて解説します。
職員の顔が見えるか?


NPOの活動には、代表をはじめ、理事や職員、インターンやボランティアなど、多様なスタッフが関わっています。
団体の公式サイトで職員の顔を出していることは、活動に自信がある証拠です。
「自分のお金を誰に託すのか?」を知ることで、より安心して寄付を続けることができます。
その上で、職員数やボランティアの人数など、関わっている人の数も確認できると、なお良いと思います。
- 理事や職員などスタッフの顔が見えるか。
- どれくらいの人が関わっているか。人数が多ければいいわけではありません。
あなたと似たような想いを持って活動しているスタッフがいる団体なら、それはあなたの価値観とマッチする団体かもしれません。
活動によって問題を解決しているか?


同じ社会問題に取り組んだとしても、解決するアプローチは団体によって、実にさまざまです。
例えば「子どもの貧困」と一口に言っても、
- 学習支援を通じて、子どもの学力向上に資する
- 食品配付を通じて、健康や栄養状態を改善する
- 相談窓口を通じて、虐待や暴力などを予防する
というように、団体によって活動の領域は異なります。
そもそもNPOが取り組んでいる問題は、すぐに解決には至らず、長い時間がかかることが多いです。
寄付先として検討している団体の支援アプローチは本質的に問題を解決し得るのか、またそのアプローチに共感するかどうか、などを見ると良いでしょう。
- 寄付先の支援アプローチは問題を解決、もしくは改善しているか?
- しっかりと実績や成果を上げているか。
そうした活動の進捗を定期的に報告するプログラムが整っている団体であれば、自らのお金がどのように活用されたかの理解が進み、寄付をするモチベーションが増します。
透明性の高い会計報告を行っているか?


ほとんどのNPOは、会計報告を公式サイトで公開しています。
逆に会計報告を公開していない団体は、資金を不正に利用しているのではないかと、寄付者から疑問を持たれても仕方がないでしょう。
団体の公式サイトを確認すると「会計報告」や「年次報告」といった形で、会計や財務に関する情報を公開していることが多いので、チェックしてみましょう。
支出の内訳を、例えば事業費80%・管理費20%としている団体であれば、「1,000円寄付したら、おおよそ800円が直接的な活動に、200円が活動を継続していくために必要な費用に変わるんだ」と目安をつけることもできます。
- 透明性の高い会計報告を行っているか?
- 納得できるお金の使い方をしているか。
さらに、監査法人や公認会計士による監査を受けていることを確認できれば、より信用度は高まると思います。
よくある質問:絶滅危惧種を守るための寄付について
「少額でも役に立つの?」「どんな団体を選べばいいの?」寄付を考えたときに、そんな疑問や不安を感じる方も多いかもしれません。
そこで最後に、絶滅危惧種や野生動物を守る活動への寄付に関して、よくある質問とその答えをまとめました。初めての方も、継続支援を検討している方も、ぜひ参考にしてください。
Q1. 本当に寄付は動物の保護に使われるの?
はい、信頼できる団体であれば、寄付の使い道が明確に公開されており、保護活動や調査、啓発活動などに活用されています。
たとえばWWFでは、現地での森林保全、密猟の防止、絶滅危惧種の調査・追跡などに資金が使われています。団体の公式サイトで年次報告書を確認できる場合もあるので、チェックしてみましょう。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
Q2. 月1,000円とかでも意味があるの?
多くの団体では、継続的な少額寄付が安定した保護活動につながるとして歓迎されています。1,000円で、トラの生息域での監視カメラ設置や、現地スタッフの活動費用の一部を支えることができるケースもあります。
Q3. 寄付は税金の控除対象になる?
団体の種類によって異なります。WWFジャパンや日本自然保護協会のような認定NPO法人や公益財団法人であれば、寄付金控除の対象になります。確定申告をすれば、所得税や住民税の一部が還付される可能性があります。
詳しくは各団体の寄付ページや「寄付金控除について」のページをご確認ください。
Q4. どうやって寄付すればいいの?
多くの団体では、クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済など複数の方法が用意されています。
単発寄付と毎月の継続寄付が選べるので、自分のペースに合った方法を選びましょう。Webから3分ほどで完了する団体も多いです。
Q5. 支援先の団体をどう選べばいいの?
活動内容、寄付の使い道、実績、理念などを比べて、自分が「共感できる」と思える団体を選ぶのがいちばんです。
「トラを守りたい」「日本の自然を守りたい」など、興味や関心があるテーマから選ぶのもおすすめです。
寄付ナビでは、信頼できる団体をいくつかご紹介しているので、以下の記事も参考にしてみてください。



まとめ:「絶滅危惧種を守る活動に寄付したい」という方の参考に
今回は、絶滅危惧種や野生動物の保護に力を入れる団体を3団体を紹介しました。
団体名 | 寄付ナビ編集部オススメのポイント |
WWF | ① 活動は多岐に渡り、その中でも森林保護は1962年から続くプロジェクト ② 「FSC森林認証制度」という仕組みを推奨し、認証を受けた製品を買うことで、消費者も世界の森林保全に関与できる |
グリーンピース・ジャパン | ① 北極やアマゾンなど世界55以上の国と地域で、野生動物をはじめとする、地球上の生命を守る活動 ② 政府や企業からの援助を受けず、市民の力だけに支えられて、独立して環境保護に取り組んでいる |
日本自然保護協会 | ① 市民参加型「自然しらべ」による全国モニタリング活動 ② 企業との協働で「ライフスタイルと自然保護」を推進するネイチャーポジティブ戦略 |
今回の記事を読み、野生生物を守ることが私たちにとって大切な理由をご理解いただき、「自分も何かアクションをおこしたい」とお考えの方にとって少しでも参考になれば幸いです。