寄付を検討している方から少なからず聞くのが、寄付先の選び方のご相談です。
「NGOやNPOはたくさんあるので、良い団体はどうやって見つければよい?」
「あちらの団体とこちらの団体、何を基準に選べばよいのか?」
寄付を考えている方なら浮かびがちな疑問に、3つのポイントからお答えします。
目次
ポイント1:団体として信頼できるか?
1つ目は、団体の信頼性。
あなたの預けたお金を、不正なくしっかりと、社会に役立たせようと大切に使ってくれるか?です。
たくさんの人々から集まった善意のお金が、「NPOの代表者に横領された」「飲み食いに使われた」といった事件も、残念ながら過去にはありました。
圧倒的大多数の非営利団体は、きちんと会計を管理して活動のために公正に使っているはず。
資金の透明性に疑問が持たれるのは、わずかな一例のはずですが、せっかく大事なお金を出すなら、より信頼できる団体を選びたいですね。
私がNPOの寄付集めをしている方と話したり、個人的に募金したりしてきたなかで、団体の信頼性を確かめるためのポイントは5つ。
- 財務情報を公開しているか?
- スタッフの「顔が見える」か?
- 法人格は?
- 協働先の企業・団体は?
- 活動報告は定期的にされているか?
たとえば法人格について、非営利団体でも「一般社団法人」や「公益財団法人」「認定NPO法人」などさまざまな法人格があります。
「NPO」と言っても、もし法人登記をせずに任意団体なら、誰でも名乗ることができます。
また法人登記をしても、一般的な「NPO法人」は認証制度を取っているので、簡単に言えば提出した書類に不備がなければ法人の設立自体はできます。
ですが、「認定NPO法人」となると話は別です。
申請にあたっては、「年間100人以上の方から、3,000円以上の寄付を受けている」といった実績が要件となり、また経理財務や情報管理など管理体制の整備が求められます。
認定元の自治体(例:東京都)から、「適正な法人運営をしているか?」をチェックされ、十分に行っていないと更新(5年ごと)がされません。
財団法人や社団法人も同じく、「公益財団法人」「公益社団法人」は公益性の審査を受け、行政から認定をされた団体です。
もちろん一般のNPO法人や社団法人が「寄付金が公正に使用されない」訳ではまったくありません。
ですが、認定NPO法人や公益財団法人などを選ぶと、「ハズレ」を引く可能性を極力下げることができる、と覚えておくと便利でしょう。
その他にも、WEBサイトからでもチェックできる5つのポイント、ぜひご覧になってみてください。
ポイント2:活動は効果が出ているか?
2つ目は、支援の「効果」。
あなたが1万円を寄付をしたことがあるのなら、寄付する前にその使い道はチェックしたことがあることでしょう。
ですが、「そのお金でどんな成果が出たのか?」を確かめてみたことはありますか?
たとえばアフリカの子どもの支援でも、食糧や医療、教育などさまざまな活動をしている団体があります。
1000ドル(約11万円)の援助につき、「子どもたちの就学年数を伸ばす」ために、どれだけの効果につながったのか?を換算して比較してみると・・
- 少女への送金:0.2年
- 成績に基づく奨学金:3年
- 無料の制服:7年
- 寄生虫の駆除:139年
いずれのプログラムも、子どもが教育を受けるのに「目に見えるプラスの影響がある」という意味では ′′有効′′なのですが、その効果となると圧倒的な差が出ました。
「学校に通う少女に現金の報酬を与える」では、1,000ドルの支援をしても0.2年しか就学年数が伸びていないのに対して、「生徒の寄生虫の駆除」は139年と、500倍以上も効果的だったと判明したのです。
ポイント1で「お金が適正に管理される」と分かっても、どうせお金を出すなら一番効果的に役立ててほしいですね。
ある慈善団体が「50ドル(5000円)の寄付でひとつの家庭に5冊の育児ガイドブックを配付できる」と明記していても、それで十分ではありません。
その本で子どもの学業成績が向上するのか?
世の中への理解が深まり、家族の生活が豊かになるのか?
その本で誰の生活も向上しないとしたら、50ドルの寄付はムダになってしまう。
(「〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ」より)
大事なのは、寄付金の使い道が「最終的に誰の何のために役立つか?」を明らかにしていること。
定量的に可視化できているNGOやNPOは、現時点ではまだ多くはないかもしれませんが、ぜひWEBサイトなどでチェックしてみてください。
ポイント3:あなたの価値観と合うか?
最後に考えていただきたいのは、価値観とのマッチング。
支援先の団体のミッションや活動目的が、あなたの想いや人生の体験から導き出した矢印と一致するか?です。
たしかに「お金が役立てられるか?」だけを考えるなら、ポイント1の「信頼性」や2の「効果」だけを考えればよいかもしれません。
ですが、チャリティの魅力は、寄付をした方の心まで豊かになること。
「他人のためにお金を使うと、幸せになる」「寄付をすると、幸福度がアップする」といった傾向が、数々の心理学の実験結果から実証されているのです。
ハーバード大学の研究によると、「(中略)慈善事業に寄付した人は、1日の終わりに幸福度が大きく高まり、自分のためにお金を使った人の幸福度は変わらなかった」という結果が出ています。
(中略)「チャリティーに寄付することは、家庭の所得を2倍にするのと同じくらい幸福度に貢献していた」という数値が出ていたそうです。
(「なぜ「寄付すると、幸せになれる」と断言できるのか?心理学実験で分かった、意外な事実」より)
そんな「心地良い寄付体験」を得るうえで欠かせないのが、団体の掲げるミッションや目指すビジョンに、あなたが心から共感できること。
「どんな子どもでも、生まれ育った家庭や地域にかかわらず、夢を抱くチャンスを奪われないべきだ」
「子どもがモノのように扱われ、売られてしまうのはあってはならない」
そんな価値観や信条を、現実に体現しようと歩みを進める団体を応援できるのは、幸せなことですね。
NPOで寄付を募る仕事をしていた時も、募金をいただく方からのメッセージに目を通していました。
ご自身の体験や築き上げられた信念を、熱心につづってくださる方が少なからずいらっしゃいます。
- あなたが大事にしている価値観やキーワードは?
- 子どもの頃や家族の、心に残っている話や体験は?
- 人生でつらいときに支援してもらったことは?励みにしていた言葉は?
もし「ピンとくる寄付先が見つからない」という方がいらっしゃったら、ご自身の過去を振り返ってみても、よいかもしれません。
3つのポイントから、寄付先をピックアップしました
今回ご紹介した3つのポイント、あなたにとってぴったりな寄付先を選ぶために、よかったら考えてみてください。
私の方でも、個人的に「信頼」「効果」「価値観」の各項目がマッチしていると感じる、具体的な寄付先をご紹介しますね。
信頼:かものはしプロジェクト
「子どもが売春宿に売られる」そんな悲しいことが、世界にはまだ残っています。
認定NPO法人かものはしプロジェクトは、「人身売買の被害にあい、売春宿で働かされている女性や子どもがいる」という問題の解決を目指している団体です。
現在は、世界で最も被害者が多いと言われているインドで、主に活動しています。
私も2018年から、毎月の寄付で応援しています。
被害者が権利を取り戻す裁判を支援するなど、寄付金を有効に役立ててくれる団体と実感しています。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
効果:チャンス・フォー・チルドレン
日本の子どもも少なからず貧困の状態にあることはご存知でしたでしょうか?
ひとり親世帯はさらに貧困に陥りやすく、先進国のなかでも最悪の数字と言われています
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンは、この問題を解決すべく、低所得世帯など困難を抱える子どもたちに「スタディクーポン」を配布しています。
子どもたちは塾や習い事の費用としてクーポンを利用することで、多様な学びの機会を得ることができます。
累計で約4,600名以上の子どもたちを支援し、大阪市が教育施策(塾代助成)としてスタディクーポンの仕組みを政策導入するなど、地道な支援が着実に成果を上げています。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
価値観:ロシナンテス
認定NPO法人ロシナンテスは、アフリカに安全な水と医療を届ける、日本発祥の国際協力団体です。
病気の予防には安全な水が不可欠だと考えて、医療の提供に加え、給水所やため池も建設して安全な水を提供しています。
ロシナンテスの名前は、小説「ドン・キホーテ」に出てくるドン・キホーテの乗る痩せ馬のロシナンテに由来しています。
「私たち一人ひとりは痩せ馬ロシナンテのように無力かもしれない、しかし、ロシナンテが集まりロシナンテスになれば、きっと世界を笑顔にできるはず」という想いが込められています。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
今回ご紹介した3つのポイント、あなたにとってぴったりな寄付先を選ぶために、よかったら考えてみてくださいね。