寄付とは「お金やモノなどを、非営利団体や学校・個人などに、無償で譲り渡す」ことです。
災害時の義援金や、子どもやお年寄りの福祉を支えるのにも寄付という手段は有効です。
今回は、寄付・社会的投資が進む社会の実現を目指して活動する「日本ファンドレイジング協会」が発信している情報などを参考に、”知られざる寄付の世界”をご紹介します。
目次
寄付の方法は?お金以外にも多様な寄付の仕方がある!
寄付の方法はたくさんありますが、代表的なものを2つご紹介します。
方法1:お金を寄付する
まずは単純に「お金を寄付する」という方法です。
たとえば日本赤十字社に寄付すると、以下のような活動に使われます。
- 災害が起こった時の医療支援や物資支援
- 平常時には救急処置の講習や普及
- ボランティアや青少年の育成など
私も「身近な人にプレゼントを贈る」ような気軽な気持ちで、月1,000円といった少額を寄付しています。
コツコツと寄付を続けることで、社会の役に立てている実感が得られます。
方法2:古着や古本など不用品を寄付する
自分には必要ないモノを、必要な人に譲るという寄付の方法です。
もったいない系の寄付とは、使用済みのものや不要になったものを寄付してもらう支援のことである。
日本ファンドレイジング協会
寄付を受けたものをそのまま利用するものや、換金し運営費に充てるものなど、さまざまな活用ができる。
古着の寄付
古本の寄付
書き損じはがきの寄付
いらなくなったモノを手放せて、且つ寄付先に喜んでもらえるのであれば嬉しいですよね。
他にも「ポイント募金」や「寄付付き商品の購入」など、気軽に参加できる寄付は、たくさんあります。
寄付されるのは、どんな人たち?日本や途上国の子供など
寄付で成り立っている活動はさまざまですが、NPOや学校・福祉施設など、公共的な活動であることが多いです。
たとえばアフリカの農村の貧困問題に取り組むNPOのケースで考えてみましょう。
この場合、受益者はアフリカの農村の住民であり、彼らのために寄付を集め、NPOが良い活動をすることになります。
寄付をすることは自分自身が動いて社会を変えたり、社会のニーズに直接応えられなくても、確実に行動してくれる誰かに「思い」と「お金」を託す未来への投資だと言えます。
日本ファンドレイジング協会HP
また支援の対象となるのは、途上国だけではありません。
日本も、少なくない子どもたちが貧困の状態にあります。
たとえば児童養護施設や孤児院で暮らす子どものために、寄付を募り、安心して生活できる環境や勉強に必要な教材を用意するといった支援があります。
日本人は寄付しない?アメリカとの差は「約40倍」も
寄付と聞くと、
- 日本に寄付の文化はない
- 一方で、アメリカは富豪たちが積極的に寄付している
こんなイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
日本ファンドレイジング協会発行の『寄付白書2017』に掲載されている、個人による寄付に関するデータから両者を比較してみると・・
日本 | アメリカ | |
個人寄付総額 | 7,756億円 | 30兆6,664億円 |
名目GDPに占める割合 | 0.12% | 1.44% |
個人寄付平均額 | 27,013円 | 125,664円 |
寄付者率※ | 23% | 63% |
※ 寄付者率…インタビュー調査の直近1カ月間にチャリティ団体へ金銭を寄付した人の割合
アメリカの個人寄付の総額は日本の約40倍と、人口の違いを考慮しても非常に大きいことが分かります。
また、アメリカでは寄付者率が63%と非常に高く、一部のお金持ちだけが積極的に寄付している訳ではなく、多くの市民ができる範囲で寄付していることが分かります。
一方、日本は寄付者率も個人寄付平均額もアメリカより低いですが、寄付文化がないとまでは言えないのではないでしょうか。
2010年には4,874億円だった個人寄付の総額が、2016年には7,756億円へと大きく伸びていて、日本でも寄付が広がっている傾向にあるようです。
寄付金控除とは?寄付の一部が税金の代わりになる制度
「お金持ちが寄付するのは節税のためなんでしょ?」
という疑問も、よく耳にします。
確かに、日本にも寄付税制がありますが、
- × :寄付した金額<寄付による節税効果
- ◯ :寄付した金額>寄付による節税効果
となっており、確定申告すると寄付の一部が税金の代わりになるという程度です。
寄付税制とは、寄付をすることで社会に貢献したいと考えている人の活動を後押しするために、一定の法人に寄付をした人に税制上の優遇を与える制度。
日本ファンドレイジング協会
たとえば、あなたが毎月3,000円(年間36,000円)を寄付金控除の対象となるNPOに寄付したとすると、
- (寄付金額 – 2,000円)×40% = 税金から控除される金額
- (36,000円 – 2,000円)×40% = 13,600円
※ 税金から控除される金額は、所得税額の25%が上限です
となり、実質的に負担する金額は毎月約1,866円(年間22,400円)です。
また法人として寄付した場合も、寄付した金額の一部が損金として認められます。
日本の寄付文化は?歴史を紐解くと意外な事実があった!
日本にも、古来より寄付の文化が存在します。
起源は飛鳥時代の皇族、聖徳太子にまでさかのぼります。
(出典:聖徳太子)
皇室のお祝い事にあわせて貧しい人々にお米や塩を配布するなど、さまざまな慈善活動が実施されていたそうです。
この頃はまだ、市民のためというよりは、支配の強化という意味合いが強いです。
奈良時代には仏教徒が市民から奉加(ほうが)と呼ばれる寄付集めを行ったという記録が残っています。
民衆の間でも「共助」の考え方が広まり、寄り合いを開いて連携を強化したそうです。
時代が進み、江戸時代になると商人が大きな力を持つようになります。
大阪は川が多く、橋を架けるのに、多くの杭が必要でした。
その費用を負担していたのが大阪の商人。
寄付がとても高額だったため、「杭で商売が傾く → 杭倒れ → 食い倒れの街大阪」の語源になったという説もあります。
このように、日本は元々「市民の助け合い」が活発だったことが伺えます。
しかし第二次世界大戦の後は、徐々に共助が公助(行政サービス)へと変化していきます。
福祉は政府が責任を持つもの、という認識が広まったのも高度経済成長期と言われています。
阪神淡路大震災、東日本大震災と大きな災害に見舞われ、寄付が注目を集める場面もありましたが、外国と比較すると習慣的に寄付している人は多くないのは前述の通りです。
寄附・募金・義援金との違いは?意味や英語をチェック
寄付と同じような意味で使われている言葉はいくつかあります。
まず「寄附」はほとんど同じ意味で使われます。
「募金」は「お金を募る」という意味で、本来は寄付を集める側の言葉です。
ただ現在は寄付する側も「募金した」と使うようになり、実際は「寄付」と同じ意味です。
「義援金」は「被災者へのお見舞金」という意味です。
被災者を支援するために、国や地方自治体、もしくは日本赤十字社などが被害の状況を勘案して、義援金を配分・給付しています。
有名な募金では、「赤い羽根募金」や「緑の羽根募金」があります。
それぞれ、赤い羽根は地域のお年寄りや障がいのある方のために、緑の羽根は植林や森林の整備に募金が使われています。
ちなみに寄付を英語で表記すると「Donation」です。
寄付するという動詞では「donate」の他に、「contribute」なども使われます。
まとめ:寄付は手軽な社会貢献!少額から寄付してみよう
寄付は「寄付者の想いが乗ったお金」です。
その寄付が困っている人の支えになったり、社会課題の解決に尽力しているNPOを応援します。
寄付によって助けられるのは、支援を受ける側だけではありません。
私たち寄付者も、寄付による満足感や達成感を得ることができます。
できる範囲の金額で、気軽に寄付を始めてみませんか?
あなたの日常が、今より少し豊かになることを願っています。