(出典:グッドネーバーズ・ジャパンHP)
私たちが住む日本でも、食事を十分にとることができない家庭が存在しています。
厚生労働省が2023年に発表した報告書では、約9人に1人の子どもが貧困状態にあり、ひとり親世帯に絞ると全体の約半数が十分な食事をとれていません。
このような貧困家庭が増加している一方で、大量廃棄などによるフードロスや食品ロスの問題も抱えています。
2022年に消費者庁が発表している、日本におけるフードロスの量は、なんと472万トンであり、これは世界中で飢餓に苦しむ人々のための食糧支援量(2022年:年間480万トン)とほぼ同等に相当します。
このような「食の不平等問題」に対する取り組みとして、フードバンクなどの食品支援事業があり、私たちは寄付を通じて、これらの活動を積極的に応援することができます。
しかし読者の方の中には、支援したいという気持ちはあっても、寄付に踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では以下の項目を通じて、寄付に対する不安や疑問を解消し、どのようにして支援ができるのかを詳しく解説します。
- フードバンク事業を展開する団体の紹介
- 日本における貧困家庭の現状
- 食料支援の具体的な活動と寄付の仕方
- 寄付先・募金先の選び方
あなたにぴったりの寄付先がきっと見つかるはずですので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
フードバンク事業を展開する団体2選
まずは「すぐにおすすめの寄付先を知りたい!」という方のために、寄付ナビ編集部が厳選したおすすめの団体を2つご紹介します。
グッドネーバーズ・ジャパン:家庭や企業で余った食品を、困窮するひとり親家庭に届けるグッドごはん
日本にも3食を満足に食べられない子どもが存在します。
特にひとり親世帯では2人に1人の子どもが相対的貧困の状態にあり、親が子どものために食事を抜いたり、子どもが空腹を我慢したりすることも。
グッドネーバーズ・ジャパンは18歳以下の子どもがいるひとり親家庭に、家庭や企業から寄付された食品を無償で提供するフードバンク事業「グッドごはん」を展開しています。
企業から寄贈される食品の中には、備蓄品の切り替えで不要になったインスタント食品や備蓄米、包装デザインの変更で販売できなくなったものなど、品質には問題なく食べられるけれど行き場がなくなった食品も含まれるそうです。
そのような寄贈品などを組み合わせ、一世帯が受け取る食品は1回につき10,000円相当の食品。
食費を切り詰めているひとり親家庭にそれだけの食品が届くことで家計に余裕が生まれ、親も子どもも1日3度の食事をきちんととれるようになります。
3食しっかり食べることができれば、学校での勉強への意欲が湧いてきます。また、家計に余裕ができたことで、ドリルや参考書を買ったりすることもできます。
引用:グッドネーバーズ・ジャパン HP
活動内容 | 低所得のひとり親家庭に食料を届ける |
活動地域 | 東京都・神奈川県・大阪府・佐賀県周辺など |
支援対象 | 経済的に困窮しているひとり親と子ども |
寄付の使途 | 食品の調達、食品を保存する設備費や輸送費、人件費など |
運営団体 | 認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン |
グッドごはんの継続には、食品の寄付やボランティアスタッフだけでなく、食品の輸送費や管理費が必要です。
グッドネーバーズ・ジャパンでは毎月1,000円からの寄付でグッドごはんの活動を応援できる「国内こどもスポンサー」を募集しています。
余っている食品を、必要なところに循環させ、ひとり親家庭の心とお腹を満たす活動に賛同された方は、ぜひ定期的な寄付を検討してみてください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
ハーベストパントリーが、捨てられる食べ物と食べ物に困っている人をつなぐ(セカンドハーベスト・ジャパン)
「日本初のフードバンク」として、食品メーカー、スーパーやコンビニなどの小売店、農家、個人の方からまだ十分食べられる安全な食品を引き取る活動をしているのが、セカンドハーベスト・ジャパンです。
引き取られた食品はセカンドハーベスト・ジャパンによって保管・管理され、福祉施設に届けられたり、セカンドハーベスト・ジャパンが行う「ハーベストパントリー」の活動に利用されます。
ハーベストパントリーとは「経済的困窮により、十分な食事をとれない状況にある個人・世帯に直接食品を提供する活動」のこと。(引用:セカンドハーベスト・ジャパンHP)
セカンドハーベスト・ジャパンは食品メーカーや卸売業者、食品輸入業者などと提携し、余剰食品の寄付を呼びかけます。
そして集まった食品を宅急便で届けたり、フードパントリーと呼ばれる拠点で直接食品を手渡したりといった方法で低所得家庭やひとり親家庭、日本在住の難民外国人の方などに支援を届けています。
いわば、食品の余っているところと足りていないところをつなぐ仲介業のような役割ですね。
活動内容 | フードバンク活動、ハーベストパントリー、路上生活者への炊き出し、政策提言など |
活動地域 | 東京都、神奈川県、埼玉県 |
支援対象 | 生活困窮者、ひとり親家庭、DV被害者、日本に滞在する難民など |
寄付の使途 | フードパントリーへの輸送費(ガソリン代、高速代)、食品管理費など |
運営団体 | 認定NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン |
ハーベストパントリープログラムの一つ「marugohan」は、新しい形のパントリーとして
運営されています。
marugohanでは食品をマーケットで買い物をするように自由に選べ、さらに代金の支払いの代わりに自身が選択した社会貢献を実施し、感謝の気持ちを行動によって社会に還元するという仕組みです。
セカンドハーベスト・ジャパンは、ハーベストパントリーの拡大による「食のセーフティネット=フードセーフティネット」の構築を目指しています。
社会福祉や医療と同じように、あらゆる人が食に困ることがないような社会を作りたい、という方は、食品の寄付やボランティア、お金による寄付を検討してみてください。
食事を十分にとれない貧困家庭の現状
前章で支援団体とその活動を紹介した通り、私たちが住む日本でも、食事を十分に摂ることができない家庭が存在します。
改めて、困窮家庭の現状について解説していきます。
たくさん働いても、子どもに1日2食しか食べさせられない
2023年1月、グッドネーバーズ・ジャパンは、グッドごはんの利用者をひとり親家庭を対象として、食費や1日の食事回数、労働時間について実施した調査の結果をご紹介します。
まず、ひとり親家庭において、保護者が週にどのくらいの頻度で働いているかという質問に対して、半数以上が週5日勤務していることがわかりました。
また、1日に何時間程度働いているかという質問に対しては、法定労働時間の一日8時間近く、またはそれ以上働いている方が半数以上でした。
次に、保護者と子どもそれぞれの1日の食事回数を尋ねた結果は、以下のような結果になりました。
- 保護者の食事回数:1日1食のみが全体の8%(153人)
- 子どもの食事回数:学校給食のない休日に、子どもの食生活がより困窮
特に休日は、1日2食の子どもが平日の2倍以上にあたる35.7%に上り、さらに、全体の1.2%にあたる22人の子どもは1日1食のみの生活を送っていることがわかりました。
このように、日本の困窮家庭の現状では「働いているのに、親子ともに十分な食事を食べられていない」ケースが多いことがわかります。
事実、令和3年の全国ひとり親世帯等調査の結果では、日本の母子世帯の就業率は86.3%と世界的に高いにもかかわらず、ひとり親世帯の貧困率を国際比較すると、日本はOECD加盟国中ワースト2位(35か国中34位)となっています。
日本におけるフードロスの問題
食べられない家庭が多く存在する一方で、まだ食べられるのに廃棄される食品(以下フードロス)の問題も抱えています。
日本においてフードロスが発生する原因は、食べ残しの他に「作り過ぎ」や「買い過ぎ」、さらには外観品質基準が厳しいために廃棄となってしまう、などが挙げられます。
2022年に消費者庁が発表している、日本におけるフードロスの量は、なんと472万トンであり、これは世界中で飢餓に苦しむ人々のための食糧支援量(2022年:年間480万トン)とほぼ同等に相当します。
これを国民一人当たりに換算すると、お茶碗約1杯分(約103g)の食品が、毎日捨てられていることになるのです。
この状況は、ただの「もったいない」だけでなく、深刻な社会的矛盾を抱えています。
困窮家庭への食料支援
上記のように食料不足に悩む人々を支援するための活動を紹介します。
フードバンクとは?
フードバンクとは、安全に食べられるのにもかかわらず、包装の破損や過剰在庫、印字ミスによって流通に出すことができない食品を、企業からNPO法人に寄贈することで、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動のことを表します。
寄付のおすすめ団体で紹介したグッドネーバーズ・ジャパンの「グッドごはん」がまさにこのフードバンクの活動に当たります。
困窮家庭がどのような食品を受け取れるかについて、同団体は公式HPで以下のように記載していました。
Q. どんなものが受け取れますか?
グッドネーバーズ・ジャパンHP
A. 主にレトルト食品、防災食、缶詰、お米などをお渡ししています。 食品は個人や企業からの寄付によるもののため、その都度お渡しできる食品の数や量は変わります。
日本では2000年以降にフードバンクが設立され始めましたが、フードバンク活動の背景となるフードロスの問題や、貧困問題への認識が十分に浸透していないこともあり、まだ活動が十分に認知されているとは言い難い状況にあると言われています(一般社団法人全国フードバンク推進協議会)。
フードドライブとは?
フードドライブとは、家庭で余っている食品を、スーパーや自治体などの回収拠点に集めて、食品を必要としている地域のフードバンク等の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設等に寄付する活動のことです。
英語の「drive」には「運動」という意味があり、フードドライブ(Food Drive)は「あまった食べ物を寄付する運動」と訳されています。
グッドネーバーズ・ジャパンも「グッドごはん」を通して生活困窮家庭に食品を届けるフードドライブ事業を行っており、東京、大阪、佐賀の各倉庫で食品寄付を受け入れています。
食品寄付の方法について迷われている方のために、様々な食品寄付の方法の方法があるようです。
グッドネーバーズ・ジャパンの活動について詳しく知りたい方は、是非団体公式HPもご覧ください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
フードバンクに寄付するには?
ここまで、日本社会が抱えるフードロス問題や困窮家庭について解説し、それらを解決/支援するための活動としてフードバンクやフードドライブを紹介してきました。
実際にフードバンクの活動を応援するための寄付の方法について、解説していきたいと思います。
お金で寄付する
フードバンクの活動を行う団体に募金をすることで、困窮する貧困家庭の支援をすることができます。
例えばグッドネーバーズ・ジャパンのグッドごはんでは、1日33円の支援がひとり親家庭4世帯分の食品になります。
毎月寄付する金額は1,000円から選ぶことができ、毎月3,000円では実に食品12世帯分の食事支援に貢献できるようです。
「誰も助けてくれない」と諦めてしまっている、困窮するひとり親家庭の支援に興味がある方は、是非団体公式ページもご覧ください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
食品を寄付する
前述の通り、各家庭で食べきれない食品をスーパーや自治体に集めて、生活困窮者を支援する団体に食品寄付するフードドライブという活動があります。
例えばコンビニエンスストアのファミリーマートでは「ファミマフードドライブ」という活動を、全国で展開してます。
家庭で食べきれなかった食品をファミリーマートの店舗に持っていき、回収ボックスに入れるだけで、食品支援に参加することができます。ストアスタッフによる受付手続きなども不要です。
あなたの住む街にもあるかもしれないので、気になる方は是非調べてみてくださいね。
支援先として信頼できる?3つのチェックポイント
ここまで読んでいただき、様々な支援の形や支援団体について知っていただけたかと思います。
しかし、中には「結局どこに支援したらいいかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません
そんな方のために、寄付ナビが考える「支援先として信頼できるかのチェックポイント」をご紹介します。
一般的に、企業の良し悪しを判断する材料として「ひと・もの・お金」の3つが大切と言われます。NPOでは、それは「ひと・活動・お金」です。
企業で言うところの”もの”、すなわち”商品”は、NPOがどのようなアプローチで問題を解決しようとしているのか、つまり活動の内容です。
その活動内容に賛同することが、まさしく、寄付を通じた応援と言えると思います。
さらに寄付先として判断する上で、「ひと・活動・お金」を適切な言葉に言い換えると、「職員・活動・会計」です。
- 職員の顔が見えるか?
- 活動によって問題を解決しているか?
- 透明性の高い会計報告を行っているか?
支援を迷っている団体があれば、是非参考にしてくださいね。
まとめ:フードバンクに寄付を考えている方の参考に
この記事では貧困家庭への食料支援の取り組みとして、フードバンクなどの困窮する方の支援を行う団体を2選を紹介しました。
団体名 | 寄付ナビ編集部オススメのポイント |
グッドネーバーズ・ジャパン | ① 低所得のひとり親家庭を対象に食品を配付 ② 寄付の使途は食品の調達、食品を保存する設備費や輸送費、人件費など |
セカンドハーベスト・ジャパン | ① 誰もが食にアクセスできる社会を目指す、日本初のフードバンク ② フードセーフティネットを構築するため、フードバンクの普及と発展を推進する政策提言活動も行う |
貧困家庭が増えている一方でフードロスや食品ロスの問題も抱えているという「食の不平等問題」について、寄付によって活動を応援したいと考えている方の参考になれば幸いです。