(出典:国連UNCHR協会HP)
どんなに厚着をしていても、冬の寒さは体にも心にも堪えるものです。
また普段通り暮らしていると、寒い時は暖房のきいた部屋で、暖かい服を着て過ごせばいい……と思う人もいるでしょう。
しかし、国外、そして日本国内にもあたたかい部屋どころか、外気から身を守ることさえできない人が数多くいます。
今回はそのような寒さに苦しむ人々を支え、守る活動をしている団体を紹介します。
目次
マイナス8度のレバノンで、寒さに苦しむ難民に保温性の高い住居を(国連UNHCR協会)
認定NPO法人国連UNHCR協会は、UNHCRの日本窓口として活動しています。
UNHCRとは「The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees(国連難民高等弁務官事務所)」の頭文字を取っており、難民の支援に特化した国連機関のことです。
支援対象となるのは戦火や迫害を逃れ、母国を離れて暮らす難民の方々になりますが、「母国から逃げてきたなら、もう安心だろう」と思うのは大きな間違いです。
むしろ、母国から離れて心細い中、決して豊かとは言えない状況で、日々をいのちからがら生き延びるという、過酷な状況であることに変わりはないでしょう。
特に、寒い冬を十分な備えもなしに乗り切るのは大変に困難であるのが現実です。
シリア難民である67歳のシャキバさんは、もう6年も避難先のレバノンにあるテントで暮らしています。マイナス8度になることもあるレバノンで、厚さ数ミリのテントで寒さをしのぐことはできません。
昨年の猛吹雪では、窓の高さまで雪が積もり、ドアを開けることもできなかったそうです。
(中略)
他にも、何年も故郷に帰れず、避難先で寒い冬を迎えることになったシリア難民がたくさんいます。
「支援がなければ、子どもたちにコートを買うために家族の食料を売らなくてはなりません」(ハイファ)
「冬の寒さは爆撃よりも過酷です。人生がとてもつらいです」(アブ・バッサム)
「家は水漏れしてカビだらけです。お金がないので、暖房は朝と寝る前しか使えません」(イマン)
国連UNHCR協会HP
国連UNCHR協会HP
UNHCRは、難民の命を寒さから守るための活動を継続的に行っています。
たとえば、保温性の高い住居を準備し、冬が来る前の引越しを進めた他、毛布やストーブ、防水用のビニールシートなどの配布を行っています。
その他、さまざまな難民の支援ニーズを満たすため、現金の給付も行っているようです。
その現金はある家庭では子どもの医療費、別の家庭では子どもの冬服など、家庭ごとの必要としているものにあてられます。
活動内容 | 難民・避難民への緊急支援、自立支援 |
活動地域 | 世界約130か国 |
支援対象 | 難民、避難民 |
寄付の使途 | 難民に対する心のケア、文房具・教科書の支給、ワクチンの提供など |
運営団体 | 認定NPO法人国連UNHCR協会 |
寄付は月1,000円〜から行えます。
毎月3,000円を1年間寄付すると、冬を越すために必要な現金を難民4人に給付支援できます。
1日あたり100円の支援で、4人の尊い命が守られるのです。
国連UNHCR協会への寄付は、寄付金控除の対象になります。
また、クレジットカードでの寄付も可能です。
少しでも気になったら、ぜひ寄付を検討してください。
少しの寄付であったとしても、一枚の毛布でも重なれば暖かいように、難民の方々を少しずつ寒さから守っていけることでしょう。
厳しい寒さを迎えるモンゴルで、衣服の配布などの生活支援を(日本赤十字社)
日本赤十字社は「医療活動」のイメージを持つ方が多いと思いますが、実際の活動はそれだけではありません。
人材育成や社会福祉など、幅広く活動を行っています。
そのひとつが、国内外の困難な状況にある人への生活支援です。
以前には、モンゴル赤十字社を通じ、雪害で苦しい状況にあるモンゴルの方々への支援を行いました。
モンゴルの冬はとても厳しいことで知られていますが、ときにはマイナス30〜40℃にもなるそうです。
「ゾド」と呼ばれる雪害は自然災害のひとつであり、家畜が命を奪われることもあります。
草原ではマイナス30~40度にもなる厳しい寒さのため、昨冬は17県198郡で6万8146頭の家畜が死亡しました。
生活の糧である家畜を失った遊牧民が仕事を求めて都市部に移動した結果、(中略)都市部に流入した遊牧民は職を得られず、貧困生活を送っています。
日本赤十字社HP
日本赤十字社HP
赤十字社では、貧困にあえぐ人たちに寄り添うため、寄贈された衣類の配布や、職業訓練、精神的なサポートなど幅広い支援を行っています。
対象は生活困窮者や母子家庭、幼稚園や小・中等学校の寮などです。
「寒くなると布団のない子どもは、持っている子どもの布団に入れてもらって眠ります。コートやブーツのない子どもは、寮から150メートルほどの距離にある学校に走って通います。マイナス30度の雪の中をです。そのため、どうぞこれからも子どもたちに支援をお願いします」
と、校長先生は訴えます。
日本赤十字社HP”
活動内容 | 医療支援や福祉支援 |
活動地域 | 国内外で広く活動 |
支援対象 | 困難な状況に置かれている人 |
寄付の使途 | 救援物資の購入や活動にかかる費用 |
運営団体 | 日本赤十字社 |
日本赤十字社はモンゴル以外にも、海外の赤十字社を通じ、さまざまな国へ医療支援や福祉支援を行っています。
たとえば、地震や洪水に数多く見舞われるインドネシアにおいて災害教育を行ったり、2020年のレバノン・ベイルート爆発災害の緊急支援を行うなどです。
日本赤十字社の「人道」という基本理念に共感する場合は、支援を検討してみてはいかがでしょうか。
寄付だけでなく、献血やボランティア参加で支えるのもいいかもしれませんね。
路上で暮らすホームレスの方に「毛布パトロール」を(新宿連絡会)
新宿連絡会は、正式名称を「新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議」といい、ホームレスの方の生活支援や就労支援、提言活動を行う任意団体です。
厳しい寒さの中、屋外で冬を過ごさねばならない方は、日本国内にも数多くいます。
その状況はさまざまですが、冬の間屋外で過ごすのは命の危険と隣り合わせであることは変わりません。
新宿連絡会HP
新宿連絡会では毎週の食料支援や物資支援、または福祉申請サポートなどで、ホームレスの方々への支援を行っています。
毎週日曜日の衣類配布、おにぎりパトロール、高田馬場パトロール、夜間の新宿毛布配布パトロールを巡らせ、状況を把握するとともに、とにかく暖かくと、防寒衣類、毛布、寝袋、ホカロン類の提供を軸に行っています。
(中略)
今はとにかく凍え死なないよう、仲間が仲間を心配しながら、仲間の手で、共助の精神のもと、支援の手を差し伸べています。
新宿連絡会HP
2017年に厳寒によって多数のホームレスの方々が亡くなった経験を踏まえ、早めの物資提供や医療相談の開催を行うなど、状況に合わせて現地の方々に寄り添った支援活動を行っているようです。
寒くなる前に必要な物品を渡し、いざ寒さが厳しくなったとしても乗り越えられるよう、隈無く路上に目配りしていくのが、これからとても大事になります。
新宿連絡会HP
活動内容 | 生活支援や就労支援、提言活動 |
活動地域 | 新宿周辺 |
支援対象 | ホームレスの方、野宿労働者の方々 |
寄付の使途 | 必要な物資の購入、炊き出し費用など |
運営団体 | 新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議 |
「日本国内で困難な状況にある人に支援をしたい」と思う方は、ぜひ物資などで寄付をしてみてはいかがでしょうか。
必要とされている品物はWebサイトに記載があるので、こまめにチェックしてみてください。
今回は、寒さから人々を守るための活動を行う団体を3つ紹介いたしました。
寒いところから暖かいところに移動したり、寒いところで暖かいものを飲んだりすると、体だけでなく心もホッとしますよね。
わたしたちの行う支援が、困難な状況にある方々をそのように「ホッ」とさせるものであればいいな、と心から願います。