遺贈寄付では、公正証書遺言の相続登記をオススメする理由と注意点まとめ

遺贈寄付をするには、ちゃんとした遺言を残す必要があります。
遺言も決められた書式や手続きを守らないと、最悪の場合、無効になってしまうケースがあることはご存知ですか?

遺贈寄付は誰しも初めてのことですので、書類の申告など何をどうすればいいのか、複雑で分かりにくいことでしょう。

あなたの想いをしっかり後世に残す為にも、「公正証書遺言」の相続登記をオススメする理由と注意点をまとめました。

なぜ公正証書遺言をオススメするのか?自筆証書遺言と比べると・・

遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがあります。

自筆証書遺言とは、自ら手書きで作成する遺言のこと。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことです。

それぞれのメリットとデメリットを比べてみましょう。

自筆証書遺言

メリット

  • 自分だけで遺言を作成できるため、費用はかからない。
  • 自分にしか分からない場所に隠してしまえば、秘密にできる。

デメリット

  • わずかでも書式や形式を間違えてしまうと、無効になってしまう。
  • 紛失したり、改ざんされたり、捨てられてしまう恐れがある。

公正証書遺言

メリット

  • 公証人が作成してくれるので、書式や形式によるミスは起こらない。
  • 公証役場で原本を保管してくれるので、紛失や改ざんの心配がない。

デメリット

  • 手数料がかかる為、少なからず費用を負担することになる。
  • 作成には証人2名以上の立ち会いが必要なので、秘密にできない。

公正証書遺言の方が一時的に手間はかかったとしても、確実に遺言の内容を執行できる、ということがお分かり頂けると思います。

遺贈寄付を検討されている方には、公正証書遺言でちゃんとその意思を残されることをオススメします。

書類の準備から遺言書の作成、登記まで3ステップと注意点

では、公正証書遺言は具体的にどうすれば作成できるのでしょうか?

公正証書遺言の相続登記に至るまでの3ステップを解説します。

ステップ1:必要書類の準備

公正証書遺言の作成に必要となる書類は以下4点です。

  • 遺言を残す人(以下、遺言者)の印鑑証明書と実印
  • 遺言者と財産を引き継ぐ人(以下、相続人)の関係が分かる戸籍謄本
  • 相続人の住民票
  • 立ち会う証人2名分の本人確認書類

財産の中に不動産が含まれる場合は、上記に加えて、次の2点が必要です。

  • 固定資産税納税通知書もしくは固定資産評価証明書
  • 不動産の登記簿謄本

遺言者が亡くなった後に、遺言の手続きを行う方を、相続人とは別の方に依頼される場合は、その方の本人確認書類も必要です。

ステップ2:遺言書の作成

公証役場に行く前に、ご自身の財産状況を確認し、遺言の原案を作成しておきましょう。

原案の作成にあたって、整理したい情報を3点ピックアップさせて頂きました。

ステップ2-1:財産リストの作成

まずはご自身の財産を洗い出して、リストにしてみましょう。
一般的な財産として想定できるのは、預貯金、不動産、有価証券、生命保険、自動車といったところでしょうか。

資産はもちろん、負債の確認も重要になります。
負債も併せて書き出すようにしてください。

ステップ2-2:相続人それぞれの法定相続分と遺留分を確認

次に、相続人を明確にし、それぞれの法定相続分と遺留分を把握しましょう。
特に注意したい点が、相続人の遺留分を侵害しないように財産を分配することです。

遺留分とは、遺言者の兄弟姉妹以外の相続人に最低限認められている財産の割合のことです。

遺留分を考慮せずに、「全財産をNPO法人〇〇に寄付します。」という風に書いてしまうと、相続人と団体の間でトラブルに発展する可能性があります。

遺言の作成から執行までに、財産が変動する恐れも考えると、ある程度余裕を持って相続人の遺留分を確保されることをオススメします。

ステップ2-3:相続税の有無

相続税の有無については、弊サイト内に詳しく解説している記事がございます。
そちらも併せてご高覧ください。

NPO法人などに遺贈寄付をした時の税金は?相続税の計算方法と注意点

ステップ3:登記

遺言の作成当日は、遺言者と証人2名で公証役場に行きましょう。
遺言者が事情により公証役場に行けない場合、自宅や病院まで公証人が出張してくれます。(別途、出張手数料が必要です。)

作成時は、公証人が遺言者と証人2名に遺言の内容を読み上げます。
内容に問題がなければ、遺言者と証人2名が署名・捺印をして、おしまいです。
遺言者が字を書けない場合は、公証人が代筆をしてくれます。

書類の準備から登記に至るまでには、遺言者の財産整理であったり、ご家族でよく話し合われたりと、ある程度時間がかかります。
余裕を持ったスケジュールで臨みましょう。

参考

公正事務・必要書類日本公証人連合会

遺言の内容を撤回したい!変更や撤回の具体的な手続きは?

ここまでで、遺言書の作成から登記までの手順をご紹介してきました。
では、一度作成した遺言書を変更したくなった時は、どうすればよいのでしょうか?

変更時の手続きは、公正証書遺言と自筆証書遺言で異なります。

遺言の種類 全部変更 一部変更 撤回
公正証書遺言 新しく書き直す
自筆証書遺言 新しく書き直す 直接書き足す 破棄する

公正証書遺言の場合

原本が公証役場に保管されているので、手元の遺言を破棄しても撤回したことにはなりません。

新たに公正証書遺言を作成する必要があります。

自筆証書遺言の場合

ご自身で保管されている遺言を破棄すれば、撤回したことになります。

自筆証書遺言で内容を一部変更したい時は、変更した内容とその旨を記載し、署名・捺印をすれば変更が可能です。

その場合でも、変更に不備があった場合は変更が無効となり、元の遺言内容で手続きが進むので注意が必要です。

変更や撤回はどちらが安心?

公正証書遺言でも自筆証書遺言でも、最新の日付の遺言が優先されることになります。
どちらの遺言を選んでも、必ず日付を記載するのは優先順位を明確にする為です。

一見すると自筆証書遺言の方が融通が利くように思えますが、変更に不備があり、変更が無効になってしまうと、相続人同士のトラブルの元になります。

変更や撤回する可能性まで見据えて、公正証書遺言で確実に残されることをオススメします。