コンビニの募金箱や、まちなかの街頭募金。
緑の羽根、赤い羽根共同募金。
「目にしたことはあるけれど、実際に協力したことはない・・・」という方は多いのではないでしょうか。
この記事では身近なようでよく知らない募金について、言葉の定義から募金をする理由、具体的な募金の方法、おすすめの募金先団体まで、徹底的に解説します。
これを読めば、募金を身近に感じられ、募金のハードルもぐんと下がるはず。
募金を知る第一歩として、ぜひ参考にしてください。
目次
募金とはどういう意味?「募金」と「寄付」「義援金」の違い
はじめに、「募金」という言葉の意味を確認しておきたいと思います。
国語辞典で「募金」を引いてみると、「ぼ-きん [募金]寄付金をつのること。」と書かれていました(引用:岩波書店 広辞苑第四版 p.2352)。
一方、似た言葉としてよく使われる「寄付」を辞書で引いてみると「き-ふ [寄付、寄附]公共事業または社寺などに金銭・物品を贈ること」とあります(引用:岩波書店 広辞苑第四版p.640)。
辞書で見ると、「募金」とはお金を集めること、「寄付」とはお金を提供することを指し、真逆の言葉であることがわかります。
ですが、「難民支援団体に募金した」と「難民支援団体に寄付した」という文章は、どちらも違和感なく「難民支援団体へお金を提供した」という意味として使えるのではないでしょうか。
一説によると、募金に協力する人が増えたことなどに伴い、「募金する」を「寄付する」の意味で使うことも慣習的に認められつつあるようです。
この記事でも「募金」を「寄付」と同義として扱っていきたいと思います。
義援金は被災者へのお見舞金
災害の発生時などは「義援金」という言葉も使われます。
こちらは、「ぎえん‐きん[義捐金]義捐のために出す金。義金。」(引用:岩波書店 広辞苑第四版p.446)とありますが、少しわかりにくいので解説します。
義援金とは、簡単に言うと被災者へのお見舞金。
被災地での活動費や緊急物資として被災者に届くのではなく、国や自治体、もしくは日本赤十字社などを通じてお金として被災者の方々へ配分されます。
ここが募金や寄付との大きな違いと言えるでしょう。
被災者の方に平等に届くというメリットの一方、配分の準備作業が必要になり、被災者に届くまでに時間がかかってしまうデメリットがあります。
ちなみに英語の辞書で「募金」を調べてみるとfundraising、collection of fundsなどが出てきます。
こちらは「寄付を集める」方の募金の意味に当てはまりますね。
「寄付する」という意味のときは、donate、donationを使うと良さそうです。
どうして募金するの?心理的効果や税控除など募金のメリット
基本的に、募金や寄付をすることによる金品の見返りはありません。
「募金をしたい」と思ったことがないと、「どうして見返りもないのに自分のお金をあげるの?」と疑問に思ってしまうのではないでしょうか。
募金をする人は「困っている人の力になりたい」「社会課題を解決したい」「頑張って活動している人を応援したい」などの気持ちがきっかけになることが多いそうです。
たとえば、大規模な自然災害をニュースなどで目にしたとき「自分になにかできないか」と考えた結果、募金をする方も多くいますよね。
見返りを期待するのではなく、社会に貢献する手段、社会課題解決のための選択肢の一つとして募金をするとも捉えられます。
募金することによる心理的効果
メリットを抜きにして募金する人が多いという事実がある他方、募金がその人の人生の幸福感を高めてくれるのでは、という見方もあります。
ある研究によると、同じ金額を自分のために使ったときと、他者やチャリティーのために使ったときでは「他人のためにお金を使う方が、幸福度が高まる」という実験結果があるそうです。
下記の記事では、その実験や他の研究結果をまとめたエリザベス・ダン、マイケル・ノートン著「『幸せをお金で買う』5つの授業 ―HAPPY MONEY 」を引用しながら、募金と幸福感の関連性を解説しています。
ご興味がある方はぜひご一読ください。
募金で得られる税控除
さらに、募金額に応じて所得税や住民税などの控除が受けられる場合も。
他の人のために行った寄付で、自分にも良いことがあるならぜひ利用したいですよね。
募金による税控除にはいくつかの条件があるので、欠かさずにチェックしておきましょう。
税控除が受けられる募金先
税制優遇が受けられる募金先かどうかの判断には、その団体の法人格がひとつの目安になります。
税制優遇の対象となる法人格は下記の8種類です。
- 認定NPO法人
- 特例認定NPO法人
- 公益財団法人
- 公益社団法人
- 独立行政法人
- 社会福祉法人
- 学校法人
- 更生保護法人
ただし、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人は、一定の要件を満たした団体のみが寄附金控除の対象となっています。
自分が募金した団体が対象となるかわからない場合は、ホームページ等で確認する、もしくは直接問い合わせるのがおすすめです。
確定申告が必要
募金先が上記の団体にあてはまれば確定申告をすることで控除を受けられます。
その際、職場で行う年末調整だけでは控除されません。
毎年2月から3月の間に設けられる確定申告期間に忘れずに手続きしましょう。
寄附金受領証明書が必要
上述の確定申告の際、寄付を証明する書類として寄附金受領証明書(領収書)が必要です。
募金する団体やキャンペーンによって、寄付したあとすぐに寄附金受領証明書をもらえる場合と年度末にもらえる場合があります。
送られてきた書類はなくしたり捨てたりしないよう、大切に保管しておきましょう。
どうやって募金する?意外に豊富な募金方法を紹介
ここまで募金の言葉の意味、募金のメリットなどをご紹介してきました。
では実際に「募金したい!」と思ったとき、具体的にどうすればよいのでしょうか?
この章では様々な募金の方法をご紹介していきます。
募金箱
多くの人にとって「募金の方法」と聞いてパッと思いつくものは「募金箱」かもしれません。
誰しも、コンビニやスーパー、飲食店などの店舗に募金箱が置いてあるのを1度は目にしたことがありますよね。
それらの募金箱に、買い物で出たお釣りを投じることも立派な募金のひとつです。
1円から協力できるのでハードルも低く感じられますが、塵も積もれば山となる。
大手コンビニエンスストア3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)の店頭に置かれている募金箱への2020年度の寄付額は下記の通り。
- セブン-イレブン 約4億2,000万円
- ローソン 約3億1,000万円
- ファミリーマート 約2億6,400万円
合計で10億円以上の募金が集まっていることになります。
小さな積み重ねが大きな力になっていることがわかりますね。
募金箱はほとんどの場合、店頭のレジ横に設置されています。
「少しだけでも協力してみようかな」と思った方は注意して探してみてください。
(ローソンの店頭に設置された募金箱 筆者撮影)
店舗に設置された募金箱以外には、街頭で協力を呼びかける街頭募金、学校で募金を呼びかける学校募金、職場での職域募金などがあります。
学校募金や職場募金では赤い羽根共同募金がメジャーな寄付先です。
募金箱には使途が明確かつ簡潔に書かれている場合が多く、自分の募金がどのように使われるかイメージしやすいのも嬉しいポイント。
コンビニに置かれているような募金箱や、学校募金、職域募金の募金先は、公式サイトで活動報告や収支報告を載せています。
より詳しく知りたい方はそちらも合わせてご覧ください。
募金箱以外の寄付
最近では、現金を募金箱に投じる以外の募金方法も増えてきています。
あなたに合った方法で募金ができるので、好きなものを選んでみてください。
Tポイントで寄付
たとえば、全国のTSUTAYAやファミリーマートなどで貯められるTポイントは専用のサイトから1ポイント1円で寄付に変えることができます。
環境保護団体、子どもへの教育支援団体、交響楽団、子ども食堂支援団体など幅広いテーマで募金先を選べますよ。
「現金の寄付はまだちょっと・・・」という方はポイント寄付から始めてみるのも良いですね◎
コンビニで寄付
また、コンビニに設置されているマルチメディア端末を使って、特定の団体に寄付する方法も。
ローソンのLoppi、ファミリーマートのFamiポートから行えるので、「よく行くコンビニでサクッと募金を完了したい」という方はこちらの方法も試してみてください。
LINEで寄付
また、日本人にとって今や欠かせないコミュニケーション手段となったLINEでは、自然災害などの発生の際、LINE PayまたはLINEポイントで寄付ができるページを期間限定で設置することがあります。
手軽な方法として覚えておくと、いざというときにすぐ行動に移せるかもしれません。
クラウドファンディングで寄付
近年では、自分が共感し、応援したいと思った活動(プロジェクト)に対してサイトを通じて募金を贈るクラウドファンディングも賑わっています。
ReadyforやCAMPFIREなどのクラウドファンディングサイトでは、プロジェクトを実施している人の顔がよく見えるような設計になっています。
「活動している人自身を応援したい」「プロジェクト達成まで一緒に盛り上がりたい」という方にはクラウドファンディングもおすすめです。
ここまでは店舗やWebサイトなどを通じて寄付する方法をお伝えしてきましたが、募金先の団体に直接募金を申し込む方法もあります。
何の情報もない状態から募金先を調べ、寄付を完了させるのは難しく感じるかもしれませんが、その分その募金先自体に愛着を持てたり、スタッフの方とのやり取りが生まれたりと、より温かみや寄付の実感を得られ、非常におすすめです。
「でもどこに募金すれば良いのか見当も付かない!」という方に向けて、次の章では分野別におすすめの募金先団体をご紹介していきます。
どこに募金すればいい?分野別に活動内容や使いみち、関連するSDGsゴール、おすすめ募金先団体を解説
多くの人が関心を寄せる社会課題テーマと、その社会課題を解決しようとする団体は一般的にどのような活動をしているのでしょうか。
そして、その活動は最近ニュースなどでよく耳にするSDGsとどのように関連するのでしょうか。
順に見ていきましょう。
災害
近年日本で度々発生する豪雨や地震などの自然災害。
被災地の状況を目にすると心が痛みますが、あなたの募金は被災地の緊急支援や復興支援に役立ちます。
どんな活動をする? | 支援物資(食料品、毛布など)の配布、怪我をした人の治療、被災した家屋の片付け、被災者の心のケア、長期的な復興支援など |
募金はどのように使われる? | 緊急支援物資の購入費・運搬費、現地での支援活動費全般、語り部の育成など |
関連するSDGsゴール | 11 住み続けられるまちづくりを |
おすすめの募金先紹介 |
災害が起こった時、寄付先で知っておきたい!寄付金控除も可能な認定NPO法人3選
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子ども
子どもの貧困、教育格差、交通遺児、紛争、飢餓など、子どもを取り巻く状況は、日本でも海外でも多様化してきています。
そのため、子どものために活動する団体の活動内容も多種多様。
まずは団体を知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
どんな活動をする? | 学習支援、子ども食堂の実施、ひとり親家庭への食料支援、奨学金の支給、途上国の教育支援など |
募金はどのように使われる? | 活動拠点(学習の場、子ども食堂など)の運営費・人件費、食料品の購入費、奨学金など |
関連するSDGsゴール | 1 貧困をなくそう 2 飢餓をゼロに 4 質の高い教育をみんなに など |
おすすめの募金先紹介 |
子供に寄付するなら、どこがいい?国内から海外まで、子ども支援団体の選び方を徹底解説
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環境
年々深刻になる環境問題。「自分が努力するだけで本当に良いの?」そう思う方も多いかもしれません。
世界ではいくつもの環境保護団体が地球環境を守るために活動しています。
どんな活動をする? | 野生動物・自然環境の保護、地球環境の調査、署名活動、政策提言など |
募金はどのように使われる? | 密猟を防ぐパトロールにかかる費用、怪我をした動物の治療費、地域の人に対する啓発活動の教材費、環境調査にかかる費用など |
関連するSDGsゴール | 13 気候変動に具体的な対策を 14 海の豊かさを守ろう 15 陸の豊かさも守ろう |
おすすめの募金先紹介 |
環境保護に寄付や募金は役立つ?自然を守る支援団体・NPO3選
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この記事では、募金の言葉の意味、募金の心理的・経済的メリット、募金の方法、募金先のおすすめを一挙にご紹介しました。
ご紹介したとおり、今や募金はとても手軽な方法でできるようになり、募金先も豊富な選択肢から選べるようになりました。
家でネットショッピングをするのと変わらない感覚かもしれませんね。
気軽な気持ちで最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
この記事がそのきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。