急性の消耗症(急激に体重が減り、痩せ細った状態)に陥った子どもたちに支給されるのが、ユニセフの「栄養治療食」です。
栄養治療食をはじめ、子どもたちが健全に発育できるよう、ユニセフが栄養支援活動を行なっています。
今回はその概要を調べました。
目次
重度の栄養不良で、命の危機に晒されている子どもがいます
動画のマリアちゃんのように、今すぐ手を打たなければ命を落としてしまう消耗症の子どもは世界中に4,900万人もいると言われており、健康に育つためにバランスの取れた栄養が摂取できていないそうです。
- 発育阻害:日常的に栄養を十分に取れずに慢性栄養不良に陥り、年齢相応の身長まで成長しない状態
- 消耗症:急性あるいは重度の栄養不良から生じ、十分なカロリーを摂取できておらず、差し迫った死のリスクに直面する。
(出典:日本ユニセフ協会)
消耗症の子どもに対し、発育阻害の状態にある子どもは1億4,900万人もいます。
世界的に減ってはいるものの、唯一アフリカでは増加傾向にあるそうです。
発育阻害にある子どもは慢性的な栄養不良で、長期的な支援が必要です。
一方、消耗症にある子どもは重度の急性栄養不良で、短期的な支援が必要になります。
このように、子どもの状態によって、取るべき対策が変わります。
幼少期に栄養不良に苦しんだ子どもは、脳と体の発達が妨げられ、その後の人生に取り返しのつかない影響を与えてしまいます。
病気を繰り返したり、学校に通えなかったりと、新たな困難の引き金となります。
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寄付金控除の対象団体です
重度の急性栄養不良の子ども730万人に支援を届ける
ユニセフはこうした課題を改善するため、どんな支援を行なっているのでしょうか?
「栄養治療食」とは?重度の急性栄養不良にも効果
栄養治療食の中でも、特に活躍している「プランピー・ナッツ®」をご紹介します。
出典:日本ユニセフ協会HP
重度の急性栄養不良に陥った子どもは、今すぐ口にできる栄養価の高い治療食を必要としています。
栄養治療食(プランピー・ナッツ®)は栄養不良の治療のために開発されました。
日本ユニセフ協会HP
およそ136袋の密封パック入りの栄養治療食で、ひとりの子どもを健康児並みの体重に戻すことができます。
プランピー・ナッツ®は、緊急で重度の消耗症にある子どもたちに施される「治療的食餌療法」と呼ばれる治療法の中で使用され、一般的な食糧支援とは一線を画します。
重度の消耗症にある子どもには、毎食エネルギー濃度の高い治療食品を、根気強く与える必要があります。
そこで粉ミルクを支給したところ、母親が汚い水で溶いてしまって、感染症を誘発してしまうのが問題だったそうです。
プランピー・ナッツ®はこの問題を解決した、救世主のような製品です。
エネルギー濃度が非常に高く、保存性に優れ、誰でも扱いやすいとあって、治療的食餌療法を大きく前進させました。
慢性的に栄養不足な子供を助ける支援も
ユニセフの栄養支援活動は、胎児と乳幼児とその母親に必要な栄養を摂取してもらうことを目的に、様々な支援を行なっています。
2022年の活動成果
- 人道危機下で、2,700万人の子どもたちに、はしかの予防接種を提供
- 3億5,600万人の5歳未満の子どもたちに、栄養不良を予防するための支援を実施。
- 重度の急性栄養不良に陥っている730万人の子どもを治療
(出典:日本ユニセフ協会HP)
また日本の製薬会社大手の武田薬品工業が、ベナン・マダガスカル・ルワンダにおいて130万人の母親とその子どもを支援するため、2017年から5年間で10億円の支援を行うことを表明しています。
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寄付金控除の対象団体です
支援は「栄養治療食」や「ビタミンA」などに形を変えて、子どもたちへ
ユニセフに寄付をすると、以下のような支援となって、子どもたちに届くそうです。
寄付金の使い道
- 3,000円:袋を開けてすぐに食べられるペースト状の栄養治療食91袋
- 5,000円:重度の栄養不良に陥った子どもの命を救う治療用ミルク241杯分
- 10,000円:子どもの上腕の周囲を測定するメジャーで栄養検査1,836人分
- 30,000円:子どもたちを感染症や失明から守るビタミンA15,000人(1年間)分
(出典:日本ユニセフ協会HP)
直接的に物資を支援する以外にも、現地住民に野菜のタネやひよこを配り、育て方を伝えて、自分たちで必要な栄養が取れるようにするための自立支援も同時に行なっています。
寄付の方法
発育阻害にある1億5,500万人の子どもたちを救うには、未だ支援が不足しています。
ユニセフへの募金を考えている方は、こちらの記事もご参考になさって下さい。
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