(出典:あしなが育英会HP)
親を亡くした子どもたちを、奨学金などでサポートしている「一般財団法人あしなが育英会」。
あしなが育英会の活動資金を支えているのが、「あしながさん」や「虹のかけはしさん」などと呼ばれる支援者からの寄付です。
あしなが育英会を「寄付で応援して大丈夫?」「ちゃんとした団体なの?」という疑問を持つ方のために、団体の評判や口コミ、支援先として検討する時にチェックしたい3つのポイントをまとめました。
目次
ブログやSNSで見つかった、あしなが育英会の評判·口コミ
あしなが育英会について、ネット上で検索したり、ソーシャルメディアで探してみました。
すると、さまざまな方からの書き込みが見つかりました。
ポジティブな評判·口コミや、支援者からの応援メッセージ
まずは支援者の方による、ポジティブな口コミから。
「あしながさん」として継続的に支援している方や、初めて街頭募金をした方がメッセージをつづっていました。
今年もあしなが育英会の奨学生からから残暑見舞いが届きました。(中略)
この歳になると若者との交流が難しいので、単純にそれがうれしかったです。(中略)
あしなが育英会、というか···だいたいの慈善団体には、一定数の「横領している」とか「天下り先」とか···ネガティブなコメントがついてまわるけれど。(中略)
仮にそうだとしても、たとえ数分の1、数十分の1しか届かない、効率の悪い、ロスの大きなアクションだとしても。
少なくとも、より子どもたちの力になれる支援団体や支援方法が見つかるまでは、わずかばかりの手助けを続けていこうかな、と思う次第です。
(出典:個人支援者の方のブログ)
(出典:いつも駅前募金をする方のインスタグラム)
(出典:ネットで初めて寄付した人のインスタグラム )
その他にも、10年以上「あしながさん」をやっている人、遺産を寄付する方などもSNSやブログ上での口コミもありました。
個人では、シンガーソングライターの平松愛理さんや、女優の紺野美沙子さんが継続的に寄付をしていることが有名。
法人では、ソフトバンクといった有名企業や、労働組合などが支援しているようです。
ネガティブな評判·口コミや、活動への批判·疑問
その一方で、疑問や不安などネガティブな評判も、ブログやTwitterやYahoo!知恵袋などで見つかりました。
子供への寄付(お金)を考えています。
わたくし自身は あしなが育英会 にお世話になったのですが、
全てが公正に運用されていることはないという評判を目にしました。
結局どこの機関も少なからずそうであるとはなんとなく理解しているのですが、最も真っ当なところがあれば教えていただきたいです。
(出典:Yahoo!知恵袋より)
あしなが育英会には数年前にわずかばかりの寄付をしたことがあるが(中略)寄付金の無駄遣い発覚に憤りを感じ、それ以降一切寄付をしていない。それにも関わらずいまだに定期的に手紙が届く(中略)
遺児に対して純粋に学資費用を出すだけなら決して反対はしない。むしろ大賛成だ。
しかし、育英基金と称して募金を募り、それで無駄なハコモノを作り続けること、ハガキや手紙を延々と送り続け無駄な費用を垂れ流していることは非常に許しがたい。(中略)
当初の目的に還り、真摯に遺児たちの学資支援に努めて欲しい。
(出典:元寄付者の方の個人ブログ)
あしなが育英会から郵便物が届いた。(中略)
中には2010年度の寄付した金額を記したものと、ニュースレター、(中略)郵便振替票(中略)。
それだけならいいのだが、今回は会長の写真を表紙にした(中略)パンフレット、それプラス(中略)DVDが同封(中略)
やめてくれ!!と言いたい。こういう活動は、スターの人が始めるならともかく、無名、匿名、目立たずにやってほしい。このパンフレットにDVDの費用はどこから出たのだろう。育英会の広報費なのだろうか。(中略)
マザー・テレサの組織のように、本当に経費は切り詰めて、活動そのものに費用をあてる、そんな団体がもっとないものだろうか。
(出典:個人支援者の方のブログ)
あしなが育英会のホームページを拝見しましたが、会は昨年度(2015年度)募金事務費で約2億円支出しています。
昨年度(2015年度)学生募金が約2億円と報告されていますが、実質的に募金をするのに2億円かけて2億円の奨学金を集めてるの?と深い懸念を抱きました。
東日本大震災の特別会計も収入と支出が合わず、不透明かつ不正を感じざるを得ない会計はマズイと思いました。
これをおかしいと告発する学生や役職員はいないのでしょうか?
(出典:元寄付者の個人ブログ上に寄せられた収支報告書に関するコメント)
資金の使途が見えにくいことや、奨学金以外の事業に寄付を充てることへの不満が少なくないようですね。
街頭やダイレクトメールなどでの募金活動への、マイナスの印象を書いている方も見られました。
支援先として「あしなが」は信頼できる?3つのチェックポイント
このようにポジティブ・ネガティブな評判や口コミがありますが、実際はどうなのでしょうか?
「あしながさん」など毎月の寄付を検討している方にとって、大切なお金を預けるかどうか、どんなポイントで判断すれば良いのでしょうか ?
私自身も40近くの団体へ個人的に寄付したり、 NPO 法人に勤務して寄付を集める経験をした立場から、見極めるポイントをいくつかお伝えします。
ポイント1:団体として信頼できるか?
あしなが育英会は、1967年に「交通事故遺児を励ます会」として生まれました。
1983年に災害遺児の奨学金制度をつくる運動が始まり、1988年に災害遺児奨学金制度が発足。
さらに、進学した災害遺児が病気遺児の奨学金制度づくりを呼びかけ、1993年に病気遺児奨学金制度発足に合わせて、あしなが育英会が誕生しました。
(出典:あしなが育英会WEBサイト)
このように長い歴史を経て、現在では「21億円以上の奨学金を貸与」するなど、事業の規模もますます広がっています。
2019年、法人格を取得して、任意団体から一般財団法人あしなが育英会になったとのことです。
寄付金を活用して大規模に事業を展開している非営利団体の多くは、寄附金控除(税制優遇)のメリットを得るため、公益財団法人・公益団法人や、認定NPO法人といった法人格をそなえています。
たとえば公益財団法人については・・
公益財団法人・公益社団法人:民間有識者からなる第三者委員会による公益性の審査(公益目的事業を行うことを主たる目的とすること等)を経て、行政庁(内閣府又は都道府県)から公益認定を受ける
一般財団/社団法人やNPO法人よりも、寄付金控除が認められている公益法人や認定NPO法人の方が、より適切に寄付金を管理をしている可能性が高いです。
一般財団/社団法人やNPO法人は管理体制の強化を求められない分、公益財団法人・公益社団法人や認定NPO法人に認められているような、寄附金控除(税制優遇)の特典も受けられません。
ポイント2:団体の収支や寄付金の使途は、公開されているか?
あしなが育英会の事業報告書と収支報告書は、WEBサイトで公開されています。
収入(寄付金収入や奨学金返還収入など)や支出(奨学貸与金や募金事務費)、繰越し金(次期繰越収支差額)などに分類されていて分かりやすく整理されていますね。
一方、同じくらいの規模の他の非営利団体とは異なる点もいくつか見つかりました。
- 「貸借対照表」(B/S)を公開していない
- 「活動計算書」(P/L)ではなく、「収支報告書」という形をとっている
- 外部の監査人が、会計監査をしていない
認定NPO法人や公益法人は、貸借対照表と活動計算書(企業会計で B/S と P/L にあたります)の提出が義務付けられています。
たとえば収支計算書のフォーマットについても、活動計算書の方がより細かい項目をとっているようです。
(あしなが育英会は、管理費について人件費や広告宣伝費などの明細は公開されていません。)
「寄付の使途を細かく知りたい」といった方には不十分に感じられてしまうのが、先ほど紹介したネガティブな評判・口コミにも反映しているのかと推察しました。
ポイント3:きちんと活動しているか?
あしなが育英会が支援するのは、病気や災害、自死(自殺)などで、親を亡くした子どもたち。
「経済的理由で大学進学を断念する」といったことがないように、奨学金を貸与しています。
あしなが育英会は病気、災害、自死(自殺)など道路上の交通事故以外で保護者を亡くしたり、保護者が著しい障害を負っている家庭の子どもたちへの奨学金制度を実施しています。
高校、大学、専門学校などに進学を希望している、経済的に苦しい遺児たちに奨学金(無利子貸与+給付)を交付しています。
(あしなが育英会WEBサイトより)
その他にも、心のケアをする施設「レインボーハウス」や学生寮「心塾」の運営、アフリカの遺児の大学進学支援などにも活動を広げているそうです。
それぞれの活動についてはプロジェクトごとに、WEBサイトの「あしなが活動」などで概要は把握できます。
「お知らせ」では、最新の活動情報、イベント情報、各種お知らせなどが掲載されています。
Facebookページはごく稀な更新のみのようで、他SNSでの発信も見つけられませんでした。
年度ごとの事業報告書・決算報告書はWEBサイトでダウンロードできます。
また、機関紙「NEWあしながファミリー」や出版物も有料ですが発刊されています。
活動について知りたい方は、ご覧になってもよいかもしれません。
なお、あしなが育英会の支援を受けた奨学生が、「あしなが学生募金」のWEBサイトを設置。
FacebookやInstagramなど公式SNSで、募金活動の様子を垣間見れるのは、素敵だなと思いました。
まとめ:法人格や情報公開に心配は残るものの、積み上げた実績に敬意
- 団体としての寄附金控除が適用される法人格をそなえていないこと
- 会計報告のフォーマットが、他の団体とは異なること
- オンラインでの情報発信がそれほど多くはなく、SNSの積極的な活用も見られなかったこと
などから、ネガティブな口コミや批判への反証材料は、残念ながら見つけられませんでした
ただし、WEBサイトで一般に情報公開はしていなくても、寄付者向けに発行している冊子などで定期的に報告しているのかもしれません。
オンラインでの限られた情報であることを、ご容赦いただければ幸いです。
遺児の進学支援のために、高校生3,300人、大学生など1,900人、計5,200人に年間24億円の奨学金を貸し出しています(2015年度実績)。
また、東京と関西で、生活保護家庭でも大学進学を可能にする学生寮「あしなが心塾(日野)」と「虹の心塾(神戸)」を運営しています。(出典:あしなが育英会WEBサイト)
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