(出典:国境なき医師団HP)
紛争や災害に巻き込まれた人々や、貧困などの理由から医療サービスを受けられない人々に緊急の医療を提供する「国境なき医師団(MSF)」。
現地での活動には一定の評価がある一方で、日本国内での寄付勧誘活動に対しては様々な意見が上がっています。
「国境なき医師団はどんな団体?」
「ボールペンが送られてきたけど、寄付して大丈夫?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では国境なき医師団が信頼できる寄付先かどうか、口コミや寄付する前に確認したいポイントをまとめました。
医師や看護師等の立場で国境なき医師団に関わりたい方のための情報も集めましたので、興味がある方はチェックしてみてください。
目次
国境なき医師団に寄付して大丈夫?口コミをチェック
まずは、国境なき医師団や国境なき医師団が行う寄付勧誘について、ネット上の口コミを調べてみました。
ダイレクトメールなどを不安に思う方の声
国境なき医師団からプレゼントという名目で、名前入りのボールペンが届いた。
— みーにゃん (@yamamilove) November 25, 2019
以前寄付した事あったからかなぁ…でもこんな事に経費を使わず医療費に充てればいいのに、と思ってたら、なんと寄付した事がない人の所にも届いてるらしい。
その個人情報は一体どこから入手したの??
(個人情報の取扱いと経費に疑問を感じる方―Twitter)
国境なき医師団 から
— saya 🐶②😸⑤私の宝 (@dog_cat_heiwa) December 2, 2020
突然お手紙が来て…ボールペンとトートバックが来たので読んでみたら可愛そうで😭
寄付してきたけど
詐欺じゃないよね😱
振り込んでから不安になった( ;∀;)
そしてこれは
年末調整出せるのかな🤔 pic.twitter.com/dEVoXfJjHJ
(ダイレクトメールが詐欺でないか不安に感じる方―Twitter)
国境なき医師団からゆうメールで寄付を募るものが届きました。中には個人名、住所が記載された振込用紙と挨拶文、ペンとポストカードが入っていました。
どこの名簿から送られてきたのかもわかりません。
寄付もしないでペンとポストカード使いましたねって来たらこまるので返還先に戻した方が良いでしょうか?
(ペンとポストカードを受け取り不安に感じる方―Yahoo!知恵袋)
突然のダイレクトメールに戸惑ったり、国境なき医師団を騙った詐欺なのではと不安な気持ちになる方は少なからずいらっしゃるようです。
また、ボールペンなどが同封されていることから経費の使い道を怪しむ声も上がっていました。
MSFに寄付したい!支援を始めた方の声
一方で、寄付勧誘をきっかけに定額寄付を始めた方の声も見つかりました。
国境なき医師団に寄付しました。
— 774 (@undo774) December 29, 2020
祖父(もう他界している)宛に届いていたDMを見てこれは寄付しなければということで、少しですが力になりたいと思いました。今後も定期的にしようと思います。https://t.co/PUW2fwi77X pic.twitter.com/puqhhaszeI
(ダイレクトメールを受け取り、寄付を開始した方―Twitter)
TSUTAYAのDMの中に国境なき医師団から支援のお願いのお手紙が入ってたから支援してみた。ドキドキ。
— まうぺろ (@to_risugari_k) December 25, 2020
外食1回ガマンすればたくさんの人が適切な治療を受けられるらしい。
微々たる金額だけど、お役に立てたら幸い( ˇωˇ )
年間支援も考えてみようかな…。 pic.twitter.com/1aAjt1KoNQ
(ダイレクトメールから寄付を行い年間支援も検討している方―Twitter)
買い物に出かけたら街頭で声をかけられたので、この渦中大変だなあと思って少額だけど定額寄付をはじめました!自分が難病助成でもらってるお金をそのまま寄付すると思えば🤤
— ゆるい🍡🌷😷 (@yury12221) January 11, 2021
国境なき医師団https://t.co/5PN428uH9d
(街頭募金がきっかけで定額寄付を始めた方―Twitter)
ダイレクトメールや街頭募金を通して国境なき医師団の活動を知り、寄付を始めた方も一定数いるようです。
ある程度の効果があるからこそ続けている施策なのかもしれません。
募金の勧誘についてMSFの公式声明は?
様々な意見のある国境なき医師団の募金勧誘ですが、団体は公式な回答をHPに掲載しています。
国境なき医師団が世界各地で行っている医療・人道援助活動をご紹介し、ご理解とご支援の輪を広げるきっかけと致しまして、ダイレクトメールやポスティング(お宛名印字のないポスト投函)によるキャンペーンを実施しております。ペンやその他のグッズが入った封書をお送りすることもありますが、その対価としての寄付をお願いするものではありません。寄付へのご協力は、全くの任意です。
引用:国境なき医師団HP
個人情報はどこから得たのか?という質問に対しては、過去の寄付履歴やイベントの申し込み、メールマガジンの登録など自団体で得たもののほか、第三の機関から情報を取得する場合があると公表していました。
MSF日本は、公開情報、他事業者、有識者、サプライヤーリスト、他のMSF、人材紹介会社、人材派遣会社、資金調達組織や資金調達プラットフォーム等から個人情報を取得することがあります。
引用:国境なき医師団HP
上記の通り、国境なき医師団としてダイレクトメールを用いた寄付勧誘を行っており、その際にボールペン等を同封する場合があるそうです。
ただし、寄付を強制する意図はなく「ご理解とご支援の輪を広げるきっかけ」をつくるために実施しているとのこと。
ダイレクトメールは関心がない人が関心を持つきっかけ、またはすでに関心のある方が寄付を始めるきっかけを作るための手段なのですね。
前段でご紹介したように、実際にダイレクトメール等をきっかけに寄付を始め「役に立つと嬉しい」「これからも続けたい」と感じている方もいらっしゃいます。
趣旨に賛同された方は寄付を検討してみてはいかがでしょうか。
また、上記HPによるとダイレクトメールの発送にともなう諸経費は、印刷会社や運送会社にも協力してもらい、できるだけコストを削減しているとのことでした。
国境なき医師団の一員になるには?活躍している日本人
寄付勧誘の方法に賛否両論あるMSFですが、実際に働いている人はどのような人たちなのでしょうか?
「国境なき医師団で働きたい!」という声もインターネット上で多く見られましたので、こちらについても調べてみました。
給料なしのボランティアなの?年収は?
国境なき医師団で働く人達は、一部のボランティアメンバーを除き、有給職員です。
一例として、海外派遣スタッフの待遇については下記のように記載がありました。
初めて参加される場合、海外派遣期間が積算1年を超えるまでは、給与として月額17万6500円(控除前)が日本円で支給されます。支払いには、日本に開設されている銀行口座が必要です。派遣期間が1年を超えた後は、派遣されるポジションや過去の経験等を加味し算定し、給与として月額20万408~57万5862円(控除前)が支給されます。
引用:国境なき医師団 採用HP
年収にしてみるとおよそ240万円〜690万円ほどになる計算です。
完全に無給ではないものの、特に最初の1年間は日本国内で働く場合と比べると給与が下がってしまう人も多そうです。
一方で、国境なき医師団のHPには日本での仕事を休職したり、退職したりするなどして活動に参加した日本人のインタビュー記事も多く掲載されていました。
幅広い経験ができる、支援が必要な現場で働けるという仕事にやりがいを感じておられるようです。
医師や看護師、薬剤師などの求人募集
国境なき医師団のHPでは、医師や看護師をはじめとした海外派遣メンバーを通年募集しています。
例えば、「医療従事者」として募集されているのは下記のような職種です。
- 医師(内科医・感染症専門医・小児科医・救急医・集中治療専門医)
- 産婦人科医
- 麻酔科医
- 外科医/整形外科医
- その他の職種(助産師、薬剤師、手術室看護師、疫学専門家、精神科医/心理士、ヘルスプロモーター、正看護師)
医療従事者以外では、現地の財務・人事を担当する「アドミニストレーター」、物資調達や設備の保守管理を行う「ロジスティシャン」が募集されています。
いずれの職種も、実務経験のほかに英語またはフランス語でコミュニケーションが取れることが必須条件です。
海外派遣スタッフ以外では、通年ではありませんがタイミング次第で東京の事務局スタッフの募集があります。
その他には国内のイベント、事務作業をサポートするボランティアスタッフも募集されます。
詳しい募集要項や応募条件は、下記ページを参考にしてみてください。
チーム 国境なき医師団
国境なき医師団を支援するには?寄付する前のポイント
ここからは、「国境なき医師団を寄付で支援したい!」という方に向けて、寄付を行う前に確認しておきたいポイントをまとめていきます。
総支出の約84%が医療活動に役立てられる
世界各地に事務所のある国境なき医師団。
日本では「国境なき医師団日本」が窓口を担っています。
日本国内での寄付は「国境なき医師団日本」が受け付け、支援活動のオペレーションを行う「MSFオペレーション事務局」を経て、世界各地の国と地域での医療・人道援助活動にあてられます。
2019年に使用された活動費の内訳は次のようになっています。
<経常費用合計 111.6億円>
- ソーシャル・ミッション費 91.2億円
- 募金活動費 15.1億円
- マネジメントおよび一般管理費 2.3億円
- その他海外向け支援金等 3億円
一番大きい割合(84.0%)を占める「ソーシャル・ミッション費」の内訳は、①援助活動費、②オペレーション・サポート・プロジェクト、③海外派遣スタッフ募集・派遣業務、④アドボカシー活動費、⑤広報活動費 です。
総支出111.6億円のうち、8割以上が医療活動を中心とした現地での支援活動に使われていることがわかります。
ちなみに、前述したダイレクトメール等の寄付勧誘にまつわる費用はソーシャル・ミッション費には含まれず、「募金活動費」に含まれているものと思われます。
寄付金控除の対象になる(確定申告必須)
国境なき医師団の日本での窓口を担う「国境なき医師団日本」は、東京都から認定を受けた認定NPO法人です。
そのため団体への寄付は寄付金控除の対象になります。
それぞれの条件を満たすことで、所得税、法人税、相続税、一部の自治体の住民税において税制上の優遇を受けられます。
国境なき医師団への寄付であれば、一度だけの寄付か、毎月の定額寄付かに関わらず控除の対象になります。
ご自身にあった寄付方法を選んでみてください。
寄付をする国境なき医師団
なお、寄付金控除を受けるためには確定申告が必須です。
勤務先の年末調整だけでは控除を受けられないので注意してくださいね。
本記事では、国境なき医師団の寄付勧誘についての評判と、寄付の使い道、寄付控除等についてお伝えしました。
国境なき医師団は団体規模が大きく、広報活動にも力を入れてます。
同時に、寄付だけでなく海外派遣スタッフやボランティアなど、関わり方も多種多様です。
ボールペン等を用いたダイレクトメールも、多様な関わり方を用意している国境なき医師団ならではの取り組みと言えるかもしれません。
口コミだけではなく、団体の活動内容や会計報告など、複合的な視点から国境なき医師団が信頼できる団体なのか見極めていくことが大切ではないでしょうか。
この記事がその材料となれば幸いです。