災害や事件が起こった時、注目が集まる「寄付」。
困った人たちを助けたり、社会的に有意義な活動を進めたりする上で、有効な手段ですね。
一方で「お金はきちんと使われる?」「どんな方法があるの?」「いくらすればよい?」といった疑問も。
この記事では「そもそも寄付とは?」から寄付をする意義について、寄付をしたことがない人、初めて寄付を考えている人にも分かりやすく解説します。
目次
そもそも「寄付」とは?定義や意味を、1分でチェック!
寄付とは「お金やモノなどを、非営利団体や学校・個人などに、無償で譲り渡す」ことです。
簡単な定義としては、私はこのように考えています。
もう少し詳しく、3つのポイントに分解してみます。
寄付の定義を、3つのポイントに分解すると・・
- 何を?:金銭・物品・不動産など、価値ある財産を
- 誰に?:主に公益性のある活動を行う主体、たとえば非営利団体(NGO/NPOや財団など)や学校・宗教団体、政府あるいは個人などに
- どうする?:取引やサービスの対価としてではなく、基本的には無償で譲渡する
逆に言えば、お金を私立学校に支払っても、それが入学金や授業料などの対価としてなら、寄付ではありません。
たとえ無償でも価値のないもの(例:ボロボロの古着)を被災地に送りつけたなら、「捨てている」のと同じ、と捉えられても仕方がありません。
また、親族や友人などを金銭的に支援することも、一般的には寄付とは呼びません。
すなわち「価値」「公益性」「非対価性」、この3つが寄付のポイントと私は考えています。
「寄附」や「募金」とは同じ意味!義援金との違いは?
寄付と似たような意味で使われている言葉は、他にもいくつかあります。
まず「寄附」は、ほとんど同じ意味で使われます。
- 募金:本来は寄付を「募る」趣旨だが、現在は「寄付する」と同じ意味で使われる
- 義援金:災害などで被災した方々へお悔やみや応援の気持ちを込めるときに使われる
- 寄贈:お金ではなくモノや不動産を、無料で贈呈するときに使われる
というように、それぞれ異なった意味合いで使われます。
ちなみに読み方は、「きふ」です。
株式の分野で使われる「寄付」(よりつき)とは、そもそも違う言葉なので、注意しましょう。
日本では、誰が寄付してる?なぜ人は寄付するの?
そんな寄付ですが、日本では年間約8,000億円(出典:寄付白書2017)のお金が動いています。
2016年の全国寄付実態調査によると、回答者5,349人中、45.4%が直近1年間で何らかの形で寄付をしているそう。
寄付者率の内訳も、
(出典:寄付白書2017を元に筆者作成)
とあらゆる層の方が寄付をしていることがデータでも裏付けられています。
なぜ、これほどまでにたくさんの人が寄付をするのでしょうか?
節税になるから?寄付金控除や税制優遇などメリットがあるの?
寄付をすると、所得税や住民税などで控除が受けられることがあります。
寄付金控除とは「寄付したお金の一部を税金の代わりとして認める」という税制度のことです。
寄付したお金であれば、なんでも寄付金控除が適用される訳ではありません。
国や都道府県が認めた「公益財団法人」や「認定NPO法人」といった法人格を有している寄付先で、且つ寄付金受領証明書という領収書を用意できなければ、寄付金控除は使えません。
税制優遇が受けられる寄付先であれば、確かに節税になりますが、あくまで寄付したお金の一部が還ってくる程度です。
アメリカの寄付市場は日本の約40倍!寄付平均額も約5倍
一方で「アメリカ人は寄付を習慣的に行っている」というイメージをお持ちの方は多いと思います。
実際のデータを元に、日米の市場規模を比較すると・・
日米の個人寄付総額と名目GDPに占める割合「寄付白書2017」より引用
日本 | アメリカ | |
個人寄付総額 | 7,756億円 | 30兆6,664億円 |
個人寄付平均額 | 27,013円 | 127,050円 |
寄付者率 | 23% | 63% |
「寄付白書2017」を元に筆者作成
このように40倍近い規模の差があります。
寄付者率(直近1ヶ月以内に寄付した人の割合)を見ても、日本23%・アメリカ63%と、確かにアメリカの方が盛んに寄付が行われています。
日本にも寄付の歴史や文化があった!“伝統”や“習慣”も要因
日本で「寄付の文化は根付かない」「寄付よりも税金を」というイメージはありますが、歴史を紐解くと、実は古くから伝わる文化があります。
奈良時代になると仏教が盛んになり、全国各地にお寺が造られました。
お寺の建造に際し、奉加(ほうが)と呼ばれる形で、広く寄付が募られることとなりました。
寄付者名簿にあたる「奉加帳」も一部残っていて、中には奉加者の願いが記されているものも。
「奉加帳を回す」という言葉があるように、慣習として現代に残っています。
全国地域サッカーチャンピオンズリーグ出場に際し、
— 高知ユナイテッドSC (@kochi_United) 2017年12月4日
奉加帳のご協力をいただき、ありがとうございます。
249名の方から316,500円の御寄付をいただきました。
いただいた寄付は、チーム旅費に使わせていただきました。
2018年こそJFL昇格を成し遂げます。応援お願いいたします。#高知ユナイテッドSC
(出典:全国大会に出場して奉加帳を回したサッカーチームーTwitter)
世のため人のためのお金なら、喜んで支払う姿勢は「助け合いの精神」そのものです。
日本人には元来、他人を思いやる気持ちがあると言っても、過言ではないでしょう。
名誉・幸せ・未来など、自分にも良いことがある
「寄付には見返りが全くないか?」と聞かれると、そうとも言い切れません。
見返りとして分かりやすいのは、社会的な名誉です。
有名人が多額の寄付を行うのは、単に応援したい気持ちもさることながら、イメージ戦略のためも少なからずあるでしょう。
一般人が行う少額の寄付も、寄付者が願う未来に貢献することができます。
共感するNPOがあれば、寄付をすることで活動を応援することができます。
『社会に貢献する』日本ファンドレイジング協会
寄付とは、自分の代わりに自分の願う社会を実現してくれるNPOに、お金や物品を託し「社会課題の解決に参加すること」です。
また、寄付が精神的な幸福や効能に良い影響があることも、科学的に実証されています。
たとえ対価が得られなくても、寄付をする人にとって「意味のあるお金」になると言えます。
ここまで、寄付という言葉の意味や定義から、寄付文化や寄付によって得られる心の豊かさについて解説させていただきました。
- 寄付って、自分も社会も幸せになる、素晴らしいお金の使い方なんだ
- なんとなく見えにくくて、遠ざけてたけど、少額から始めてみようかな
こんな風に感じていただけたら嬉しいです。
具体的な寄付先は次の記事も、ご参考になさってください。