虐待を受け、児童養護施設で暮らすこどもたち
18歳から待ち受けるさらなる困難とは?

虐待を受け、児童養護施設で暮らすこどもたち
18歳から待ち受けるさらなる困難とは?

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彩さんが見つけた小さな安心

10歳の彩さん(仮名)は、アルコール依存症の両親の暴力から逃れ、児童養護施設で暮らし始めました。

暴力に怯える日々からやっと逃れられた彩さん。 同じように虐待から保護された子どもたちと共同で生活を始めました。

最初は緊張の連続でしたが、職員が見せてくれる優しい笑顔や、「無理に話さなくていいよ」と言葉を待ってくれる態度に少しずつ心を開いていきました。

「家族には頼れないけど、ここには話を聞いてくれる人がいる」と思えるようになり、ようやく安心できる居場所を見つけました。

18歳で
彩さんの「自立」

児童養護施設で安心できる居場所を見つけた彩さんでしたが、多くの子どもたちと同様に、18歳を迎えると施設を出て一人で暮らすことになります。

施設を出ていく日を迎えた年上のお兄さんお姉さんが、「がんばるよ」と笑顔で出ていく後ろ姿を見るたびに、「自分もいつか、この安心できる場所を出て一人で生きていかなければいけない」という現実に押しつぶされそうでした。

退所まであと数日となった、ある晩。 窓から外をながめていた彩さんは、隣にいた同い年の子が、ふと小さくつぶやくのを聞きました。
「私たち、もうすぐここを出るんだね…。」
その言葉に返事をしようとしましたが、うまく言葉が出ません。

「仕事も生活も、全部ひとりでやるんだよね、うまくやっていけるのかな…」
その一言に、彩さんは押し込めていた不安がふくらみ、飲み込まれそうになりました。

そして、彩さんもついに18歳を迎え、施設を出ることになりました。
施設の子どもたちや職員から「がんばってね」と温かい励ましを受け、笑顔でその場を後にしたものの、心の中は不安でいっぱいでした。

「これからは自分で何とかしなきゃ」と必死に気丈に振る舞いながら、新しい生活をスタートさせたのです。

施設を出た彩さんは、アパートでの一人暮らしを始め、アルバイトをしながら生活費を稼ぐ日々を送ることになりました。 最初は自分で自由に生活できることにわずかな解放感を感じていましたが、次第に現実の厳しさが押し寄せてきました。

アルバイト先でお客さんからのクレームを受けたとき、彩さんは「自分が悪いから怒られたんだ」と責任を抱え込んでしまい、その日から職場に行くのが怖くなりました。

過去に虐待を受けてきた経験から、怒られることが特に強い恐怖につながってしまっていたのです。

それでも生活費を稼がなければと自分を奮い立たせましたが、夜になると不安が募り、誰にも相談できず眠れない日々が続きました。
店で他のスタッフと話すのも怖くなり、シフトに入るたびに胃が痛くなるようになりました。

やがて体調を崩し、「私なんて役に立たない…」という思いから退職を決意し、アパートで引きこもる日々が続きました。

「誰にも頼れない」と感じる孤独感は、彩さんを精神的にも追い詰めていきました。

もう一度、 にたどり着いた彩さん

孤独な日々が続いていた彩さんは、ある日インターネットで「児童養護施設等を出た若者を支援する団体」のサイトを見つけました。

その団体は、アフターケア団体と呼ばれる団体で、施設を出た若者たちを対象に、生活や就労の相談支援などをしていました。

不安を抱えながらも、思い切って問い合わせをした彩さん。 電話越しの優しい声に緊張がほぐれ、気づけばこれまでのつらい経験をすべて打ち明けていました。


スタッフは彼女の話を一つひとつ丁寧に受け止めてくれ、彩さんは一人で抱え込んでいた心配事が少しずつ和らいでいきました。

お金や住居など生活面のアドバイスや、履歴書の書き方や面接対策、彩さんに合った職場を一緒に探してくれるなど、就労面でのサポートも受けることができました。

施設を出てからずっと「頼れる人はいない」と思い、不安な気持ちを抱え続けていた彩さん。
「嬉しいときも、困ったときも、いつでも来てね」という言葉に、ふっと心が軽くなりました。
彼女にとって新たな「家族」ができたような安心感を与えるものでした。

団体のサポートを受けながら、彩さんは無事に新しい就職先を見つけることができました。 職場で困ったことがあったときには団体のスタッフに相談し、「自分は一人じゃない」と感じられるようになりました。

彩さんは、今もまだ自分の中に不安を抱えることがありますが、安心して悩みを話せる相談先があることが、彼女の背中を押してくれています。

※当事者のプライバシーと意志を尊重し、いくつかの事例をベースにエピソードを作成しています

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高校卒業を迎えると、施設で育った子どもたちの多くは一人で新たな生活を始めなければなりません。進学や就職といった未来への一歩を踏み出す一方で、進学後の中退や就職後の離職が高い傾向があります。

その背景には、金銭面でのサポートや生活全般の相談に乗る存在がいないという現実があります。「困った時に頼れる親や家族」がいないのです。

認定NPO法人かものはしプロジェクトは、このような若者たちを支える「アフターケア団体」を支援しています。アフターケア団体が若者一人ひとりに丁寧に向き合えるように、団体の運営支援や研修の提供を行ったり、アフターケア団体を増やすために国や自治体に政策提言を行っています。

今なら、アンケートに答えるだけでかものはしプロジェクトに10円を寄付することができます。
費用は寄付ナビが負担するため、あなたには一切費用はかかりません。参加するためのご登録も不要です。所要時間は30秒程度です。

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