(出典:かものはしプロジェクト HP)
「生まれた家庭で生活することが困難」と判断された、子どもたちが生活する児童養護施設。
一昔前まで「孤児院」と呼ばれていていましたが、昨今は親がいても虐待などが原因で入所する子どもが多くなっているとのこと。
そんな児童養護施設の子どもたちを支援しているNPO団体について、団体・活動の事例や寄付で応援する方法を紹介します。
PR
目次
虐待を受け、児童養護施設で暮らす子どもの自立支援(かものはしプロジェクト)
かものはしプロジェクトは、海外で子どもの人身売買に取り組む日本発のNPOとして2002年に創業しました。
設立のきっかけとなったカンボジアでは、2002年から2018年までの活動で、性犯罪の加害者の逮捕件数は大幅に減少し「人身売買の問題が解決した」と言えるまでになりました。海外事業としては、現在はインドで裁判支援や被害者の自立支援を行っています。
そんなかものはしプロジェクトが、日本国内の課題に取り組み始めたのは2019年のこと。「東京都で5歳女児が暴行を受け亡くなってしまった」「寒いなか、食事も与えてもらえず外に放置されていた」など、テレビや新聞で事件が報道される度に心を痛め「何かできないか?」「なんとかしたい」と考えるようになり、日本の子どもを支援する活動を始めました。
以下かものはしプロジェクトの共同創業者である村田早耶香さんのコメントの引用です。
私と仲間たちはこれまで、海外で人身売買や性的虐待の被害にあった女の子を助ける活動をしてきました。自分の足元である日本で、同じように暴力や虐待に苦しむ子どもたちがいる。この日本の社会を変えるために、できることを探し始めました。
かものはしプロジェクト HP
私たちが住む日本では、全国に約600ヵ所ある児童養護施設に、約24,000人(※)の子どもたちが暮らしています。
児童養護施設を退所したあと、国からの支援はほとんどなく、多くの子どもたちが「誰にも相談できない、社会に放り出される孤独」を感じています。
かものはしプロジェクトは、そんな若者が退所後も安心して生活できるよう、仕組みづくりと現場支援を行っています。
主な事業内容は以下の通りです。
- 困難に直面する若者への支援強化:児童養護施設に自立支援の専門家を派遣、退所後に困難に直面した若者からの相談対応や、金銭管理指導を支援。
- 対処後も安心して生活できる仕組みづくり:退所後にサポートが激減する状況を変えるため、退所後支援の充実に向けたネットワークづくりや政策提言などを実施。
一人ひとりの子どもを助け出すだけでは、決して解決しない。根本的な問題解決のため、これまでの海外事業での経験を活かし、社会の仕組みづくりに力を入れています。
活動内容 | 虐待を受け、児童養護施設で生活する子どもの自立支援。海外における人身売買問題の解決に向けた活動。 |
活動地域 | 日本、カンボジア(2018年に事業終了)、インド |
支援対象 | 被害を受けた子どもや女性など、立場の弱い人たちへの支援や仕組みづくりに向けた政策提言。 |
寄付の使途 | 社会の仕組みづくりと被害者に寄り添い、心身の回復や社会復帰を目指すための支援。その他広報活動、管理費用等にも活用 |
運営団体 | 認定NPO法人かものはしプロジェクト |
また、寄付先としてかものはしプロジェクトが信頼できるかについて、別記事でも紹介しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。
編集部オススメのポイント!
「虐待や、その経験から今まさに助けを必要としている子どもが同じ街にいるかもしれない、そんな子どもたちのために何かしたい」
「世界の問題も気になるが、自分の暮らす日本の未来も良くしていきたい」
そんな想いに共感された方は、是非団体公式ページから詳細をご覧ください。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
児童養護施設を出て自立を迫られる子どもたちを継続的にサポート(ブリッジフォースマイル)
児童養護施設に入った子どもたちは、18歳になると施設を出て自ら稼いだお金で生活しなければなりません。
けれど相談できる大人も周りにみつからず、学歴・資格もなく途方にくれる子ども達が多い現実があります。
そこでブリッジフォースマイル(以下B4S)では、児童養護施設から社会へと巣立つ子どもたちが、笑顔で希望をもって生活できるようにする活動を行っています。
私たちは、大人の都合で児童養護施設に入所した子どもたちが、安心して社会に巣立ち、夢と希望を持って笑顔で暮らせる環境を作ることは、社会全体の責任だと考えています。
B4S HP
「子どもたちが笑って暮らせるように…」ブリッジフォースマイル(B4S)は、この強い思いを胸に活動しているNPOです。
施設を出た子ども達を継続的にサポートするためのB4Sのプログラムは多岐にわたっています。
たとえば一人暮らしの際に必要となる引越し手続き・金銭管理などもろもろの知識・スキルを教える「巣立ちプロジェクト」や、退所後にマンツーマンの個別サポート・交流会などを実施する「アトモプロジェクト」などなど。
これらのプログラムが、児童養護施設を巣立つ子ども達の大きな力となることは容易に想像できます。
活動内容 | 児童養護施設を出て自立する子ども達に対するサポートなど |
活動地域 | 東京・神奈川・千葉・埼玉など ※プログラムによる |
支援対象 | 児童養護施設を出て自立する(自立した)子ども |
寄付の使途 | 退所予定の子どもを支援するプログラムの運営費用など |
運営団体 | 認定NPO法人ブリッジフォースマイル |
B4Sを支援するための寄付方法はさまざまです。
好きなときに好きな額を寄付する一般寄付をはじめ、毎月・毎年一定の額を寄付する継続寄付も可能。
さらに古本やゲーム・DVD・書き損じはがきの寄付(到着後に換金して利用)や、退所後たちの子ども達の生活必需品(新品もしくは新品同様のもの)を寄付することもできます。
なお生活必需品の寄付は、受付時期など注意点がありますので、くわしくはB4S WEBサイトで確認してください。
PR
“予期せぬ妊娠”などで授かった命に、「赤ちゃん縁組」を(フローレンス)
最後に紹介するのは、認定NPO法人フローレンス。
児童養護施設に通う子どもたちを直接に支援対象にはしていませんが、子どもたちが児童養護施設に通わざるを得ない環境に置かれないように、活動しています。
子どもが児童養護施設に引き取られたり、虐待を受けたりする原因の1つは、「予期せぬ妊娠」。
母親や父親が育てる意思や能力を持たないまま、子どもを授かってしまうケースです。
貧困、性犯罪の被害など様々な事情を背負い、相談できずに孤立した女性が、自宅や公園のトイレなどで出産を迎えてしまうという事態まであるそうです。(フローレンス HP)
2週間に1人の0歳児が虐待によって、死亡しているそうです。
そこで「赤ちゃん縁組」、つまり子どもを望む育ての親に赤ちゃんを託せるように取り組みをしているのが、認定NPO法人フローレンスです。
「赤ちゃん縁組」では、予期せぬ妊娠や、出産しても育てられないなど、妊娠・子育て期に課題を抱える女性の相談を受けています。
相談の結果やはり育てられない、となった場合には、育ての親に託すことで、「すべての子どもが愛情あふれる家庭で育つ社会」の実現を目指します。
妊婦の出産にかかる費用は、育ての親による自己負担で行うものの、縁組に至らない相談や相談員にかかる費用は賄えないとのこと。
生みの親の産前の「生活支援費」や育ての親への「研修費」などに、寄付を充てているそうです。
フローレンスは、2004年に法人設立以来、訪問型病児保育や障害児保育、ひとり親家庭支援といった事業を展開。
「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」をミッションとして活動しています。
活動内容 | 特別養子縁組、妊娠・特別養子縁組相談、養親研修 |
活動地域 | 日本各地 |
支援対象 | 赤ちゃん・妊婦、障害児家庭、ひとり親家庭など |
寄付の使途 | 生みの親の産前の生活支援費、育ての親への研修費、生みの親の相談時の出張費など※ |
運営団体 | 認定NPO法人フローレンス |
※ 「赤ちゃん縁組」事業についての例
この他にも、広く「子どもの虐待」や「子どもの貧困」「孤育て問題(ひとり親家庭の支援)」「障害児保育」といった、子ども・親子をめぐる社会課題に取り組んでいます。
月1,500円から寄付を募集しているマンスリーサポーターは、クレジットカードで簡単に申し込めるそうです。
編集部オススメのポイント!
「子どもの命を助ける」や「保育を受けられるようにする」といった趣旨に共感する方は、支援先として検討してみてよいかもしれません。
> 団体公式サイトで詳しくみる
寄付金控除の対象団体です
まとめ:課題解決を通じて、より多くの子どもたちに広く支援を届ける
ここで紹介した3つのNPOの活動を通し、少しでも児童養護施設への支援に興味を持っていただけたら幸いです。
団体名 | 寄付ナビ編集部オススメのポイント |
かものはしプロジェクト | ① 日本でも、子どもの尊厳が踏みにじられている現状を変えたい、という想い ② 活動を直接聞けるイベントや説明会が随時実施されている |
ブリッジフォースマイル | ① 子どもたちが笑顔で社会生活を送るための知識と意欲をはぐくむ活動を行う ② 子どもを支える大人を増やす「伴走者の育成」にも注力 |
フローレンス | ① 幼児を虐待から守るための方策として、特別養子縁組を推進 ② 社会変革集団として、国の制度を変えることにも力を入れており、2018年には児童虐待防止法の改正案を提言 |
少し前に児童養護施設の子ども向けにランドセルを贈る、「タイガーマスク運動」が有名になったことがあります。
「学習用具をプレゼントする」「食料を寄贈する」といったように、モノを支援するのはたしかに分かりやすいですが、現場では活用法に困り支援が効果的に活用されない事例も。
この記事で紹介したように児童養護施設の子どもたちを支援するNPOを、「お金で応援する」ことを通じて、より多くの子どもたちに支援を届け、さらに背景にある社会課題の構造的な解決をサポートすることも有効と考えています。