子どもの貧困の原因は?「ひとり親家庭」や「格差社会」など3つの背景

(出典:子供の未来応援国民運動 – 内閣府)

「子どもの貧困」の原因を調べてみると、実にたくさんの要因があることがわかりました。
「ひとり親家庭」や「ワーキングプア」などの社会的な背景や、政府の政策や予算配分など、さまざまな原因が絡み合っています。

政府が公表している数値を読み取り、「子供の貧困」の原因を経済・社会・政治の3つの側面から解説します。

経済的な原因:格差の拡大は低収入から始まる

経済的な主な要因は、「親の低収入」と、それによる教育費不足で起こる「教育格差による貧困の連鎖」の2つです。

親の低収入

働く世代の貧困「ワーキングプア」とは?

ワーキングプアとは、フルタイムで働いても、貧困線以下で労働する人々のことを意味します。
ワーキングプアには非正規雇用が多く、一所懸命働いても低収入。
正規社員に比べて経済的格差があり、貧困層となってしまう労働者のことです。

厚生労働省の公表の「各種世帯の所得等の状況」(貧困率の状況 P15)によると、2015年時点での以下の数字が掲載されていました。

  • 貧困線に当たる年収は122万円
  • 貧困している人の割合(相対的貧困率)は15.7%(6人に1人)
  • 17 歳以下の子どもの貧困率は 13.9%(7人に1人)

経済格差を生みだす要因

経済格差を生みだす要因として、日本を代表する経済三団体のうちのひとつ「経済同友会」は次のように分析しています。

グロー バル化や技術の進展、産業構造の変化、株主利益の極大化を求める資本市場の 圧力等によって生じた雇用の二極化(非正規雇用の拡大や低所得化等)は、社 会の格差拡大をもたらしている。

(出典:子どもの貧困・機会格差の根本的な解決に向けて P1 – 経済同友会)

年金世代の貧困|単身高齢者も4世帯に1世帯は貧困

子どもの貧困を調べているうちに、実は高齢者も貧困であえいでいることがわかりました。
一見子供の貧困と無関係に思えますが、高齢化社会に伴い、政府は高齢者対策に予算を多く取っています。
それが間接的に、子どもの貧困を助長する一因になることを、予算に関しての説明で改めて後述します。

総務省統計局の2016年度「家計調査年報」の「総世帯及び単身世帯の家計収支」で、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の収入ついて、以下のように報告されていました。

  • 月額実収入は120,093円(年収144万円。内年金が92.7%)
  • 月額消費支出は143,959円なので赤字

65歳以上の「高齢者のいる世帯」の貧困率は27.0%。
つまり高齢者世帯の4世帯に1世帯以上が貧困世帯。(中略)
65歳以上のひとり暮らし(単身世帯)の貧困率を見るとさらに深刻さは増す。

  • 男性単身世帯……36.4%
  • 女性単身世帯……56.2%

(出典:普通の日本人が知らない「貧困」の深刻な実態 – 東洋経済ONLINE)

日本では、全世代が貧困している現実が見えてきます。

教育格差による貧困の連鎖

教育格差が生まれると、それが経済格差となっていきます。
進学をしないと、大人になっても低収入や不安定な雇用を余儀なくされて、結局貧困から抜け出せない状態だからです。

子どもの大学等の進学率は以下の通り。

  • 全世帯 73.2%
  • 生活保護世帯 33.1%
  • ひとり親家庭 58.5%
  • 児童養護施設の子  24.0%

(出典:「国における子供の貧困対策の取組について」P4 – 内閣府)

社会的な原因:未婚の母や離婚が増え、ひとり親家庭が増加

内閣府が2018年公表した「国における子供の貧困対策の取組について」(P4・8・9)には、ひとり親が急増して貧困している数字が記載されていました。

  • ひとり親増加の割合:30年間(1985-2016年)で、母子世帯は1.5倍、父子家庭は1.1倍
  • ひとり親増加の内訳:30年間で、離婚母子が約20%増、未婚の母が約4%増
  • 母子家庭の就業率:81.8%
    内、就業者の52.3%は非正規雇用で、その平均年収は133万円

これを見る限り、特に貧困に喘いているのは母子家庭だということが伺えます。
父親の8割以上が養育費の支払い責任を果たしていないのも、ひとり親家庭での貧困の一因のようです。

日本の母子世帯の多数は離婚が原因であるが、離別母子世帯のうち実際に養育費を受け取っている世帯の割合は19.7%に留まっている

(出典:ひとり親家庭の離婚後の収入 – 財務省)

政治的な原因:子ども支援の予算が増えない

日本では、子どもを支援する予算はあまり増えていないようです。
その原因は、財政赤字、高齢者への支出の増加が挙げられます。
他国と比較すると、日本政府の教育支援や子どものための支出は低水準です。

慢性的な財政赤字が加速

2018年歳出予算案は97兆7,128億円。
そのうち、33兆6,922億円の歳入源が国債(借金)でまかなわれます。

我が国の一般会計を手取り月収30万円の家計にたとえると、毎月給料収入を上回る38万円の生活 費を支出し、過去の借金の利息支払い分を含めて毎月17万円の新しい借金をしている(中略)
いつかは破産してしまうほど危険な状況です。

(出典:第1部 我が国財政について P3 – 財務省)

高齢化社会が進み、年金などの支出が膨らむ

日本では、高齢化社会が進んでいて、2018年度予算案での社会保障費(年金・介護・医療費など)の支出は、前年よりも4,997億円増えて、過去最高の32兆9,732億円。
予算全体の33.7%となっています。

これが子どもに対する支援の予算を含めた他予算を圧迫する、間接的な要因になることをご理解いただけたかと思います。

(出典:第1部 我が国財政について P1 – 財務省)

世界で教育費を比較:日本はOECD加盟国34か国中の最下位

2015年のOECD加盟国において、国内総生産(GDP)のうち小学校から大学までの教育機関に対する公的支出の割合を見ると、日本は2.9%で比較可能な34か国中で最下位だった。
OECD加盟国の平均は4.2%。

(出典:日本の教育への公的支出、34か国中最下位 – resemom)

*参照元資料はOECDのEducation at a Glance 2018(図表でみる教育2018)

世界で子どもへの支援費を比較:日本は低水準

日本政府は、他欧米諸国に比べて、家族関係社会支出(出産援助・児童手当・教育援助など子供関連のために使うお金)が少ないと分析されています。

我が国は、1.31%(2015(平成27)年度)となっている。
国民負担率などの違いもあり、単純に比較はできないが、フランス(2.92%)やスウェーデン(3.64%)などの欧州諸国と比べて低水準となっており、現金給付、現物給付を通じた家族政策全体の財政的な規模が小さいことが指摘されている。

(出典:家族関係社会支出(各国対GDP比) – 内閣府)

以上、「子どもの貧困」の原因について、経済的、社会的、政治的な面から解説しました。

このような原因を解消するための「子どもの貧困」対策の支援については、包括的に解説している記事があるので、引き続きご一読ください。

「子どもの貧困」を支援するには?教育や食事など支援団体の取り組みと、私たちができること
   
 

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